NTTはその研究開発組織として、サイバコミュニケーション総合研究所(横須賀本部)、情報流通基盤総合研究所(武蔵野本部)、先端技術総合研究所(厚木本部)を持っています。
今回のサイエンスキャンプでは、NTT横須賀研究開発センタを訪れました。2泊3日の日程に全国から選ばれた10名の高校生たちが参加しました。
NTT横須賀研は、NTTサイバコミュニケーション総合研究所の本部ということで、サイエンスキャンプのプログラム内容としても「音声合成の技術」「コミュニケーションの研究方法」の2点について中心として行われました。
集まった高校生たちも、音声技術やインターネット等に興味を持った者が多く、普段は放送部で活躍している生徒もいました。
<1日目:3月24日(水)>
初日は、午後5時にYRP(横須賀リサーチパーク)内にあるホテルに集合となりました。緊張した面もちの10名でしたが、夕食会を経て、徐々になごやかになっていきました。夕食後の初ミーティングでは、キャンプ事務局およびアドバイザーからの概要説明、続いて参加者による自己紹介&お国自慢、そして最後に明日の学習内容の事前学習会を30分程度行いました。あっという間に友達になっていく様子は、さすがやる気のある高校生たちだなという好印象でした。
<2日目:3月25日(木)>
2日目の朝も、約束時間通りに集合した高校生たちは、ホテルからやや離れた会場まで自力で「すすんで歩く」などやる気を見せ、横須賀研に到着します。
さて、横須賀研に本部を持つサイバコミュニケーション総合研究所は、大きく分けて「サイバーソリューション研究所」と「サーバースペース研究所」の二部門からなります。今回、高校生たちが訪れたスプリング・サイエンスキャンプは、NTTにとっても初めてのことでもあり、研究所の方々も大いに期待されている様子でした。
まずは開講式が行われました。ここでも高校生たちは元気良く、2日間の意気込みを話しており、研究所の方にも評判は良かったようです。
ビデオ等を用いた研究所の概要説明の後、午前中1時間、午後1時間を使っての研究所内ガイドツアーが行われました。研究所内には、民間企業らしくセキュリティエリアもあり、IDカードによるチェックなど、高校生にとっては目新しいものも多かったようです。見学は主として展示ホールで行われましたが、高校生たちからは熱心に質問も飛び出していました。未来のコミュニケーション技術を垣間見るツアーで、たとえキャンプがこの2時間だけであったとしても、生徒たちは大満足だっただろうと思います。
昼食はレストランで取りました。社員向けのレストランということで、高校生たちは、ここでも普段の研究員の方々の様子をうかがい知る機会となったようです。食事には、研究員の方々も参加していただき、終始なごやかなムードでした。
その後、2班に分かれてのスプリング・サイエンスキャンプ本格スタートとなりました。
「音声合成の技術」では、高校生自らが録音した自己の音声の周波数解析および音声合成を行ったほか、キーボードからタイプした文章をコンピュータが判断して発音するNTT独自の技術とその理論について学びました。普段は意識することのない発音やアクセントに関する講義はとても興味深かったようで、実習に熱心に取り組んでいる姿が印象的でした。
「コミュニケーションの研究方法」では、人間同士が行う会話を科学的に分析する手法とその理論について学びました。一般的には、コミュニケーションは言語によって行われていると意識しがちですが、実際には言葉によるコミュニケーションは、たったの7%程度であり、残りは声や表情、お互いの持つスキーマ(経験や存在背景)など、非言語コミュニケーションが占めているとの講義内容から始まり、会話の話題区切れや発話数に着目したコミュニケーション解析演習、最新のコミュニケーションメディア研究の紹介など、楽しく学ぶことができました。高校生たちは、日頃の携帯電話やメールを通じた「つながり感」を、科学的な視野で見るという貴重な経験をしたと思います。
その夜は、懇親会が開かれました。「どうやったら研究所で働けるのか」など、高校生たちの率直な質問が数多く飛び出していました。また研究員の方からも、高校生時代を過ごす皆に対し、熱心に問いかけがあり、たいへん盛り上がったものになりました。
<3日目:3月26日(金)>
さて、翌キャンプ最終日の午前中は、2班の入れ替えが行われました。昨日「音声技術」を学んだ班は「コミュニケーションの研究方法」を学び、またはその逆、という具合です。最終日ということで、さらにリラックスした参加者たちは、元気よく講義内容を吸収していました。
講義のレベルは高かったように思いますが、高校生たちはなんとか喰らいついていた様子で、生徒たち自身の満足度はとても高かったのではないでしょうか。
最後に閉講式が行われました。その途中、高校生たちから、今回学んだことの研究発表体験の時間がありました。前日の夜から熱心に準備した高校生たちは、不慣れではありましたが「発表」という場面に出くわし、より一層学習内容に興味を持てたようです。高校生たちにも、かなり疲れはあったようですが、2泊3日ということで、むしろ充実したキャンプだったと感じているのではないでしょうか。