サイエンスキャンプ
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地球の未来を支える科学〜先端機能物質を体験しよう〜

キャンプ会場
関西大学 工学部
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35
URL:http://www.kansai-u.ac.jp/index.html

キャンプ会期
2004年3月25日(木)午後0時30分〜3月27日(土)午後1時30分 2泊3日

キャンププログラム
 
エネルギー問題、環境問題や高齢化問題など多くの問題に直面している現在、その問題を解決するために、多くの研究開発がなされています。エネルギー問題においては、一般家庭に使用されつつある太陽光発電の開発があり、高齢化問題においては、独居老人家庭の増加に伴い、多様な品質の良い冷凍食品の開発の必要性があります。
今回のキャンプでは次世代の産業界で活躍する先端機能物質のうち、次世代太陽電池と不凍タンパク質を特に取り上げ、それらを実際に造ったり、その活性を測定したりするとともに、このような機能物質を分析し、観察することを体験しました。
 

体験感想
サイエンスキャンプで学んだこと
静岡雙葉高等学校2年生
サイエンスキャンプでの3日間はあっという間でした。どの実験も興味深いものであったし、大学の先生や学生の方々にも色々とお話を伺うことができ、とても貴重な体験をさせて頂いたと思います。
 中でも、私は2種類の電子顕微鏡やX線回折装置等の実験装置に触れさせて頂いたことに一番感激しました。原子レベルの大きさのものを見ることができたり、X線によって結晶の構造や種類などを割り出してしまいます。これらの装置は、私に現代の科学技術の進歩を改めて知らしめました。そして、心から自分もこんな装置を使った実験をしてみたいと思いました。
 また、数々の貴重な実験では「地球の未来」について科学的な面から考えることを教えられました。私は今まで環境破壊を防ぐのには現代の科学技術を少しでも止めることしか考えていませんでした。しかし、現代の科学技術によって自然にやさしい新しい装置を作ったり、人類に役立つ物質を見つけ出すことで守れるものがあるということを知りました。今まで私の中では、自然に対して悪でしかなかった現代の科学技術の良い面も見れたことは大きな収穫です。人類の科学技術によって破壊された地球は、人類がまた科学技術によって元に戻さなければいけないということを強く実感させられました。これから私も環境問題の話を聞いた時には、もっと科学的な面から見ることができたらいいと思います。
 サイエンスキャンプで学び、知ったことはまだまだたくさんあります。大学でやりたいことも増え、将来を考える時の視野を広げることにもつながりました。私は本当にこのサイエンスキャンプに行って良かったと思います。そして最後に、大学の先生方をはじめとするこの企画に関わった全ての方々に心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

キャンプスケジュール
第1日目
(3月25日)

 12:30      集合【大学】
 13:00 13:15  開校式
 13:15 14:30  オリエンテーション、関西大学概要説明、講師紹介
 14:30 15:00  コーヒーブレーク
 15:00 18:00  次世代太陽電池を作ろう(基礎講義も含む)
  18:00 18:30  宿舎へモノレール、電車、徒歩で移動
  18:30 19:30  夕食
  19:30 21:30  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(3月26日)
7:00    朝食
8:30 9:00  会場へモノレール、徒歩、電車で移動
   9:00 12:00  機能物質を観察してみよう(基礎講義も含む)
 12:00 13:00  昼食
 13:00 14:00  施設見学「関西大学ハイテク・リサーチ・センター」
 14:00 17:00  不凍タンパク質に触れてみよう(基礎講義も含む)
 17:00 18:00  各学科施設の見学
 18:00 19:30  懇親会(夕食)
  19:30 20:00  宿舎へモノレール、電車、徒歩で移動
  20:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(3月27日)

7:00    朝食
8:30 9:00  会場へモノレール、徒歩、電車で移動
   9:00 12:00  機能物質を分析してみよう(基礎講義も含む)
 12:00 13:00  昼食
 13:00 13:30  修了式
 13:30      解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
大阪府立城東工業高等学校教諭 伊藤美代子 先生
写真

1)次世代太陽電池
 初日の午後、オリエンテーションから始まって、次世代太陽電池について、解説・実験が行われた。このテーマについては、じっくり解説し、考えるゆとりをもって実験させると、高校生なりの理解ができ感動もし、将来への応用・展望もわかり達成感の得られる内容だったと思う。しかし、時間があわただし過ぎたように思う。加熱の30分間などに、2ヶ所の見学をしたが(この内容は大変興味深かった)、実験内容についての説明や考察を行いゆとりをもって考えさせたほうが良かったかもしれない。あるいは、このテーマを2日目の午後にあて、じっくりと集中力を持たせて行ったほうが良かったとも思える。
 後で生徒に尋ねると、個人差はあるが2年生は、実験内容が理解できたようだが、1年生は内容があまり理解できなかったようだ。ただ、色素で光から電気が作れるというすごいことができるという不思議さや感動は味わったと思う。夜のミーティングでデータを発表しあって、結構良い結果が出たことを知り、嬉しかったようだ。

2)電子顕微鏡による観察
 2日目の午前、透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡について、その原理の説明を受け、実際に両方の顕微鏡を操作させてもらった。原理は難しくて、あまり理解できなかったようだが、テレビでしか見たことのない、高価な実物を操作できたこと自体に感動があったようだ。また、チタン合金の試料を金鋸で切り、切った断面の熱さを感じ、走査型電子顕微鏡用の試料台に貼り付けるといった操作も良い経験だったと思う。
 ただ、原理は難しいとはいえ、2年生の物理ですでに光の回折や干渉を学んでいる生徒もいた。その生徒たちだけが理解できるようであっても、関連付けた説明をもう少しきちんとしてあげればよかったと反省している。1年生には、学校に帰ってからの学習課題の一つになればよい。

3)不凍蛋白
 2日目の午後、疲れのため椅子に座った説明は眠くなるらしい。彼らは延々とワカサギを3枚におろし、ブナシメジをつぶした。ワカサギをミキサーにかけ、遠心分離機で蛋白を抽出する。その間に、氷の単結晶を顕微鏡で探すこともした。生徒たちは、全体像はあまりよくわからないままだったかもしれないが、マイクロピペットを使ったり、濃度を色の濃淡で感じたり、といった作業そのものを楽しんだようだ。もしもできるようであれば、ワカサギの量を減らしたりして時間を短縮し、自分達が抽出した蛋白質で実験ができないかという気はした。純粋な水は−39℃にならないと凍結しないということを知って、常識を覆させられた。

4)フロンHFC‐134aから蛍石を作る
3日目、環境問題について、特に地球の気層における問題についてガイダンスを受けた。フロンを燃焼によって処理するのではなく、その材料である蛍石(CaF2)にすることで、地球温暖化やオゾン層破壊の歯止めとなることを目指した研究・実験を見せていただいた。また、実社会での大量生産のためにプラントを考えるという観点も学んだ。

5)X線回折による同定
 白い物質、黒い物質、それぞれ4種、まず、目で見て当てる。それから、X線回折で確認するという極めて難しい実験をした。4班に分かれ、それぞれX線回折装置を操作させてもらい、見てわからないものを調べる方法を学んだ。学ぶということの遠い目標を一つ示されたような気がした。ここで、雲を掴むほど高度な目の前の実験が、実は物理で学んだ回折格子の仕組みと同じであると理解できた生徒は大変喜んで、感動していた。ただ、一部の2年生にしかそのことを説明しなかったので、悔いが残る。

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