「とにかく現場を見てみたい」そんな思いでサイエンスキャンプに応募しました。特に手では触ることのできない光の実体に興味があったので「有機ELを作る」というテーマを希望しましたが、その願いが叶い自分の想像をはるかに超える刺激と感動を得ることができました。中でも、最先端の研究現場をこの目で見て肌で感じられたこと、自分で実験ができたこと、研究者の方々と話ができたことは今までに経験したことのない興奮でした。
実験では、AlCl3・6H2Oに8-hydroxyquinolineを反応させAlq3を合成しました。次に物質を蒸着し有機EL素子を作製しました。実際に自分達で作製した有機EL素子を光らせたときは、「ディスプレイはこれが集まったものなんだ」と思わず声をあげそうになりました。沢山の人々の努力の結晶である研究や技術は日常生活に直結しているものなのだと思いました。実験で使用している単位が私の日常からみて、ことごとく小さいこと、有機ELが環境に左右されやすい繊細なものであることにも驚きました。そして、新製品が出るスピードよりもそれまでのプロセスがいかに長く大変なことかということが分かりました。実験の内容や講義は私にはまだ難しすぎることもありましたが、先生方や大学院生の方々が熱心に1つ1つ教えてくださったお蔭で、質問することが出来る程度にまで理解が進んだと思います。また、同じテーマに興味をもった仲間と実験結果のグラフを囲み、考察し、発表のために話し合ったことも楽しい経験でした。
自分の知識のなさや考え方の狭さを感じることもありましたが、それと同時に探求心は増したように思えます。今回のサイエンスキャンプで未知への扉を少し開けたことで、ますます科学に興味と憧れを持ちました。この経験で得たものを大切にしてこれからの進路選択を考えていきたいと思っています。このような機会を与えてくださり、本当にありがとうございました。
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