<1日目:3月26日(金)> 集合は、現地の会場であった。大学校門前に、早い人は1時間近く前から到着していた模様。1名土浦からの参加者が若干遅刻。金井先生の携帯へ連絡があった。講義が始まる前から、女子3名は既に打ち解け会話が弾んでいる。男子4名の間では会話は無かった。 キャンプガイダンスは、キャンプ事務局山田氏が司会進行を取り仕切り、健康面の注意等細かく説明し、指導者の紹介なども手際よくやってくださった。 引き続き講義は、大学並みの90分間講義形式であった。「ロボットとは?センサーとは?」というテーマであった。センサーについては、人間の五感にそれぞれ対応するものが望まれるがどんなものを使っているかと発問され、参加者が答える形式で進められ、現在までに実現されている(実用化されている)のは、触覚・視覚・聴覚であり、実現されていないものは嗅覚と味覚であることを確認した。嗅覚と味覚については、ある特定の化学物質の濃度等を認識させることは可能だが、無数の物質を個別に認識させたり、混合割合まで認識させるのは困難であると説明を受けた。また、参加者が望むロボットはどんなロボットであるかを発言する機会があり、各参加者の発言の内容を2つのタイプに分け、人間が動作しにくい環境で危険な作業を代わりにやってくれる「作業型ロボット」と、人間の求めに応じて反応を返し、擬似的に癒しの効果を望めるような「コミュニケーション型ロボット」とし、現在、また今後の社会においても、この2つの方向性がロボットに期待されていることを明らかにした。着いて早々、90分間休憩なしの講義は辛いかと心配したが、どの参加者も興味を持って真剣に取り組んでいた。 その後、学内研究室の訪問を行なった。大学の特徴(学部1年次から強制的にゼミに割り振られ自主的な研究活動を行える、物作りに重点を置いている等)も交えて、2足歩行ロボット他様々なロボットについての研究を、映像付きで紹介してもらえた。 研究室に戻り、玩具ロボットの構造解析を行なった。玩具ロボットを一人一つ分解し、内部構造を確認する。分解に取り掛かる前に、ロボットの機能と仕組みについて解析・推察してから分解する。精密ドライバー1本で分解でき、基盤やマイクの存在を確認できる。コンデンサーを金井先生が分解して見せ、意外に単純な仕組みであることを示された。ブラックボックスではないことを強調された。 親睦と夕食を兼ねた懇親会は、大学側からも多数参加していただいたが、参加者同士で固まってしまう傾向がある。担当の指導者以外の教授陣とも積極的に話をできるような工夫があると良いように感じられた。 宿舎に移動し、1日目のミーティングにて自己紹介と玩具ロボットの組み立てを行なった。午後の実習で分解した玩具ロボットの組み直しは、“お土産”として宿舎に持ち越された。自己紹介もそこそこに作業に入りたがる(既に入っている)参加者が半数以上おり、その熱意に驚き、感心する。自前のハンダごてを持参した参加者もいた。
<2日目:3月27日(土)> ロボットシステム入門として、LEGO MINDSTORMS システムの概要を簡単に講義形式で説明し、実習に入る。マイコンブロックに、マニュアルに従って共通の車輪を付け動作の確認・プログラムの確認を行う。1日目は、この共通のボディのまま課題クリアを目指す。課題は、「黒い線で描かれた楕円形トラックの外から内側に入り、その後はトラックの内側から外に出ない」というもの。見本のプログラムと照らし合わせながら取り組むが、各個人によってペースもアプローチの仕方も異なり興味深い。つまづくとすぐに指導者の先生やTAの方を呼んでプログラムを見てもらい、直す間もそばに付いていてもらいたいタイプの人と、黙々と一人で行うタイプの人とに別れたが、指導者の先生やTAの方が適切に巡回しながらサポートをしてくれ、各自充実していた様子であった。指導者のアドバイスも、単純に正答を教えるのではなく、意図的に幾通りも正答が存在することや、うまくいかなかったとき、次にどうアプローチするかが重要であること等を強調していたように思われ、教育的に配慮された有効な指導の方法であると感じられた。課題をクリアできた人から、最終課題に向けたオリジナルボディ作りに移行した。 途中、金井研究室で行っている研究の施設を見学し、研究概要の説明を受ける。本来はロボットの研究室ではなく光技術の実用化を目指して研究されているそうで、ホログラフィー装置や、空気中に飛散している花粉の量をリアルタイムに実際に測定する技術の開発をしているとのこと。現在、天気予報などで報じられている“花粉予想”は、前日1日中外に出しておいたシャーレにどれだけ花粉が積もったかを参考に翌日の風向き等を考慮して出されているそうで、科学的な信頼性は低く、リアルタイムで花粉量の測定はされていないとのことである。 終了後、宿舎に戻り2日目ミーティングは、研究室からLEGOブロックとノート型PCを貸し出してもらえ、宿舎で作業の続きを行えることになっていた。夕食までの30分間にもロボット作りに取り組むなど熱心に取り組んでいた。そして夕食後も継続した。翌日には、最終課題にチャレンジし記録を測定するということで、今日のうちに完成型に少しでも近づけておきたいという心情がはたらき、作業時間が深夜に及んだ。ミーティングルームを解散させた後も、各室内で作業を続けた参加者もいたようである。 <3日目:3月28日(日)> 最終日は、課題ロボット製作でひたすら最終製作を行なった。課題用のフィールドとプログ ラム用PCの前を行ったり来たりしながら、各自で取り組んだ。途中お昼休憩を挟んだが、強制的に研究室を閉鎖しないと、食事抜きで作業を続けそうな勢いであった。また、1名の参加者がロボットを作業台から落としてしまい、原形をとどめないほどにバラバラに壊れてしまい、本人も途方に暮れた様子だったが、残り時間をにらみながら、TAの方がしっかりとサポートしてくれ、発表までに何とか形にして仕上げることができた。 ロボット発表は、順番に課題フィールドにて競技を行なった。最終課題は、3cm程の厚みのある板(ベニヤ板大)上のスタート地点(地面は白)から黒いラインを超えフィールドに入り、正方形の四隅が三角形に黒く塗られたフィールド内のブロックをフィールド外に落とすというものであった。得点は、フィールドに残されたブロックの重さを測り、スタート時のブロック重量から差し引く形で加点する。制限時間も設けられており、制限時間いっぱいまで作業をつづけられるとボーナスポイントが加点されるが、この加点を受けたのは1名だけ、しかも動いてはいたが実質的な作業は行えない状態であった。 ロボット発表が終わり、表彰式・閉講式が行なわれ、修了証が手渡された。金井先生からの講評をいただき、生徒は各自ロボット作りの楽しさ・難しさを感じられた様子であった。