<1日目:3月25日(木)>
お昼の12時30分に集合予定であったため、早くから昼食を取らずに生徒が集まって来た。学内の近くに学食があり、生徒を案内できよかった。事前に下見をしたおかげである。
開講式は博士課程3年の伊藤希之さんが進めてくれた。その後の有機ELと実験内容の説明は図版やビデオを多用してどんなものかイメージが生徒の中に湧かせることができたと思う。
有機蛍光物質の合成を4人で1グループ、3班に分かれ実際に実験に入った。各グループに指導者がおり、実験の進み具合に応じて説明をていねいに、しかもその都度生徒からの質問に答えながら生徒たちと会話するように話してくれた。操作するのは班員の1名であるが代わる代わる操作を行い、実験に参加しているという感じを与えてくれた。これも指導員が全員に同じ機会を与えるように注意をはらってくれた。高校の実験も4人1班が多いが、好きな人だけ操作して、残りの人は見ているだけという場面がしばしばある。実験ステップを細分化して交替で行わせるのは良い方法である。
合成されたものを評価するため、赤外分光分析測定、紫外・可視光の吸収測定、発光スペクトル測定の3グループに分かれ、持ち回りで実施した。各測定器の前でどんな機械で目的は何か説明してくれた。教室の講義とは違い目前にある機器での原理、機械の構造を時間をかけて話してくれ研究室にある機械に触れて感激した。1日目の終了予定時刻午後5時からずれて6時になっても測定を全部終了できなく、残りは2日目に延長した。2日目は余裕を持ったプログラムであるためあせることはなかった。
ミーティングは夕食後趣味やお国自慢を入れての自己紹介、途中で指導者である大学院生伊藤さんと元山さんが宿舎に来てくれ、研究者になった経緯や今日の実験での質問に答えてくれた。高校を卒業して進路を決めて行くわけであるがそのためにも指導者たちの飾らない話を聞けて良い刺激となった。
<2日目:3月26日(金)>
朝9時少し前に大学に到着、昨日の測定の残りを実施するとともに、有機ELの作成にとりかかる。今回は真空蒸着法を用いて行なう。高真空にするため油回転ポンプと油拡散ポンプの2段階で行なうが真空技術についても説明があった。装置の働きがどのようになっているか原理的なものをその都度教えてくれるので生徒たちにとって全部は理解できなくてもある程度理解できたのではないかと思う。高真空にするため時間がかかるのでその時間を利用して昨日の合成、蛍光スペクトルの測定について、会議室に戻り、考察を行なった。実験、測定しただけでなく数値計算を行い、どのような考察や結果が得られるか考える時間があり、研究の方法に触れる非常に良いプログラムであった。
昼食は大学生協でする予定であったがEL作製に時間がかかり、弁当を会議室で食べる。臨機応変、キャンプ事務局の田辺氏に感謝する。
作製した有機ELの素子特性評価するため輝度―電圧―電流密度特性と発光スペクトルの測定を行なう。1枚のガラスに4個のEL素子ができている。マスクの設定ミスで2個しかできなかったり、電圧をかけすぎて素子が破壊されてしまう現象に直接出会い、EL素子作製の難しさを体験できたと思う。この後、測定データを基に考察ディスカッションを行なう。