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有機の光で照らしてみよう〜有機ELを作る〜

キャンプ会場
国立大学法人 山形大学 工学部 機能高分子工学科
〒992-8510 山形県米沢市城南4-3-16
http://ckido8.yz.yamagata-u.ac.jp

キャンプ会期
2005年12月26日(月)17:00 〜 28日(水)15:20 2泊3日

キャンププログラム
 
蛍光性の有機化合物を電気で光らせる装置のことを有機EL素子といいます。有機EL素子は、厚さが1mm 以下と極めて薄く高効率発光する環境に優しい面発光デバイスです。このため次世代の薄型テレビや照明器材への応用が注目されています。今回のキャンプでは、蛍光性の有機化合物を、フラスコなどを使って実際に合成し、合成した蛍光材料などを使って有機EL素子を作製しました。つづいて作製した素子に電気を流すことで、その明るさや効率などを測定して蛍光灯などの既存の光源と比較しました。またディスプレイなど実際に応用された製品を見ることにより有機ELの応用について考えました。  

体験感想
実験結果から見えてくるもの
海城高等学校1年生
私は、研究室というすばらしい環境の中で一日中実験できることに惹かれてサイエンスキャンプに応募した。実際に参加してみて、数々の実験を通じて多くの新発見をすることができた。だが、私はそれ以上に、実験の結果から考察することの大切さを学んだような気がした。
キャンプで扱ったテーマはとても難しいものだった。テキストが配られたときは、実習の内容を理解できるかどうか不安になった。そうして行われた実験、初めて見る装置を前にして、最初は何をやっているのかわからなかった。だが、得られた結果からどんなことがわかるのか、またそれをどう応用できるのかを大学院生の方がわかりやすく説明してくださった。それによって「ふーん」としか思えなかったことが「なるほど」と思えるようになった。
このキャンプでは実験のまとめに多くの時間を使った。各班に与えられたテーマについて考察し、プレゼンテーションの準備をした。共に参加した仲間と知恵を出し合い、自分達なりにまとめていった。まとめていくうちに、新たな疑問が生まれてくる、そんな時には大学院生にすぐに質問をした。そうして、また一つ「なるほど」が増えていった。とてもやりがいのある作業であった。
プレゼンテーションが終了すると、聞いてくれた仲間から質問が飛んできた。正直言って焦った。手元に答えがない。けれども自分なりに考えて回答した。回答が良かったと大学院生の方に褒められた。とても自信がついた。
実験結果を考察することによって次へとつながる何かを見い出し、また実験を進める。この繰り返しによって研究がどんどん深まっていくのだと実感した。次は自分の番、実験結果をしっかりと考察できる目を持ち、社会の役に立つ成果を生み出せる研究者を目指していきたいと思う。

キャンプスケジュール
第1日目
(12月26日)
17:00 17:30 集合【宿舎】
18:00 19:00 夕食
19:00 21:00 参加者&引率者ミーティング
第2日目
(12月27日)
7:00

 

朝食
8:00 8:50 会場へバスで移動(路線バス)
9:00 9:15 開講式
9:15 9:30 実験内容の説明
9:30 10:00 有機蛍光物質の合成
10:00 12:00 有機蛍光物質の光物性解析
12:00 13:00 昼食
13:00 18:30 有機EL 素子の作製・評価
18:30 20:00 懇親会(夕食)
20:10 20:20 宿舎へタクシーで移動
20:30 22:00 参加者&引率者ミーティング
第3日目
(12月28日)
7:00   朝食
8:00 8:50 会場へバスで移動(路線バス)
9:00 12:00 実験のまとめ
12:00 13:00 昼食
13:00 14:00 実験のまとめ
14:00 15:00 ディスカッション
15:00 15:20 閉講式
15:20     解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
筑波大学附属駒場高等学校 教諭
 
<1日目:12月26日(月)>
 大雪で山形新幹線が遅れ、米沢駅のバスの発着時刻も当てにならず、タクシー乗り場は長蛇の列であった。私のほか、何人かの生徒は雪道を宿舎まで歩いた(約30分)。他の生徒は、バスやタクシーを辛抱して待ったようだ。奇跡的?に遅刻者はいなかった。
 夕食後のミーティングでは、自己紹介や学校自慢、参加の動機、将来の夢などを語ってもらった。なかなか緊張がほぐれなかったが、参加2回目の生徒らが雰囲気を盛り上げてくれた。私からは、諸注意のほか、分光シートを配布して、光(電磁波)に関する簡単な説明を行った。ミーティング終了は、21:30。

<2日目:12月27日(火)>
 朝食後、激しく雪が降る中、ジャンボタクシー2台に分乗して会場に向かった。会場には予定よりだいぶ早く到着できた。会議室で行われた開校式では、担当教授から有機ELに関する簡単な講義を受け、その後、午前中は3班(各4名)に分かれて実験室に移り、大学院生の指導のもと、Alq3(有機蛍光物質)の合成と光物性解析(可視・発光・赤外吸収スペクトル測定)を行った。
 午後は、蒸着法による有機EL素子の作製と完成した素子を実際に発光させて測定・評価を行った。また、余った時間で、実験機器・施設の見学を行った。高校生には、難解な用語・内容については、私から適宜解説を加えた。
 終了後、会議室で懇親会を行った。担当教授のご家族も参加され、自己紹介の後、即席サイン会、担当教授出演のTV番組(DVD)放映、誕生日の生徒へのケーキの差し入れなどもあり、時間を超過して盛り上がった。帰路も、ジャンボタクシーを利用した。
 ミーティングは、今日の実験について感想を述べてもらい、疑問点についてはできる範囲で説明した。後半は、班ごとに発表テーマが与えられていたので、実験ノート(ワークシート)の作成と発表に向けての準備を行った。ミーティング終了は、22:30。

<3日目:12月28日(水)>
 朝食後、チェックアウト。大雪の中を、荷物を持ってジャンボタクシーで会場に向かった。午前中は班ごとに大学院生の指導のもと、実験結果のまとめ・発表準備(パワーポイントによるスライド作製)を行った。パワーポイントは、事前にスライドのテンプレートが用意されていたほか、扱ったことのある生徒も多く、十分に使いこなしていた。担当教授が急用で午後は不在となるため、午前中の最後に担当教授への質問と記念撮影を行った。多くの生徒から、積極的に質問が出され、担当教授には丁寧に答えていただいた。
 午後は、班ごとに与えられたテーマについての発表と質疑応答が行われた。各班の発表内容について多くの質問が出され、生徒どうしで議論になる場面も数多くみられ、盛り上がった。その後、閉講式が行われ、修了証とお土産の有機EL素子が手渡され、代表の生徒からご指導いただいた大学院生にお礼のことばを述べて閉会した。
開催状況部分のみとなります。

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