サイエンスキャンプ
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科学の力で地球の未来を探る〜遺伝子資源と地球環境〜

キャンプ会場

国立大学法人 高知大学 海洋コア総合研究センター
〒783-8502 高知県南国市物部乙200
http://www.kochi-u.ac.jp/marine-core/
国立大学法人 高知大学 遺伝子実験施設
〒783-8502 高知県南国市物部乙200
http://www.rimg.kochi-u.ac.jp/jge.html


キャンプ会期
2005年12月23日(金・祝)13:00 〜 25日(日)14:00 2泊3日

キャンププログラム
 

地球環境はこれまでに様々な変動を起こし、生態系を形成し生息する生物も多種多彩であります。我々が簡単に触れることのできない深海底の環境変動の記録を明らかにしたり、我々が普段目にすることのできない生態系の微生物の姿や痕跡を知ったりすることによって、地球環境と生態系に潜む遺伝子資源について考えてみました。
本プログラムでは、深海底で掘削された堆積物の柱状試料(コア)の分析を通して地球の環境変動を学ぶ「海洋コアコース」と、様々な環境にある土壌や生物試料に生息する微生物や遺伝子を分離して、その生物学的観察と遺伝子の分子生物学的解析によって遺伝子資源について学ぶ「遺伝子資源コース」の2つのコースに分かれました。

 

体験感想
明日の地球を海洋コアから学ぶ
岩手県立水沢高等学校1年生
私は、将来、様々な環境問題を、南極の棚氷を観測するなど海流の面から研究したいと希望している。特に、2007年から08年は南極観測開始50年を迎えることを記念して、国際極年と位置づけられているので、新たな研究成果が発表されるのではないかと今から期待している。南国高知大学にある海洋コア総合研究センターで開催されたウインター・サイエンスキャンプに、みちのく岩手から参加した理由も、「氷河時代の海の環境を探る」というテーマに心惹かれたからだ。
私は、近年稀に見る大雪を前にして、集合日時に間に合わせるために、前日に高知空港に降り立った。その時、目にした椰子の木と頬をなでる風のぬくもりに、日本は南北に細長いことを実感した。そして、研修を終えた私は東北に戻り、深い雪の世界に閉ざされながら、地球温暖化による異常気象が、この冬の寒冷現象の誘因になっているのではないかと心配し、今回の研修で学んだ「海洋コアから調べる地球の成り立ち」の資料を改めて開かずにはいられなかった。今回の研修で最も印象的であったのは、実際に研究船に乗船して、浦ノ内湾でプランクトンと海底堆積物を採取したことだ。自分で採取した堆積物を実体顕微鏡で観察した際、動くプランクトンを見つけた時の喜びは今でも忘れられない。
また、「氷河時代の海をさぐる」の講義も大変興味深かった。地球環境システム自体が温暖化と寒冷化を繰り返していたことを学び、現在の地球温暖化の先にどのような現象が待ち受けているのか、海洋コアを研究することによって予測出来るということが面白かった。私達は未来に向って明日を生きていくのに、その指針は過去からしか学べない。地球の海底に残された堆積物を研究し、現在、直面している環境問題を解決する手掛かりを得ることは、私が将来目指していることでもある。今回、研修で教えていただいた先生方、そして一緒に学んだ皆さんに心から感謝したい。

