サイエンスキャンプ
HOME HOME
開催報告 開催報告トップ
ウィンター・サイエンスキャンプ2005-2006 ウィンター・サイエンスキャンプ2005-2006 トップ キャンプ開催概要 キャンプ参加者 プログラム報告

のぞいてみよう!科学技術を支える光の科学〜マイクロ波からγ線まで〜

キャンプ会場
中部大学 工学部 先進計測研究センター・工学基礎教室
〒487-8501 愛知県春日井市松本町1200
http://www.chubu.ac.jp/

キャンプ会期
2005年12月26日(月)13:00 〜 28日(水)13:30 2泊3日

キャンププログラム
 

私達の周りにはいろんな光(電磁波)が満ちあふれています。光は私達にとって欠かせないものです。可視光線を中心に、いろんな光で何が分かるのか、私達の生活や科学技術にどのように利用しているのか、今後どのように活かそうとしているのかを、身近な物で工作実験したり、大学生が使う実験装置で実験したり、最先端研究装置で実験して、体験を通して、光の科学(光の世界)を考えます。
今回は、電磁波(光)の周波数の低いマイクロ波領域からγ線まで、周波数に沿って旅をしました。中でも中部大学の先進計測研究センターの赤外・遠赤外レーザー装置は世界最高出力と性能を誇っており、大変珍しい装置です。このレーザーは、核融合のための超高温・高密度のプラズマを測定したり、高エネルギー電子ビームとの相互作用でγ線を発生させて原子核物理研究に使ったり、等の先端研究に使われています。このレーザーを用いた実験を体験しました。いろんな実験をしながら、楽しく研究者と物理や科学技術のロマンについて語り合ったりしました。

 

体験感想
科学の道につづくもの
学校法人高田学苑 高田高校1年生
キャンプに行く前、私は日々の生活に疑問を感じていました。学校の授業は大変で、でもそれが将来なんの役に立つかわからない。ただ漫然と生活し続ける未来が見えない自分・・・・・。そんな時、学校の先生からこのキャンプのことを知らされました。理系で物理と数学がわりと好きだったので参加してみることにしました。すると驚きました。この中部大学でのキャンプではまず電磁波と光についての講義を受けるのですが、そこで高校で習った知識を応用して複雑な光の世界を詳しく分かりやすく説明してくれたのです。僕はこれによりこのキャンプにいっきに引きこまれました。続く実験でもいくつかは教科書の端に載っていたものもありましたが、しかしやってみると大変おもしろく、光の干渉実験では蛍光灯で作られた虹のような光に感激し、ヘルツの実験では遠く離れた発光ダイオードをつける装置をつくり、成功したときには皆がそれぞれ飛び上がって喜びました。その後レーザーについての講義を聞き、そして大学のレーザー実験室を見学しました。そこでキャンプの講師で、レーザーの研究をしている教授の先生が自分の研究の姿勢について話をしてくれました。そのときの言葉、「世界で誰も知らないことを研究するのは本当に面白い」が今でも印象に残っています。
このキャンプを通して感じること、それは「どんな勉強でも科学の道につながっていて、その先はどこまでも未来へとつづいている」ということです。僕が今まで無駄だと思っていた学校の勉強もどこかで最先端の科学につながっていることにようやく気付きました。そして研究するということはその道を一歩でも遠くへ切り開こうとする行為であることを教授の先生の態度に教えられました。今回のキャンプで僕はたくさんの人と出会いました。中には研究者でないものを目指す人もいます。それでも僕達は科学の道でつながっています。これからも交流していこうと思っています。

キャンプスケジュール
第1日目
(12月26日)
13:00 13:15 集合【大学】
13:15 13:30 開講式、オリエンテーション
13:30 15:00 講義1 電磁波の科学、光の科学
15:15 16:30 実験1 電磁波を知る実験、光の性質を知る実験
16:30 17:00 実験のまとめとディスカッション
17:30 19:00 懇親会(夕食)
19:20 19:50 宿舎へタクシーで移動
20:00 21:30 参加者&引率者ミーティング
第2日目
(12月27日)
7:00

8:00

朝食
8:20 8:50 会場へタクシーで移動
9:00 9:30 当日の概要説明
9:30 10:30 講義2 レーザーの科学
10:45 12:00 実験2 レーザーの仕組みを知る実験、可視光レーザーで測る実験
12:00 13:00 昼食
13:00 14:00 講義3 炭酸ガスレーザー励起の遠赤外レーザー
14:15 15:30 実験3 先進計測研究センターの見学
と炭酸ガスレーザー励起の遠赤外レーザー実験
15:45 17:15 γ線、宇宙線(高エネルギー光子)に関する講義と実験
17:15 19:00 懇談会(夕食)
19:20 19:50 宿舎へタクシーで移動
20:00 21:30 参加者&引率者ミーティング
第3日目
(12月28日)
7:00 8:00

朝食

8:20 8:50 会場へタクシーで移動
9:00 9:30 当日の概要説明
9:30 11:00 先進計測研究センター他見学
11:00 12:00 キャンプのまとめとディスカッション
12:00 13:00 昼食
13:00 13:30 閉講式
13:30     解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
岐阜県立土岐紅陵高等学校 教諭
 
