サイエンスキャンプ
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ライフサイエンス事始め〜細胞の培養と遺伝子の導入に挑戦しよう〜

キャンプ会場

国立大学法人 東京大学大学院 総合文化研究科
〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/index-j.html


キャンプ会期
2006年3月25日(土)12:30 〜 3月27日(月)15:15 2泊3日

キャンププログラム
 
私たちの身体は約60兆個もの細胞から成り立っています。そして、その細胞一個一個には身体全体を作るのに必要な3万個の遺伝子を収容した核があります。細胞がいかにして身体各部の組織をつくりあげるのか、いかにして特定の遺伝子だけを選択的に発現させるのかを知ることは「がん」や「老化」などの問題を解明することにつながります。
今回のキャンプでは、細胞と遺伝子に関するライフサイエンスの基本になる細胞培養と遺伝子発現に関する講義と実験を行いました。
 

体験感想
サイエンスキャンプで出会えたこと
桜蔭高等学校1年生
この度はサイエンスキャンプに参加させていただき、有り難うございました。時間に追われることなく、実験だけに集中できて、夢のような3日間でした。まだ進路に迷っていたので、決めるきっかけになれたら、と思って参加したのですが、本当に楽しく、生物の実体やまだまだたくさんある不思議をもっと探りたくなりました。私は大学という所に初めて入ったのですが、実習室は器具がとても充実していて、白衣を着たら、最先端を走る科学者になったようで、身が引き締まる思いでした。そのような環境の中で、私はさまざまなものに出会いました。ニワトリの卵の中で眠っていた胚、そこから摘出して培養した肝臓の細胞、生命の息吹や神秘さを感じました。自分の頬の内側の細胞から取り出したDNA、私の情報がぎっしりつまっていて、人間という動物的な視点で私を見た瞬間でもあり、感動しました。一人一匹で解剖したマウスは、手を使って体の構造を目ではっきり確かめられました。そして光る大腸菌、遺伝子導入が成功してよかったです。また一方で、多くの人との出会いもありました。全国から同じ分野に関心のある高校生と一緒に過ごすことで、他の学校の様子を聞いたり、そう遠くはない将来について話合ったりして、よい刺激になりました。それと先生方から、実験の手順や結果の解説を詳しくしていただき、でも何よりも科学界において大切な命の尊さについての講義が心に残りました。優しい大学院生の手助けやアドバイスも、とても頼りになり、不安は全くありませんでした。
 実験をするにあたっては、出してくる用語や理論が難しい部分もありましたが、何のためにこの作業をしているのか、どんな条件すれば目的通りになるか、などとあれこれ考え試行錯誤することの重要性がよくわかり、「DNAとは何?」「細胞培養ってどうやるの?」という謎だらけの段階から一歩前進し、ライフサイエンスの視界が開けたように思います。

キャンプスケジュール
第1日目
(3月25日)
12:30 13:00 集合【大学】
13:00 13:15 開講式
13:15 14:00 細胞培養に関する講義
14:00 18:00 実習(ニワトリ胚の解剖、細胞の採取と培養の開始)
18:00 19:00 宿舎へ電車で移動
19:00 20:00 夕食
20:00 22:00 参加者&引率者ミーティング
第2日目
(3月26日)
7:00   朝食
8:20 9:00 会場へ電車で移動
9:00 12:00 細胞の観察、蛍光抗体法による
12:00 13:00 昼食
13:00 15:00 遺伝子に関する講義
15:15 18:10 細胞(大腸菌)への遺伝子導入
18:15 19:45 研究者との懇親会(夕食)
19:45 20:30 宿舎へ電車で移動
20:30 22:00 参加者&引率者ミーティング
第3日目
(3月27日)
7:00   朝食
8:20 9:00 会場へ電車で移動
9:00 12:00 導入した遺伝子の発現の確認(1)
12:00 13:00 昼食
13:00 14:45 導入した遺伝子の発現の確認(2)
15:00 15:15 閉講式
15:15     解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
東京都立国立高等学校 教諭
学校法人田中学園 水戸葵陵高等学校 教諭
 