キャンプスケジュール
第1日目
(12月23日)
A ・Bコース共通
12:00 12:20 土佐山田駅バス出向かえ
13:00   集合【大学】
13:15 13:30 開講式、プログラム説明、講師紹介等
A.「海洋コア」コース
13:30 14:30 海洋生物教育研究センターへバスで移動
14:30 16:30 船で採集
16:30 17:30 実習(試料処理)
17:30 18:30 ホテルへバスで移動
B.「遺伝子資源」コース
13:30 16:00 農学部キャンパス内で採集
16:00 18:00 遺伝子実験施設で実習(試料処理)
18:00 18:30 ホテルへバスで移動
A ・B コース共通
18:30 19:30 夕食
20:00 20:45 講義「食と健康:病気を予防する食べ物について考える」
20:45 21:30 参加者&引率者ミーティング
第2日目
(12月24日)
A ・B コース共通
7:00   朝食
8:30 9:00 会場へバスで移動
A.「海洋コア」コース
9:00 10:00 講義「海洋コア研究最前線(ビデオ鑑賞等)」
10:10 12:00 海洋コアの観察とX 線CT 解析の実習
12:00 13:00 昼食
13:00 13:40 講義「氷河時代の海をさぐる」
13:50 15:50 微化石の抽出と実体顕微鏡観察・分類
16:00 17:00 質量分析計による酸素同位体比測定の準備
17:00 17:30 質量分析計による酸素同位体比測定の実施
17:30 18:00 遺伝子実験施設見学
B.「遺伝子資源」コース
9:00 10:00 微生物と遺伝子資源について講義
10:00 12:00 微生物の単離と観察、DNA 抽出について
12:00 13:00 昼食
13:00 15:20 微生物や土壌試料からのDNA 調製
15:30 16:30 酵素遺伝子とrDNA のPCR (PCR待ち時間にコアセンター見学)
16:30 17:20 遺伝子組換えについて
17:30 18:00 DNA シーケンサーによる塩基配列解析
A ・B コース共通
18:00 18:45 講義「地球環境科学の現状と展望」
19:00 20:30 相互見学と懇親会(夕食)
20:40 21:00 宿舎へバスで移動
21:00 22:00 参加者&引率者ミーティング
第3日目
(12月25日)
A ・B コース共通
7:00   朝食
8:30 9:00 会場へバスで移動
A.「海洋コア」コース
9:00 10:20 微化石の電子顕微鏡観察
10:30 12:00 測定データのまとめと総括
B.「遺伝子資源」コース
9:00 11:00 DNA 塩基配列の解読とDNA データベース
11:00 12:00 データのまとめと総括
A ・B コース共通
12:00 12:45 昼食
12:45 14:00 各コースの実験結果報告、まとめ
14:00 14:30 閉講式
14:30     解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
明治学園中学高等学校 教諭
 
第1日目 12月23日(金・祝)
雪による列車の遅れで心配していたが、開講式を10分遅れで開始でき、その後はすぐ2コースに分かれ、実習に入れたのでほっとした。「海洋コアコース」では、頭痛がある生徒は船での採集はさせず、休ませておいたので、その後は元気に実習に参加できて良かった。船での寒さはかなり厳しかったようなので、参加のしおりに、防寒の用意について、具体的に明記した方がいいと思う。夜は、講義の後にミーティングだったため、あまり時間がなく、自己紹介と翌日のスケジュールの説明で終わった。

第2日目 12月24日(土)
それぞれのコースに分かれ、実習を行った。実験の待ち時間にも、講義や解説が行われ、時間が有効に使われていたが、予定されていたそれぞれのコースの見方ができなかったのが残念であった。
実習後講演があり、その後懇親会でホテルに戻ったのが9時ごろだったため、ミーティング会場が約1時間しか使えず、それぞれの部屋でプレゼンテーションの準備をしなければならず、もう少し時間の余裕が欲しかった。

第3日目 12月25日(日)
午前中、それぞれのコースの結果が出そろい、プレゼンテーションの時間のぎりぎりまでまとめにかかってしまった。このプレゼンテーションの時しか、他のコースの内容を知る時間がとれなかったので、2コースの交流のための時間が欲しかったと思う。

大阪府立今宮高等学校 教諭
 
第1日目 12月23日(金・祝)
例年にない寒波と大雪のため、3名程(両コースで数名・新幹線で米原以東の生徒)集合が遅れ、開講式を30分程度遅らせた。そのため、開講式を簡潔にして大学のマイクロバスで海洋生物教育センターに向かう。車中で簡単な自己紹介と、講師から今回のプログラムの概要を説明していただく。
実習船に乗る際、生徒の1人が「頭痛がする」というので、船には乗せずに教育センターで休ませた。2時間近く乗船して、プランクトンの採取・コアの採取・泥や砂の採取の、3つの作業を全員が行ったが、寒くて風が強い中であるにもかかわらず、熱心に取り組んでいた。
下船後、生物教育センターで、採集したプランクトンを顕微鏡で観察したが、生徒達はスケッチに熱心に取り組んでおり、質問も良くしていた。頭痛の生徒も回復したようで実習に合流した。
バスが宿舎に到着するもすぐに夕食、その後8時より「食と生活」という演題で講演があったが、疲れているにもかかわらず、皆よく聴いていた。
ミーティングでは両コースが一堂に会して、1人ずつ自己紹介をする。大学のスタッフの方々も参加していただき、なかなかよい雰囲気で自己紹介が行われた。その後コース別に分かれてミーティング、海洋コアコースは最終日の発表のために内容ごとに3つの班に分けた。ミーティング後、生徒を引率して、近くのコンビニへ飲み物や夜食などを買いに行く。初日は疲れている生徒も多いことから、早めに寝るよう指示する。

