サイエンスキャンプ
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スプリング・サイエンスキャンプ2004 スプリング・サイエンスキャンプ2004 トップ キャンプ開催概要 キャンプ参加者 プログラム報告

原子・分子を見る、追いかける〜ようこそナノテクノロジーの世界へ〜

キャンプ会場
日本電子株式会社 応用研究センター
〒196-8558 東京都昭島市武蔵野3-1-2
URL:http://www.jeol.co.jp

キャンプ会期
2004年3月24日(水)午後5時〜3月26日(金)午後2時30分 2泊3日

キャンププログラム
 
皆さんが日ごろ慣れ親しんでいる携帯電話には、小さな機械にもかかわらず、電話、電子メール、カメラなどのたくさんの機能が詰め込まれています。このことを実現した技術がナノテクノロジー(1ナノメートル:10億分の1メートル)と呼ばれ、様々な物質を原子・分子のレベルで削ったりつなげたりして、新たな材料を作り出す技術です。このナノテクノロジーの中に、原子、分子スケールで物質の原子の並びを見たり、原子を動かしたりできるナノ計測と呼ばれる技術があります。この分野では日本が世界一の評価を得ています。
今回のキャンプでは、ナノ計測を代表する観察、測定装置である、透過電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡、走査電子顕微鏡などの装置の原理、応用分野を学び、実際に自分で操作し試料の観察を行いました。また、走査プローブ顕微鏡を使って原子を動かし、自分の名前を書いて「原子の名札」を作りました。
 

体験感想
サイエンスキャンプで学んだこと
広島県立忠海高等学校2年生
僕は、電子顕微鏡というものにとても興味があってこのサイエンスキャンプに応募しました。電子顕微鏡は、僕が将来進学を希望している生物学分野においても、重要性が高いと思うし、何よりその性能をこの目で見たかったのです。それを期待していましたが、実際参加してみると思っていたことの何倍も楽しく、得るものも大きいものがありました。
 一つ目は、もちろん主役の電子顕微鏡についてです。中の基本的な構造や3種類の電子顕微鏡の違いなどを人に簡単に説明できるくらいになりました。また、自分で作って持っていった生物試料を見ることができました。
 二つ目は、研究所の方々との交流です。研究者の方にお話を聞いたり質問をする一方で、参加者である自分達にも興味を持たれて、自分達の興味関心を話したり、時には意見を言うこともあって、それはとても良いことだったと思います。
 三つ目は、僕達参加者同士の交流です。参加者同士で興味を持っていることは違っていたのですが、お互いにそのことを理解し合って良い刺激を与え合うことができたと思います。
 また、夜のミーティングでは、初日には自己紹介、2日目には反省会と引率者の方が工夫をこらしてくれましたが、僕にとっては人前での発表が大変でした。自分を上手に表現することの難しさが分かりました。
 最後に、とても良い環境で電子顕微鏡について勉強させていただき、難しいことも快く引き受けて下さった研究所のスタッフの方々にはとても感謝しています。そして、科学に興味ある高校生同士、語り合える場も与えられたことにも感謝しています。

キャンプスケジュール
第1日目
(3月24日)

 17:00      集合【宿舎】
 18:00 19:00  夕食
 19:00 21:00  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(3月25日)
7:30    朝食
8:20 9:00  会場へ電車、徒歩で移動
   9:00 9:30  開校式、プログラム説明
   9:30 10:15  実習装置の動作原理、応用分野の解説
 10:30 11:00  講演「ライフサイエンスと電子顕微鏡」
 11:00 12:00  実習(試料作製:走査電子顕微鏡)
 12:00 13:00  昼食
 13:00 17:00  実習「走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡」※
 17:00 18:30  懇親会(夕食)
  18:30 19:10  宿舎へ電車、徒歩で移動
  19:30 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(3月26日)

7:30    朝食
8:20 9:00  会場へ電車、徒歩で移動
   9:00 11:00  実習「走査プローブ顕微鏡」※
 11:00 12:00  装置見学
 12:00 13:00  昼食
 13:00 13:30  工場見学
 13:30 14:30  閉校式「感想発表、修了証授与」
 14:30      解散【研究所】
※実習は3班に分かれて、走査電子顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査プローブ顕微鏡を順番に学習した。


