<1日目:3月28日(日)>
松下電器産業株式会社 電池研究所への参加者は男子7名、女子1名の合計8名である。午後5時に大日ターミナルホテルのロビーに集合、各部屋に分かれて荷物を置き、2Fのレストランで2つのテーブルに分かれて夕食をとる。まだ初対面のためあまり会話は、はずまない。コース料理形式のため予定の1時間を少しオーバーした。午後7時より少し遅れて、4F会議室でミーティングを行う。自己紹介や学校の自慢、このキャンプへの志望動機などを発表する。サイエンスキャンプに複数回参加しているベテランもいて自己紹介代わりに自分の所属する学校のクラブの冊子(交通関係)を参加メンバーに配布したりして次第に和みはじめる。その後諸連絡をして就寝する。
<2日目:3月29日(月)>
朝7時からレストランで朝食。7時50分にホテルをでて、15分ほど歩いて松下電器産業に到着する。R&D部門の会議室で人事担当の松岡さんと桐木さんからオリエンテーションを受ける。サイエンスキャンプ中は社員の方が着用する作業服を貸してもらって着用することになった。これは、研究員の一員になったようで参加者に好評であった。DVDを用いて松下電器の紹介を見る。最初に松下電器の製品のCFが流れた。福祉関係の製品のCFであるがとても心を打つ内容であった。ミーティングで福祉工学に興味があると言っていた参加者にとっても興味深い内容だったと思われる。その後、松下電器の製品が展示してある技術館を見学した。松下電器の創業時は家庭では今のようなコンセントから電源をとっていたのではなく電灯線のソケットからとっていたこと、そのために二股ソケットが有効だったことなどの説明を受けた。参加者の一人の志望動機にも書かれてあった非常に小さなメモリーミュージックプレイヤー、ハイブリッド車に使われているバッテリーのセル、アルカリ電池以来40年ぶりに開発された乾電池など参加者の興味は尽きず時間が足らないようであった。トークラボで昼食をとる。
午後からR&D部門内の電池研究所に移動し、電池総括担当の飯島先生から、燃料電池についての講義を受けた。休憩をはさんで、主席研究員の外邨先生から砂糖電池についての講義を受けた。その後、実験室に移り、A、B、Cの3班に分かれた。班分けについては、前回のウインター・サイエンスキャンプでの燃料電池のコースの経験者が3班に分かれるようにした。A班3名は外邨先生、B班3名は研究員の北條先生、C班2名は研究員の田中先生にそれぞれ指導していただいた。2日間の実験の説明、用いる装置器具の説明を受けた後、砂糖電池のセルの製作組み立てと各種溶液(0.1Mリン酸緩衝液、0.01Mグルコース溶液、0.1Mグルコース溶液、1Mグルコース溶液)の調整を行った。セルの組み立てでは、溶液漏れを起こさないように、均一にねじを適当な力で締めることが必要なので何度もやり直したり、各班とも苦労していたようであった。溶液の調整では電子天秤の使い方やメスフラスコの使い方、使用後のガラス器具の洗浄方法、廃棄物の分別など化学実験の基礎もいっしょに指導してもらった。電池の評価実験に用いるXYレコーダや実験室にあった溶接機の使い方も教えてもらった班もあった。
夕食はトークラボで懇親会である。サイエンスキャンプ全体の進行の世話をしていただいている人事担当の方も参加され、参加者中1名の女子生徒も話がはずんだようである。研究者の方と直接話をしながらの食事なので実験中には聞けなかったことなどいろいろなことについて会話をし、懇親を深めた。
ホテルに戻ってからのミーティングでは、1日の感想や1番印象に残ったことについて各自発表した。技術館で各製品を見学したことや、学校ではさわれない機械にさわったこと、研究員の方と直接話をしたことなどが印象深かったようであった。また、今日の実験についてはABCの各班は実験の内容を少しずつ変えてあるので各班で内容を発表し、明日の実験結果についても予想を行った。その後諸連絡をして就寝する。
<3日目:3月30日(火)>
朝7時からレストランで朝食。最終日のため各自荷物をまとめてロビーに集合し、ホテルを出発した。電池研究所の実験室で昨日の実験の続きを行った。セルに溶液を入れて各種実験測定(砂糖電極単極評価、空気極単極評価、起電力確認、電池発電実験)を行い、XYレコーダーでグラフを描いた。
トーキングラボで昼食の後、ABCの各班がそれぞれの実験についてプロジェクターを使って発表した。その後質疑応答、実験のまとめを行った。そのまま、閉校式に移り、各自修了証をもらってサイエンスキャンプは終了した。
初日から研究者の方が、参加生徒一人一人の名前を正しく把握しておられるほど、しっかりと準備がされたサイエンスキャンプであった。私自身初めてアドバイザーとして引率したが、理科好きの参加生徒たちから元気をもらったサイエンスキャンプであった。