第1日目(3月25日)13:00講義開始
○ まずは、先生から、参加者をリラックスさせるイントロダクションがあり、サイエンスキャンプの趣旨・スッタフ紹介・3日間のスケジュール確認等を行った後、細胞培養についての講義に入った。講義の内容は、「細胞培養技術の発展の歴史」、「細胞培養技術の現状」「細胞培養のメリット」「組織培養に用いる装置」「蛍光抗体法」「ニワトリの卵」「実習の手技について」。次いで、演示によって実習方法を示した(ここまで、休憩なして一気に2時間30分)。
○ 10分休憩後、生徒実践(16:00〜)。
卵殻を割ってから、ニワトリ15日目胚を取り出すまでに苦労するペアーもあり。TAが各班(4名)についているので、作業は順調。大胆に作業する班の方が早い。無菌操作に関しては、修得はなかなか難しい。組織(肝臓、筋肉、心臓)を摘出して細切し、トリプシン処理によって細胞を得て、遠心分離で細胞を洗い、培養液に浮遊させてコラーゲン処理したシャーレにまいた。
○ その後、別の胚(15・17日胚)の形態観察。心臓が動く、触ると反応する、肝臓、胆のう、砂のう、腸、脳、眼など。一人、抵抗感の大きな生徒がいたが、観察はしていた。それ以外の生徒は熱心に取り組んでいた。
○ 先生から、明日の実習に関しての説明(17:20〜)。
○ 片付け(17:30〜)。18:00大学発。4班に分かれて移動。
○ ミーティング(宿舎20:00〜21:30)
自己紹介(名前、出身、学年、参加希望理由、今日の感想)。人数が多いので、全員がお互いに名前と顔を一致させるのは難しかった。この自己紹介で、大分、雰囲気が和む。翌日のスケジュール確認。

第2日目(3月26日)9:00講義開始
○ DNA抽出に関しての講義。実験操作の意味や、DNAについてのさまざまな話題も含みながら。
実習作業はTAのアドバイスを受けながら、自分の口腔上皮細胞からDNAを抽出し、子瓶にDNAを移してペンダントを作成。残ったサンプルはTAにお願いして、PCRにかけて、DNAの電気泳動のサンプルにした。
○ 前日の培養細胞の観察(10:45〜)。前日まいた、細胞の観察。肝臓、骨格筋、心臓などの細胞についての説明。
○ 昼食11:00〜 50名の大人数のため時間差があり、最終組の食事終了は11:55となる。
○ 午後実習開始(12:00〜)。午前中の継続。加えて、先生が1週間培養した骨格筋の細胞、骨髄腫細胞を配布。観察。
○ 金魚の鱗細胞(ケラトサイト)の培養(13:00〜)。金魚の鱗をはがして、培養。1時間ほどでモニターにてケラトサイトの動きが確認できた。細胞の分化に関しての講義。
○ マウスの臓器観察(14:20〜)。マウスの解剖と形態観察。腹部観察のあと頭部観察
○ 大腸菌への遺伝子導入(15:15〜18:15)。
遺伝子組み替え実験に関しての法的な注意など、講義。
作業開始(15:40〜)
培養液からの大腸菌の回収と、プラスミド遺伝子の導入。
培養細胞への遺伝子導入。昨日の培養細胞に、遺伝子の導入を試みる。
○ 懇親会(18:30〜20:00)
自己紹介、時間が限られていたので、ややあわただしい。
○ ホテルへ移動(20:10〜)
○ ミーティング(21:00〜22:00)
遺伝子組換えの結果についての予想と考察を、班単位で行う。議論の進む斑と、疲れがでている斑と、いろいろ。

第3日目(3月27日)9:00講義開始
○ 遺伝子組換え結果の確認。前日の大腸菌プレートの配布。
UV装置でアラビノース添加された+DNAプレートの大腸菌が蛍光を発するのを確認。
コロニーの計数 プレートに生育しているコロニー数を肉眼で計測。
形質転換の効率の算出。
○ DNA(PCRサンプル)とタンパク質の電気泳動
電気泳動 PCRの説明
DNAサンプル(前日の口腔上皮細胞DNAサンプルをPCRにかけたもの)のアガロースゲルへのチャージ
タンパク質は遺伝子導入大腸菌で培地にアラビノースを加えてGFPを発現したものをサンプルとした。
○ GFP導入生物の観察
線虫:骨格筋の核のみ光る
マウス:耳、尾は毛がないのでよく分かる
タバコ:全体が光る
培養細胞(前日しかけたもの)多様な細胞ありGFPの入る細胞、入らない細胞がある。ケラトサイトも元気(馬血清を用いて培養)温度が高いせいか良く動く。
○ 昼食(12:00〜13:00) ランチ定食  東京大学 生協2F
○ PCR、タンパク質の電気泳動についての解説(13:00〜) 
○ 質問、観察、片付け(13:30〜14:00)
 アフリカツメガエルの幼生の観察
○ 認知科学の遺伝的解析について(14:00〜14:45)
パーキンソン病、アルツハイマーに関して、最新の知見を、非常にわかりやすく講義。
遺伝子をめぐる、さまざまな考え方を提示。
○ 解散式(14:45〜)
修了証授与 一人一人に名前と学年を呼んで/挨拶/事務局から

開催状況部分のみとなります。

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