1)次世代太陽電池
初日の午後、オリエンテーションから始まって、次世代太陽電池について、解説・実験が行われた。このテーマについては、じっくり解説し、考えるゆとりをもって実験させると、高校生なりの理解ができ感動もし、将来への応用・展望もわかり達成感の得られる内容だったと思う。しかし、時間があわただし過ぎたように思う。加熱の30分間などに、2ヶ所の見学をしたが(この内容は大変興味深かった)、実験内容についての説明や考察を行いゆとりをもって考えさせたほうが良かったかもしれない。あるいは、このテーマを2日目の午後にあて、じっくりと集中力を持たせて行ったほうが良かったとも思える。
後で生徒に尋ねると、個人差はあるが2年生は、実験内容が理解できたようだが、1年生は内容があまり理解できなかったようだ。ただ、色素で光から電気が作れるというすごいことができるという不思議さや感動は味わったと思う。夜のミーティングでデータを発表しあって、結構良い結果が出たことを知り、嬉しかったようだ。
2)電子顕微鏡による観察
2日目の午前、透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡について、その原理の説明を受け、実際に両方の顕微鏡を操作させてもらった。原理は難しくて、あまり理解できなかったようだが、テレビでしか見たことのない、高価な実物を操作できたこと自体に感動があったようだ。また、チタン合金の試料を金鋸で切り、切った断面の熱さを感じ、走査型電子顕微鏡用の試料台に貼り付けるといった操作も良い経験だったと思う。
ただ、原理は難しいとはいえ、2年生の物理ですでに光の回折や干渉を学んでいる生徒もいた。その生徒たちだけが理解できるようであっても、関連付けた説明をもう少しきちんとしてあげればよかったと反省している。1年生には、学校に帰ってからの学習課題の一つになればよい。
3)不凍蛋白
2日目の午後、疲れのため椅子に座った説明は眠くなるらしい。彼らは延々とワカサギを3枚におろし、ブナシメジをつぶした。ワカサギをミキサーにかけ、遠心分離機で蛋白を抽出する。その間に、氷の単結晶を顕微鏡で探すこともした。生徒たちは、全体像はあまりよくわからないままだったかもしれないが、マイクロピペットを使ったり、濃度を色の濃淡で感じたり、といった作業そのものを楽しんだようだ。もしもできるようであれば、ワカサギの量を減らしたりして時間を短縮し、自分達が抽出した蛋白質で実験ができないかという気はした。純粋な水は−39℃にならないと凍結しないということを知って、常識を覆させられた。
4)フロンHFC‐134aから蛍石を作る
3日目、環境問題について、特に地球の気層における問題についてガイダンスを受けた。フロンを燃焼によって処理するのではなく、その材料である蛍石(CaF2)にすることで、地球温暖化やオゾン層破壊の歯止めとなることを目指した研究・実験を見せていただいた。また、実社会での大量生産のためにプラントを考えるという観点も学んだ。
5)X線回折による同定
白い物質、黒い物質、それぞれ4種、まず、目で見て当てる。それから、X線回折で確認するという極めて難しい実験をした。4班に分かれ、それぞれX線回折装置を操作させてもらい、見てわからないものを調べる方法を学んだ。学ぶということの遠い目標を一つ示されたような気がした。ここで、雲を掴むほど高度な目の前の実験が、実は物理で学んだ回折格子の仕組みと同じであると理解できた生徒は大変喜んで、感動していた。ただ、一部の2年生にしかそのことを説明しなかったので、悔いが残る。