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
富山県立桜井高等学校教諭 横田淳一 先生

写真
<1日目:3月24日(水)>
 夕方5時に集合、午後6時から全員そろっての食事となった。事前のアンケートから予想されたとおり、女子はたいへん社交的な生徒が多く食事中も話が弾む、一方男子は内向的な生徒ばかりで、たんたんと食べ終わり、お行儀よく座っている。
 そこで、食事後のミーティングは、男子が上手くとけ込めるようにゲームを通してのグループ作りを行った。まず、「ネームゲーム」で、互いの出身地と名前を覚え合った。次に「ボディ・パッテイング」で体を動かし、「2人組・4人組」というようにお互い話し合うことによって、知らない者同士が心を通い合わせるよう努めた。なんとか、最初知らなかった者同士に人間関係ができたようであった。
 お互いに知り合い、友達になってから、各自が今回電子顕微鏡で観察しようと思って持参した試料について紹介しあった。この試料の紹介を通じて、日頃どんなことに興味があり、今回のキャンプで何を楽しみにしているのかがたいへんよくわかった。

<2日目:3月25日(木)>
 全員、定刻に食事を済ませ、定刻にホテルを後にした。JRで立川駅から中神駅まで通うのだが、この朝、通勤ラッシュで大混雑の立川駅で、今回のキャンプ中唯一のハプニングが起こった。電車に普段乗ったことのない生徒が、アドバイザーとよく似たコートを着ている人に付いて行ってしまい、間違ったホームへ降りてしまったのだ。幸い、生徒も付添もすぐに気が付いたので、事なきを得、全員そろって予定通りの電車に乗車できた。
 会場では担当の方々がわざわざ出迎えて下さりたいへん恐縮した。開講式に引き続いてプログラムが始まった。まずは、今回使用する「走査電子顕微鏡(SEM)」「透過電子顕微鏡(TEM)」「走査プローブ顕微鏡(SPM)」について原理や特徴についての講義だった。講師の方々は、高校生にもわかるようにと、難しい用語をかみ砕いて、たいへん丁寧に説明してくださった。事前学習で持っていた疑問が、この時点で解決した生徒もいたようである。
 次に「ライフサイエンスと電子顕微鏡」というテーマで、技術顧問の近藤俊三博士の講演があった。マウスの発生過程を電子顕微鏡で観察した写真を見せながらのお話で、受精の瞬間や顔の形成過程など、生徒たちは食い入るように見ていた。この、近藤先生の講演が一番記憶に残ったという参加者もいた。
 各自が持参した試料をSEMで観察できるよう加工した後、3班に分かれて、実習を行った。一班3名の生徒に対して3名以上の担当者がついて、懇切丁寧に指導して下さった。また、生徒たちも積極的に操作したり、質問をしたりしていた。
 夕食は、ホールで懇親会を兼ねたものであった。この席でも、生徒たちは積極的に講師の方々に話しかけ、担当者の方々は分かり易く面白く応対して下さった。今回の実習に関することだけでなく、物理に興味のある生徒は物理の専門的なことについて質問していた。また、中には、自分の進路について相談している生徒もいた。いつまでも談笑が続く、充実した時間であった。
 ホテルへ帰り、ミーティングを持った。楽しさを5段階評価させたところ、9名中7名が最高の5「たいへん楽しかった」と答えた。残りの2名は4「まあ楽しかった」であった。その理由は、キャンプと並行して行われていたテニスの大会で自分がいないのに優勝した、ちょっと複雑な気持ちだから4、みんなたいへん事前に勉強してきていることを感じた、私は少々足りなかったから反省の意味で4というものであった。実際には、全員が最高に楽しく充実した実習を過ごせたと考えてよいと思われる。

<3日目:3月26日(金)>
 この日も、集合時間等に遅れてくる者や体調の悪い者もおらず、昨日午後の続きの実習を3班に分かれて行った。強いて言えば、もう少し時間があればよかった。
 実習後、今回使用した3種類の電子顕微鏡以外の分析機器や実際に電子顕微鏡を製作している工場等の見学を行った。これも、生徒に好評で、人の手で確かに電子顕微鏡を作っているのを見て人の手ってすごいなあと思った、という感想が聞かれた。

開催状況部分のみとなります。
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