サイエンスキャンプ
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アミノ酸を知ろう!味の科学〜昆布からグルタミン酸の抽出・分析&味の体感〜

キャンプ会場

味の素株式会社 ライフサイエンス研究所
〒210-8680 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1-1
http://www.ajinomoto.co.jp/


キャンプ会期
2006年3月22日(水)17:00 〜 3月24日(金)15:00 2泊3日

キャンププログラム
 
自然界にはタンパク質の構成成分であるアミノ酸が人間の体を含めいたる所に存在しています。今回、うま味の成分であるアミノ酸のひとつ“グルタミン酸”を昆布から抽出、精製してアミノ酸が身近に存在していることを体感するとともに、個々のアミノ酸の性質を利用する事により目的のアミノ酸がどの様に単離できるかを、アミノ酸分析を通して学びました。又、アミノ酸以外のうま味成分との相乗効果について体感しました。  

体験感想
サイエンスキャンプを通して
明秀学園日立高等学校1年生
僕は3日間のサイエンスキャンプを通して自分が研究職に就きたいという気持ちを改めて実感しました。味の素株式会社ライフサイエンス研究所では学校にはない実験器具などがあり、とても新鮮な気持ちでした。
実験の時には、研究員の方に分かりやすく説明していただいたので、一つ一つの実験がとても良く理解できました。また、授業で習ったことがところどころに出てきて、その時にはよく分からなかったことが、実験を通してそのことをより深く理解することができました。出てきた結晶を見た時は、本当に感動しました。
実験が終わってからのミーティングでは、皆自分の意見を持っていてすごいなと思いました。昆布のどの部分で一番多く結晶が取り出せるかなどということについて互いの意見を交換したりしてとても楽しかったです。この3日間は本当にあっという間に過ぎてしまいました。これで自分の世界をまた広げることができました。今回の経験を進路や就職にいかしていきたいと思っています。
この貴重な体験をさせてもらい、サイエンスキャンプの指導員の方々、味の素株式会社の皆様、心から感謝しています。本当にありがとうございました。

キャンプスケジュール
第1日目
(3月22日)
17:00 17:30 集合【宿舎】
18:00 19:00 夕食
19:00 21:00 参加者&引率者ミーティング
第2日目
(3月23日)
7:00 8:00 朝食
8:15 8:50 会場へ徒歩・電車で移動
9:00 9:30 開講式
9:30 10:30 講義:アミノ酸の概要紹介
10:40 12:00 昆布からアミノ酸の熱水抽出
12:00 13:00 昼食
13:00 17:00 イオン交換樹脂を用いた夾雑物の除去とその原理
イノシン酸、グアニル酸とのうま味の相乗効果の体感
グルタミン酸の選択晶析とその原理
17:00 17:30 まとめ
17:30 19:00 研究者との懇親会(夕食)
19:15 19:45 宿舎へ徒歩・電車で移動
20:00 21:30 参加者&引率者ミーティング
第3日目
(3月24日)
7:00 8:00 朝食
8:15 8:50 会場へ徒歩・電車で移動
9:00 12:00 ペーパークロマトグラフィーを用いた分析
アミノ酸分析計を用いた純度分析
ライフサイエンス研究所見学
12:00 13:00 昼食
13:00 14:00 まとめ、ディスカッション
14:00 14:30 閉講式
15:00     解散【研究所】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
常葉学園橘中・高等学校 教諭
 
第1日目 3月22日(水)
ミーティング…自己紹介、基礎事項(化学)の確認
(1)まずは自己紹介、参加の動機を述べ合った。参加者は化学、食品関係への興味関心が高く、研究者への憧れを抱いており、将来の進路選択と結びつけて参加した生徒が多かった。その後、参加者の緊張をほぐし、コミュニケーションを円滑に行うため、30分ほどお互いの学校の様子、地域の様子などを紹介し合う時間とした。
(2)本会場での実験内容は、化学Uの教科書に記載されている「アミノ酸」が主テーマとなる。しかし、進度や選択科目の関係で、アミノ酸という言葉は知っているものの、構造を説明できる参加者はいなかった。そこで、教科書、副教材(図説)のコピーを渡し、基本的な構造、カルボキシル基、アミノ基の特徴などを約30分ほどで解説した。
その後、ホテル内での注意、明朝の日程、翌日の持ち物を伝え解散した。

第2日目 3月23日(木)
(1)開講式・講義…味の素の紹介、研究員の紹介、参加者自己紹介
アミノ酸の発見、味の素の創設、味の素株式会社が展開する事業とアミノ酸研究との関連等の話がなされた。その後、テキストに基づき、アミノ酸の基本構造、化学的性質、これからの実験の流れについて講義を受けた。特に今回の実験に用いる昆布に含まれるアミノ酸、食品と含有アミノ酸の関連についての解説があった。その後、実験の流れと、その化学的原理が解説された。
(2)実験…昆布に含まれるアミノ酸を湯で抽出、イオン交換樹脂により分離、ロータリーエバポレーターを用いた抽出液の濃縮、等電点にpH調製することでの再結晶の作業を10:30から17:00まで行った。
(3)懇親会…食事を取りながら、参加者の高校生と研究者の交流が図られた。余興として、研究員の方々がアミノ酸に関するクイズを用意し、アミノ酸に関する基礎知識を楽しく学んだ。
(4)ミーティング…前夜、ミーティングの席ではあまり積極的な発言が出なかったため、参加者の一人(男子)を司会者とし、本日一日の感想を各自に述べてもらった。特に、研究者という職業を知りたいということを参加の動機に挙げるものが多かったため、2日目の時点での研究者の印象を語ってもらった。接しやすい、周りとの協調が重要、ハードな仕事、根気がいる、基礎が大切と様々な感想が出、研究者という職業を多面的に捉えている様子が分かった。ただ、私から「実験を通して何か不思議と思ったことは無いかという」問いを発したところ、あまり積極的な発言が無かった。そこで、クイズの中にあったアミノ酸のL体、D体の意味を持参した分子模型で確認し、実験の中でもっと疑問を見つけ積極的に質問するように促した。

第3日目 3月24日(金)
(1)実験…析出したグルタミン酸の結晶を吸引ろ過で取り出した。これを真空デシケーターで乾燥させた。
取り出した結晶の収量を図った後、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて分析した。取り出した結晶の溶液、グルタミン酸の標準溶液、アスパラギン酸の標準溶液をTLCプレート上にスポットし、展開後ニンヒドリン反応によって確認した。いずれも、ある程度高い純度のグルタミン酸が得られたが、アスパラギン酸が混入している様子が見られた班もあった。
(2)まとめ・発表…まず、うまみ成分のグルタミン酸とイノシン酸の味の相乗効果を体験した。2つの溶液を順番に口に含むことによって、予想外の味の変化に驚きの声が上がった。次に、ワークシートに抽出に用いた昆布の部分、質量、結晶の質量、考察を記入し、2名一組で発表した。アスパラギン酸が混入した理由、グルタミン酸とアスパラギン酸のニンヒドリン反応の発色の差、昆布の部分で含有量が違うのかなどの考察がされた。また、アミノ酸分析器で分析されたチャートとの比較を行った。
(3)閉講式…会場担当者から、科学とは実験を通して自然現象を考えることが重要であること、失敗があってもその原因を突き止めようとすることで新たな発見が生まれること等のお話があった。最後に参加者全員に修了証が手渡された。

開催状況部分のみとなります。

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