第1日目 3月22日(水)
雨の中、各地から高校生8名が宿舎に集合し、初顔合わせをする。アドバイザーの作成した当日の流れのプリントを配布し、今後の予定と注意事項を確認する。男子2名が同じ学校からの参加だったが、2人だけになるのでなく、もう1人の男子ともうまく打ち解けていたようである。女子5名はおとなしいという雰囲気ではなく、はじめからうまく話ができていたようであった。チョッと一安心。
夕食では、まだ男女混合とはなりにくいのか、男子3名、女子が2名・3名に別れ3つのテーブルにつく。男子3名は話が弾むという状況ではなく、女子よりも早く食事を済ませ、部屋に戻る。女子は2グループとも、高校生活や進路、地域の話などで結構盛り上がった。
ミーティングでは、まずはじめに実験が2グループに分かれるということであったので、班わけを行う。男女混合のグループに分けた。グループ分けのことを考えると、男女同数のほうがやりやすい。自己紹介に時間をかけすぎたが、実験・事前講義を行い、翌日への注意事項を伝えて当日のスケジュールを終える。全体的によい雰囲気で終わることができたと思う。
第2日目 3月23日(木)
松下電器の概況説明で、担当者の説明が早く終わったが、そのあとの質疑応答では、「新しい開発品が売れないというリスクにどのように対応するのか」「海外進出などによりサービスの空洞化がおこらないのか」など厳しい質問などもあり、時間を非常に有効に使うことができた。(高校生がうまく時間を使ってくれたと、松下電器の担当者が非常に喜んでおられた)
構内見学では、学研都市にある企業や松下電器のビデオを視聴し、最先端技術研究所でのさまざまな研究について、パネルを用いた説明をしていただいた。
昼食は社員食堂で各自が好きなものを注文し、社員がチェックするという方式。品数が豊富というわけではないが、好きなものを注文できるのと社員と一緒に食事をするという雰囲気を味わえるのは好感が持てた。
午後からは、研究所所長の講義と実験の準備。講義は、砂糖電池の内容を簡単に噛み砕くように、高校生にわかってもらいたいという気持ちがよく伝わってくるものであった。でも、むつかしい。1時間ほどで講義が終わり(もっと長くなると思っていた)、残りの時間を翌日の実験の準備に費やす。
準備には、若手の研究者3名が担当に当たり、2班に分かれ電解液の調整や電極の作製を行った。溶液調整では正確な量を計算するため、計算もしながら、丁寧に進めていく。金ナノ粒子をカーボンフェルトに染込ませる作業では、緊張のあまり手の震えが止まらない生徒もいた。3時間ほどかけ、組み立てする前までの作業がすべて完了。
夕食は、研究者を交えての懇親会。担当の研究者だけでなく、時間の許す若手の研究者が多数参加してくれたのはアドバイザー自身が感動した。高校生と研究者がほぼ1対1で進路や地元話などで盛り上がった。
宿舎に帰り、ミーティング、というか、翌日の発表の準備に取り掛かる。宿題も出されたので、それも考えながら、2つのグループでパワーポイントを用いた原稿つくりに取り掛かる。前日同様、遅くなってしまった。化学を履修していない女子生徒が、少し落ち込んだ場面もあったが、担当者を含め他の女子生徒たちがしっかりとフォローしてくれた。
第3日目 3月24日(金)
前日の実験の続き。砂糖電池に核心に迫る。グルコース溶液の調整と本体の組み立てが始まった。
危険な薬品を手につけないように、慎重に組み立てを進めていった。組み立てた電池をすぐに用いるのでなく、各電池の電極を評価し、そこから電池の特性を予測してみる。各自が自分で組み立てた電池の特性を計測し、電子メロディ・赤色ダイオード・モーターをそれぞれ作動させるためには、どのように電池をつないだらよいかを実験した。自分たちのデータを取るために、昼食の時間を削って、直列・並列をさまざまに変えながら作動実験を行った。3名の研究者も昼食時間を15分程度にして、計測を手伝ってくれた。熱心さが伝わってきた。すごくありがたいことだ。
実験後、30分程度で、当日のデータの処理と前日の残りのパワーポイントを完成させ、発表に臨んだ。短い時間であったが、2グループともそれぞれの班の特徴を出すことができた。参加の前に何の情報も持たない高校生たちが、これだけのことができるのだということに感心させられた。