サイエンスキャンプ
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深海を探る〜コアの科学と海洋生物資源の最前線〜

キャンプ会場
高知大学 海洋コア総合研究センター
〒783-6712 高知県南国市物部乙200
URL:http://www.kochi-u.ac.jp/marine-core/

高知大学 遺伝子実験施設
〒783-6712 高知県南国市物部乙200
URL:http://www.rimg.kochi-u.ac.jp/jge.html

キャンプ会期
2004年3月25日(木)午後1時30分〜3月27日(土)午後2時 2泊3日

キャンププログラム
 
深海底は新たな資源が眠る場所として、地球の環境変動が記録されている場所として、また近い将来懸念される大地震の発生場所として注目を集めています。
今回のキャンプは、2つのコースに分かれ「海洋コア」コースでは、深海底で掘削された堆積物の柱状試料(コア)の分析を通して地球の環境変動を学びました。また、「遺伝子資源」コースでは、海洋で生息する生物資源を題材として、その分子生物学的解析と遺伝子利用の基本技術を学びました。
 

体験感想
スプリング・サイエンスキャンプ2004に参加して
愛媛県立新浜東高等学校2年生
私は今回初めてサイエンスキャンプに参加させていただきました。参加できることが決まった時は前から自分の興味のあったことが実際に体験できるという楽しみがある反面、サイエンスキャンプが初めてであり自分が興味のある分野とはいえ、実際に学校で地学を学ぶ機会がないため講義や実験についていけるだろうかなどと不安な面がすごくたくさんありました。
 しかし、参加当日になり、駅で参加者の人たちと初めて顔を合わせてみると、前に思っていた不安は吹き飛んでいました。みんな本当に良い人たちばかりで本当に参加して良かったと思いました。参加者の半数は以前サイエンスキャンプを数回経験している人ばかりだったので、いろいろなことを教えてもらい、より充実した2泊3日を送ることができました。そして、講義や実験で最先端の技術を実際に目で見、そして体験することによって、今まで感じたことのない感動を得ることができるとともに、現実が見えたような気がしました。以前まで興味を持っていたものの身近にはなかったものが、このサイエンスキャンプを通して体験でき、より自分が本当に進みたい道だということを確信することができました。私の尊敬している先生に「見えないものが見るようになることが科学を学ぶことだ」ということを以前から教えていただいていたので、今回のサイエンスキャンプでそれを自分なりに得ることができたのではないだろうかと思います。今回のサイエンスキャンプを通じて、自分がどれほど複雑で魅力的な科学に対して甘い理解をしていたのかを悟りました。そして、科学に対するより強い憧れや、もっと科学を詳しく学びたいという気持ちがより一層膨らみました。これからはこのサイエンスキャンプで得た気持ちをばねにして頑張っていこうと思います。本当にありがとうございます。

キャンプスケジュール
第1日目
(3月25日)

13:30  集合【大学】
14:00 14:20  開校式(プログラム説明、講師紹介等)
14:20 15:10  講義「南海トラフの深海生物の生態と食物連鎖」
15:10 16:00  講義「ヘモグロビンからみた深海生物の進化」
16:00 16:30  施設見学(遺伝子実験施設)
16:50 17:20  施設見学(海洋コア総合研究センター)
17:20 18:10  講義「海洋コア研究最前線」
  18:30 19:00  宿舎へバスで移動(ホテルバス)
  19:00 20:00  夕食
  20:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(3月26日)
7:00    朝食
8:30 9:00  会場へバスで移動(ホテルバス)
A.「海洋コア」コース
9:00 10:00  講義「海洋コア研究ってどんなもの?」
10:10 12:00  実習「海洋コアの観察とX線CT解析」
12:00 13:00  昼食
13:00 13:40  講義「氷河時代の海をさぐる」
13:50 15:50  実習「微化石の抽出と実体顕微鏡観察・分類」
16:00 17:30  実習「質量分析計による酸素同位体比測定の準備」
17:30 18:00  実習「質量分析計による酸素同位体比測定の実施」
B.「遺伝子資源」コース
9:00 10:00  海洋の微生物資源について
10:00 12:00  クラゲの蛍光タンパク質遺伝子の大腸菌への導入
12:00 13:00  昼食
13:00 15:20  室戸沖海洋酵母からのDNA調製
15:30 16:30  酵素遺伝子とrDNAのPCR
16:30 17:20  遺伝子組換えについて
17:20 18:00  DNAシーケンサーによる塩基配列解析
A・Bコース共通
18:30 20:30  懇親会(夕食)
  20:30 21:00  宿舎へバスで移動(ホテルバス)
  21:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(3月27日)

