<1日目:1月5日(月)>
開校式そして燃料電池の講義が続いた。講義はよくまとまったもので、内容も高度ではあるが、高校生にも理解できるものであった。エントロピーや自由エネルギーのところの説明は、さすがに簡単には理解できず、後日の大学院生による個々の生徒への説明で解消された。その日の最後は懇親会。和やかな雰囲気であった。ホテルでのミーティングでは、疲れているにもかかわらず、だいぶ遅くまでかかってしまった。
<2日目:1月6日(火)>
朝の散策。大学構内を散歩した。驚いたことに、朝が早いにもかかわらず約半数の生徒が参加した。帰ってから朝食。誰一人遅れることなく集合。徒歩で大学に向かった。予定時間よりも早く着いてしまった。2日目の日程は、燃料電池の作成。単なるキットの組み立てではなくて、カーボンペーパーに白金を担持した炭素粉末を溶媒に溶かして塗ってゆくという作業で、各班それぞれ独自の組成に挑戦し、できた燃料電池の良し悪しを午後の性能のテストで競った。高校の1年生と3年生の学力の差は想像以上であり、何故水素が電子をわざわざ放しイオンになるのか、何が反応を押し進めているのか等、実際はすんなりと理解してもらえないところであるが、実験を通すことで違和感なく受け入れられたと思う。「習うより慣れろ」とよく言われるが、白金を担持した炭素の塗布や乾燥、燃料電池の組み立てなど、今何をやっているのか、どの部分を扱っているのかなど、実際に手にして作ることで理解が進んだ(慣れた)のだと思う。
ホテルに帰ってからは、ミーティグとゲームを行い、お互いの親睦を深めた。すぐ静かになったので大丈夫と思ったのは引率の私だけで、生徒たちは実はこの後、各部屋で寝る時間を惜しんで本日の内容について教え合い、明日の発表について討論を行ったようである(これは大収穫である)。
<3日目:1月7日(水)>
最終日は、産業技術総合研究所つくばセンターの見学を行った。実際の燃料電池の研究現場を訪れて、見て、話を聞いて帰った。見るもの聞くもの、大変興味をそそった。
帰ってきて、研究発表に入った。発表については、「感想半分でどのようなものができたか」程度の発表でよいと伝えてあったにもかかわらず、大変本格的で、よくまとまっていた。彼らの意欲と能力の高さ、そして高校にコンピュータが導入され、パワーポイントなどを利用した発表がなされている成果が現れた。大変に頼もしい限りである。日本人が恥ずかしがり屋で、発表が下手という先入観は、教育がしっかりなされていなかったためと思われる。