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燃料電池を作って水素から電気を起こそう

キャンプ会場
筑波大学 工学システム学類
〒305-8573 茨城県つくば市天王台1−1−1
URL:http://www.esys.tsukuba.ac.jp/

キャンプ会期
2004年1月5日(月)午後1時〜1月7日(水)午後2時30分 2泊3日

キャンププログラム
 
エネルギーの利用増加による環境問題と資源枯渇問題が懸念されています。これらを解決する技術として水素エネルギーや燃料電池が多くの期待を集めています。しかし、これらの技術は古くから原理が知られていながら、何故今開発が盛んなのでしょうか?また、近い将来に実現させるためにはどんなことを解決していかなければならないのでしょうか?ここでは基本原理の講義や試作と実験等の実習を通じて、燃料電池のおもしろさや難しさを学びました。
さらに最先端の研究開発の状況にも触れることによって、クリーンエネルギー技術の全貌に迫りました。
 

体験感想
興味・探究・研究
国立明石工業高等専門学校2年生
今回、このキャンプでは研究職に大いに魅力を感じることになりました。科学技術の研究の面白さを知る3日間になったと思います。
 まず、1日目は講義を受けました。参考図書を読み、ある程度理解したつもりでしたが講義でついていけない部分が多々ありました。燃料電池の原理を概略的に説明したら簡単ですが、その中の厳密な仕組みには多くの要素が複雑に絡み合っていました。電池本体だけでなく燃料の保存、運搬方法から改質器等の機構、電力の使用方法に至るまで様々な課題があるそうです。それぞれの課題への対処方法を聞く中で研究されている方の成果がにじみ出てくるように感じました。それと同時に、きっと楽しいだろうなと思いました。仕組みを知るにつれ、僕はもっと知りたい気持ちでいっぱいになっていました。以前から物の仕組みには関心がありましたが、このキャンプでその思いはより一層強くなったと思います。
2日目は、実際に制作し実験をしました。その夜、僕たちはみんなの実験結果を見て「どうしてこの結果が出たのか」と深く追求したことがありませんでした。学校で行う実験は結果が分っている場合が多くて、その必要がなかったのです。また、僕はたとえ不思議と思ったことがあったとしても「知らないから」とそのまま放置していました。ところが今回は違いました。みんなで不思議と思った点を持ち寄りました。僕は、その中で「ああ、そうか。考えたり調べたりすればどんどん知識と興味が広がっていくのだな」と実感しました。そして、気がつくとその作業に夢中になっていました。まだまだ、分らないことだらけで、未だに僕の中の探究心は醒めそうにありません。研究とはこのようなものなのかと思いました。

キャンプスケジュール
第1日目
(1月5日)

13:00    集合【大学】
13:30 14:30  オリエンテーション、 筑波大学概要説明、講師紹介
14:40 16:40  基礎講義「燃料電池と水素エネルギー」
16:40 17:30  事前準備(実験および工作に係わる方法説明等)
18:00 20:00  懇親会(夕食)
20:00 20:30  宿舎へ徒歩で移動
20:30 21:00  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(1月6日)
7:00    朝食
8:30 9:00  会場へ徒歩で移動
9:00 12:00  燃料電池および水素エネルギーに関する実験研究
12:00 13:00  昼食
13:00 19:00  燃料電池および水素エネルギーに関する実験研究
19:00 19:30  宿舎へ徒歩で移動
19:30 20:30  夕食
20:30 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(1月7日)

7:00    朝食
8:30 9:00  会場へ徒歩で移動
9:00 11:00  燃料電池応用開発見学〔産業技術総合研究所〕
11:00 12:00  研究レポートとりまとめ
12:00 13:00  昼食
13:00 14:00  研究発表、討論、総評
14:00 14:30  修了式
14:30      解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
千葉県立薬園台高等学校 教諭 中臺文夫 先生

写真
<1日目:1月5日(月)>
開校式そして燃料電池の講義が続いた。講義はよくまとまったもので、内容も高度ではあるが、高校生にも理解できるものであった。エントロピーや自由エネルギーのところの説明は、さすがに簡単には理解できず、後日の大学院生による個々の生徒への説明で解消された。その日の最後は懇親会。和やかな雰囲気であった。ホテルでのミーティングでは、疲れているにもかかわらず、だいぶ遅くまでかかってしまった。

<2日目:1月6日(火)>
朝の散策。大学構内を散歩した。驚いたことに、朝が早いにもかかわらず約半数の生徒が参加した。帰ってから朝食。誰一人遅れることなく集合。徒歩で大学に向かった。予定時間よりも早く着いてしまった。2日目の日程は、燃料電池の作成。単なるキットの組み立てではなくて、カーボンペーパーに白金を担持した炭素粉末を溶媒に溶かして塗ってゆくという作業で、各班それぞれ独自の組成に挑戦し、できた燃料電池の良し悪しを午後の性能のテストで競った。高校の1年生と3年生の学力の差は想像以上であり、何故水素が電子をわざわざ放しイオンになるのか、何が反応を押し進めているのか等、実際はすんなりと理解してもらえないところであるが、実験を通すことで違和感なく受け入れられたと思う。「習うより慣れろ」とよく言われるが、白金を担持した炭素の塗布や乾燥、燃料電池の組み立てなど、今何をやっているのか、どの部分を扱っているのかなど、実際に手にして作ることで理解が進んだ(慣れた)のだと思う。
ホテルに帰ってからは、ミーティグとゲームを行い、お互いの親睦を深めた。すぐ静かになったので大丈夫と思ったのは引率の私だけで、生徒たちは実はこの後、各部屋で寝る時間を惜しんで本日の内容について教え合い、明日の発表について討論を行ったようである(これは大収穫である)。

<3日目:1月7日(水)>
最終日は、産業技術総合研究所つくばセンターの見学を行った。実際の燃料電池の研究現場を訪れて、見て、話を聞いて帰った。見るもの聞くもの、大変興味をそそった。
帰ってきて、研究発表に入った。発表については、「感想半分でどのようなものができたか」程度の発表でよいと伝えてあったにもかかわらず、大変本格的で、よくまとまっていた。彼らの意欲と能力の高さ、そして高校にコンピュータが導入され、パワーポイントなどを利用した発表がなされている成果が現れた。大変に頼もしい限りである。日本人が恥ずかしがり屋で、発表が下手という先入観は、教育がしっかりなされていなかったためと思われる。

開催状況部分のみとなります。
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