7:00    朝食
8:30 9:00  会場へバスで移動(ホテルバス)
A.「海洋コア」コース
9:00 10:20  実習「微化石の電子顕微鏡観察」
10:30 12:00  実習「測定データのまとめと総括」
B.「遺伝子資源」コース
9:00 11:00  DNA塩基配列の解読とDNAデータベース
11:00 12:00  組換え大腸菌の確認と総括
A・Bコース共通
12:00 13:00  昼食
13:00 14:00  各コースの報告、まとめ、閉校式
  14:00      解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
土佐塾高等学校教諭 本田美智子 先生

写真
3月25日(木)から27日(土)までの3日間、高知大学海洋コア総合研究センターおよび同大学遺伝子実験施設においてスプリング・サイエンスキャンプ「深海を探る〜コアの科学と海洋生物資源の最前線〜」が開催された。
各コース10名ずつの計20名が3日間にわたり、「海洋コア」コースは深海底堆積物の柱状試料の分析から、「遺伝子資源」コースは海洋に生息する生物の分子生物学的解析と遺伝子利用の基本技術を学ぶことにより、それぞれの観点から海洋について知識を深めた。
「海洋コア」コースでは、まず深海掘削や海洋コアを用いた研究の概要をビデオや講義を通して理解した。次に、日本近海などで採取された海洋コアの実物を試料に、カラーチャートを使用しながらコアの断面のスケッチをするなど肉眼での岩層記載、分光測色計を用いた測定などを行った。
次に「氷河時代の海を探る」と題した講義で実習の後半がスタートし、海底堆積物から微化石を抽出し、実体顕微鏡で観察しながら底生有孔虫だけを取り出す作業を行った。取り出した底生有孔虫の酸素同位体比を質量分析計で測定し、その値から海底堆積物に記録されている過去の氷期・間氷期サイクルの復元をグラフを描くことによって試みた。
最後に試料から抽出した肉眼では観察できない微化石を走査型電子顕微鏡を利用して高倍率で観察することにより、ミクロの世界を体験した。
「遺伝子資源」コースでは、海洋微生物の単離と種の同定、蛍光タンパク質遺伝子の大腸菌での発現の2つの実験を、途中海洋微生物や操作方法についての講義をはさみながら行った。
海洋微生物の単離と種の同定実験では、室戸沖由来の試料から単離した微生物のDNAを調製し、rDNA領域を解析するためPCR装置を用いてrRNA遺伝子の増幅を行い、アガロースゲル電気泳動法を用いてDNAの大きさを解析した。その後、アガロースゲルからrRNA遺伝子を抽出し、得られたDNA断片の塩基配列をDNAシーケンサーを用いて決定した。最後にDNA配列情報データベースを使って相同性の高いものを検索することにより種の同定を試みた。
蛍光タンパク質遺伝子の大腸菌での発現実験では、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質遺伝子を大腸菌に導入し、どのような変化が生じるのかを観察した。
両コースとも大学側の準備・打ち合わせが綿密に行われており、参加者は実習テキストやその場の指示に従うだけで難易度の高い実験・実習を行うことができた。また実験・実習内容や講義内容も十分吟味されており、高校生にわかりやすい内容になっていた。そのため大学で行われている最先端の研究内容を、高校生でしかも専門的な知識のない生徒でも実験・実習が円滑に進められるよう工夫がされていた。
また、実験器具なども通常高等学校では使用しないようなものを使わせていただくことができ、生徒の満足度も非常に高かった。
懇親会では大学の講師陣の方々やTAの方々に多数参加していただくことができ、実験・実習中には心が高くなったことなど、参加者それぞれの思いを歓談の中で発言していた。
最終日の午後からは各コースの実験・実習のまとめを他方のコースの参加者にもわかりやすく説明していただき、参加者の感想・報告を兼ねた修了証授与で閉講した。
この3日間を通して、日頃あまり関心を持つ機会のない海洋や微化石に対して参加者全員が何らかの聞けなかった疑問点、現在思い描いている自分の将来像、今回の実験・実習を通して海洋に対して興味関心を見いだせたのは意義のあることであった。
開催状況部分のみとなります。
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