<1日目:12月26日(月)>
担当教授自己紹介
幼少の頃の家庭や父母の話、大学時代の話など大変ユニークで興味深い内容であった。その話がいつの間にか研究者になった経緯へとつながり1時間あまりに及んだ自己紹介であったが、参加者は飽きることなく聞き入っていた。
講義1「電磁波の科学・光の科学」
易しく丁寧な説明でこれから何が起こるのだろうと期待させる講義であった。
実験1「ヘルツの実験装置」&「LEDを用いた万華鏡」
ハンダ付けに戸惑う生徒もいたが、大きな失敗をすることもなく全員が完成できた。圧電素子によって電波が発生していることを実感できたようであった。
懇親会
夕食と自己紹介を兼ねておこなった。固さがとれてみんな和んできた。
ミーティング(大学内で)
担当教授が様々な小道具(光とは無関係だが)を持参し、それをもとに生徒たちに問題を投げかけることでフリートークの講座のような雰囲気になった。参加者は皆熱心。アドバイザーとしてはほとんど出番なしという状態であった。
ホテルへ移動
宿舎へ帰着したのは9時を過ぎており、少々疲れ気味の参加者もいたため、翌日の朝食と出発時間のみ連絡し、就寝とした。

<2日目 12月27日(火)>
講義2「レーザーの科学」
観察用のスペクトル管やレーザーによる光学的な演出もあり、参加者は光の色やレーザーの原理について熱心に質問していた。
実験2「光通信」
マイク付きCCDカメラの信号を、音声を赤色LEDで、映像を青色LEDでモニターテレビへ送信するという電子工作をおこなった。担当教授が熱心に材料を探してくださったおかげで、モニター以外の部品は全て予算におさまっており持ち帰りができた。参加者にとってはこのキャンプ最大のおみやげであった。この工作は他のメニューの合間を縫って断続的におこなわれ、全員が完成したのは夜の10時近い時間であった。
講義3「炭酸ガスレーザー」
目に見えない遠赤外線レーザーだが、紙が瞬時に燃え始めるのを見ると一同に驚きの声があがった。定常波ができている様子をグラフ化しプリントアウトしたものをコピーしていただいた。山と山のピークの距離がレーザーの半波長分になっていることがよく分かるものであった。
実験3「先進計測研究センター(脳・神経・運動情報研究グループ)」
最先端の研究の一部を見せていただき、内容が分かるかどうかというよりは興味を持って見学をしていた。多くの参加者は将来の自分の姿を想像していたに違いない。
講義「宇宙線・ガンマ線について」(助教授による)
宇宙線についての説明よりも、宇宙線をどうやって観測するのかということが興味深い講義であった。研究者のイメージは、白衣を身につけ実験室などに閉じこもっているイメージを抱きがちであるが、高山に巨大装置を設置し体力で勝負する時もあるということが高校生の目には新鮮に映ったようであった。講義の後半はアルファ線の飛跡を見るための「霧箱」を作り、実際にアルファ線の飛跡を観察することができた。
工作が遅くなったため、ミーティングなしでホテルへ移動。生徒たちはかなり疲れていたはずだが翌日のプレゼンテーションへも意欲的で、ホテル帰着後もその準備に取り組む者が多かった。

<3日目:12月28日(水)>
見学「先進計測研究センター(ナノ構造制御計測光学素子開発グループ)」
X線を反射させるためのミラーを作るため、ナノメートルの厚さで金属を蒸着させている現場を見学した。参加者はそのミラーを何にどのように用いるかというよりも原子数個の単位で膜の厚さを制御していることに感心していた。
プレゼンテーション
初日に担当教授より「夢を語ってほしい」という要望があり、まとめと言うよりは自分の将来を語る生徒が多かった。研究者になりたいと言う生徒、母親の病気をきっかけに放射線技能士を目指すようになった経緯を話す生徒、将来を決められないと話す生徒、物理か数学か専門に迷う生徒などそれぞれが自己の考えを包み隠さず話した。その話しぶりに参加生徒のみならずスタッフも感銘を受けた。こんなにすばらしい考えを持っている高校生がいると思うと、まだまだ日本は捨てたものではないという印象を持った。
閉講式
中部大学長から直々に修了証書を手渡され、記念撮影までさせていただき良い記念を残してキャンプを終えることができた。
開催状況部分のみとなります。

前のプログラムへ 超伝導を作ろう 〜高温で見い出された超伝導体の謎〜雪と氷の世界を体験しよう 〜雪結晶から地球環境まで〜種々の気体の粘度を測ってみよう有機の光で照らしてみよう〜有機ELを作る〜燃料電池を作って水素から電気を起こそう知ろう・創ろう自然エネルギーマイコン制御ロボットをつくろうのぞいてみよう!科学技術を支える光の科学〜マイクロ波からγ線まで〜太陽電池と超伝導体を作ってみよう解明しよう!緑と都市環境のメカニズム体験しよう!風力発電の技術生命の海を科学する〜海洋のミクロ生態系〜科学の力で地球の未来を探る〜遺伝子資源と地球環境〜生きていることと生きること〜遺伝子の世界と脳の世界〜次世代ホームロボットを動かしてみよう 次のプログラムへ

ウィンター・サイエンスキャンプ2005-2006開催報告トップ開催概要キャンプ参加者プログラム報告
このページの先頭へ

財団法人 日本科学技術振興財団
振興事業部
サイエンスキャンプ事務局
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園2番1号
TEL. 03-3212-2454  FAX. 03-3212-0014
E-mail
日本科学技術振興財団HP
科学技術館HP
日本科学技術振興財団振興事業部HP
(C) 2012 Japan Science Foundation All Rights Reserved.