第2日目 12月24日(土)
起床・朝食・会場への移動(ホテルのバス)は予定通り順調に進んだ。午前中は、「海洋コアから調べる地球の成り立ち」というテーマで海洋コア研究の最前線の講義を聞く。また、海洋コアの保管庫に保管されている世界各地の海洋コアの見学を含め、最先端の諸々の実験施設を見学した。特に、最近完成して現在試験航行している深海掘削船「ちきゅう」の掘削資料を見せてもらったが、生徒達は大変感慨深いようであったし、生徒以上に私自身が興奮してしまった。さらに実習では、いくつかの海洋コアの観察と説明、及び各種海底堆積物と昨日採集した資料を、双眼実体顕微鏡や偏光顕微鏡で観察する。実習では、終始スタッフや学生の方々が懇切丁寧に指導してくれたのは大変ありがたかった。
大学の学食で昼食をとった後、午後は「氷河時代の海を探る」と題して、海洋コア中の微化石を使って地球の環境変動を探る方法の講義を受け、実習に入った。四国沖の約1.5万年前の海洋コアのサンプルを使って、実際に有孔虫の化石を取り出し、双眼実体顕微鏡にて観察・分類の作業を行った。特に酸素同位体比の測定に用いられる有孔虫(グロビゲリナルーバー)の10個体を顕微鏡で見ながら取り出すという、細やかな作業に皆熱心に取り組んだ。同位体地球化学の説明を受けた後、質量分析計にかける作業をスタッフの方々のリードで行った。(結果は翌日になる)
この後、「遺伝子資源」コースの実験施設の見学と説明を受ける予定であったが、時間が押し詰まっていたので中止となった。「遺伝子資源」コースの「海洋コア」コース見学も中止となった。
午後6時から、「地球環境の問題を整理し、前向きな解決方法を考えてみよう」というテーマで両コースの生徒に講演があり、その後学食で懇親会を実施する。クリスマスケーキまで用意され、和やかな雰囲気のパーティーとなった。参加者ひとりずつの自己紹介と将来の目標を語るのを聞くに付け、「皆それぞれしっかりとした将来に対する目標を持っている」と感心した。
宿舎に戻り、班毎に翌日の発表のための作業を行った。昨年の「デジカメで撮影した画像をパソコンに取り込むのに手間取った」との反省の基に、今年はカードリーダー・ライターを持参していったが、結構それが役に立った。生徒達だけで、上手くパソコンでまとめていくのを見るに付け、感心した。やはり、このような行事に自ら希望して参加する生徒のレベルの高さを認識した。結局まとめの作業は、部屋に戻ってからもすることとなったが、11時30分ごろには終えるよう指示し、入浴後就寝となったが、12時過ぎにはどの部屋も静かであった。

第3日目 12月25日(日)
朝食後、集合時刻になっても、女子の1部屋(2名)がそろっていないので、部屋まで迎えに行く。一定時刻には起こしに行く必要がある。
午前中は、先ず皆で前日取り出した有孔虫を電子顕微鏡で観察する準備を行う。その後、班毎にプレゼンテーションの準備と、電子顕微鏡の観察・写真撮影を同時進行で行う。特に、前日の同位体比の測定については、その値の結果に緊張感が走る。このころになるとスタッフと生徒とのコミュニケーションが取れ、活発な意見交流がなされていた。少しまとめの時間が足りないように感じたが、昼食の後、遺伝子実験施設に移って発表会となった。
発表会は、まず遺伝子資源コースが2人1組で5班が発表し、続いて海洋コアコースが発表。考察までの時間が不足気味だったので、発表には心配したが、私の予想以上にすばらしいプレゼンテーションとなった。閉講式後、ひとりひとりに副学長から修了証が授与されて記念写真の後解散。「海洋コア」コースの生徒には、実習風景や顕微鏡写真のCDと大西洋底の有孔虫の化石をお土産としていただく。
参加者どうしは連絡先を交換し合ったりして名残惜しそうにして帰路についた。
開催状況部分のみとなります。

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