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細胞の世界を探ろう

キャンプ会場
熊本大学 理学部
〒326-8558 熊本県熊本市黒髪2−39−1
URL:http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/index-j.html

キャンプ会期
2003年12月25日(木)午後5時〜12月27日(土)午後3時 2泊3日

キャンププログラム
 
バイオの世界は、今後ますます人類の未来に夢と希望を与える可能性を秘めています。その可能性を理解するために、バイオの基本単位である細胞の世界がどのような構造と機能を持っているかをさまざまな角度から実験を通して探りました。そのため、参加者が、関連する先端的技術や実験機器に触れ、細胞の世界を実感として把握するとともに、日ごろ体験できない研究の楽しさも味わいました。  

体験感想
100年分の3日間
慶応義塾高等学校1年生
ラットやザリガニの体の複雑さや微生物のたくましさ、植物の奥深さを実験を通して学ぶことができた。将来に夢を持った人達に会えた。そして夢を叶えた現役の研究者の方に会えた。その他もろもろこのサイエンスキャンプで学んだことは、日常生活では決して体験できないものであり、決して忘れることはないだろう。
 全て上手くいった訳ではなかった。ザリガニの解剖は途中で挫折したし、疑問ができて誰にも聞けず後で慘めな思いにもなった。それでも、それを含めた上でこの3日間を振り返っても、脊髄を切断した瞬間に動かなくなった時は生命の尊さを感じ、植物の単一に見える色が様々な色で構成されていることを実感した時は嬉しかった。夜に皆で集まり談笑したこともいい思い出になるだろう。
 これらのことは、僕が将来どのようなことをやるにしても、何らかの形で役に立つと思う。その意味でこのキャンプは「100年分の3日間」であった。最先端の科学について知り、触れることを目的としていったこのキャンプで、目的以上のものを得ることができ満足している。

キャンプスケジュール
第1日目
(12月25日)

17:00      集合【宿舎】
18:00 19:00  夕食
19:00 21:00  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(12月26日)
7:30    朝食
9:00 10:00  会場へ路線バスで移動
10:00 10:30  開校式(講師紹介、参加者自己紹介、ガイダンス)
10:30 12:00  導入講義
12:00 13:00  昼食
13:00 14:30  細胞増殖に関する実験
14:30 17:30  細胞構造の観察および細胞分画
17:30 19:30  懇親会(夕食)
19:30 20:30  宿舎へ路線バスで移動
  20:30 21:00  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(12月27日)

7:30    朝食
8:30 9:30  会場へ路線バスで移動
9:30 10:00  コロニー観察、増殖状態の測定
10:00 12:00  細胞に含まれる色素
12:00 13:00  昼食
13:00 14:30  細胞膜の特性
14:30 15:00  閉校式(まとめ、感想発表、修了証授与)
15:00      解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
熊本県立鹿本農業高等学校教諭 新田 晃 先生

写真
募集要項に「“見て”“触れて”“測れる”体験的内容を通して、細胞の世界を把握してもらいます」とあるが正にその通りの内容であった。参加した生徒10名男子6名・女子4名、1年生5名・2年生4名・3年生1名であった。開催状況は下記の通りです。

<1日目:12月25日(土)>
「細胞の増殖に関する実験」
実験A
平板培養によるバクテリアの増殖
細胞増殖に及ぼす塩分の影響を見るために、NaClを(0M、0.5M、1.0M、1.5M、2.0M)含む平板培地に大腸菌、枯草菌、C.violaceum、S.rubidaea、河川水を塗布した。一晩、静置培養して細胞増殖の状態を観察することになった。

実験B
液体培養によるバクテリアの増殖
0M濃度のNaClの液体培地に大腸菌、枯草菌、C.violaceum、S.rubidaea、河川水を少量滴下した。一晩、振盪培養して細胞増殖の状態を観察することになった。

実験C
テトラヒメナおよびミエローマ培養細胞における細胞増殖
原生動物であるテトラヒメナを、ペプトン液に入れた。
一晩30℃で静置培養して増殖の状態を観察することになった。
ミエローマ培養細胞を培地に加え、37℃、5%炭酸ガスの恒温器に入れて、一晩、静置培養して増殖の状態を観察することになった。

いずれもクリーンベンチを使っての実験であったが、「クリーンベンチを初めて使用して実験できた」ということが生徒にとっては喜びとなった。また、結果が翌日には出るということで楽しみにしていた。

「白ネズミの肝臓からミトコンドリアを単離しよう」
苦痛を与えない殺し方をすると言うことで見学をしたが、実験動物の運命を考えると生徒の反応にも複雑なものがあった。肝臓を取り出す過程で他の臓器の名称についても説明をしていただいた。
ミトコンドリアの単離も手順に従って実施することによって確実に出来た。また、事前に作成してあった試料を使って電子顕微鏡でミトコンドリアの構造を観察することが出来た。
生徒は、電子顕微鏡を初めて見たり、操作することが出来て感動していた。

<2日目:12月26日(金)>
「コロニー、細胞増殖の観察」
昨日の「細胞の増殖に関する実験」の結果を観察した。全員実験操作は成功していた。
微生物の種類によって、塩分濃度に対する反応が異なること。また、鮮やかに着色している物もあり、視覚で細胞増殖の様子を確認することが出来た。
動物細胞は、変化が少なく短時間では、増殖が進まないことも分かった。

「植物細胞に含まれる色素」
実験1
ユキノシタの表皮細胞の顕微鏡観察
顕微鏡でアントシアニンで満たされている赤い液胞を観察した。

実験2
サザンカの花弁
アントシアニンを抽出して、吸収スペクトルを分光光度計で測定した。

実験3
マツバボタンの培養細胞
ベタシアニンを抽出して、吸収スペクトルを分光光度計で測定した。

実験4
ムラサキカタバミの葉
クロロフィルを抽出して、吸収スペクトルを分光光度計で測定した。
簡単な実験操作で、植物に含まれる色素の違いと吸収スペクトルの違いを観察することが出来た。分光光度計が1台あると高校現場でもすぐに取り入れることの出来る実験内容であった。

「細胞膜の特性」
双眼実体顕微鏡下でザリガニを解剖して、腹ずいの下に記録用電極を挿入した。活動電位の信号をスピーカーにつないで音で確認することができた。
音を聞くための装置は、市販の機器を組み合わせて手作りされた物であった。また、イモリを飼育されており、卵からの生育段階を観察することが出来た。
実験に必要な備品や機器類は、購入すると高額であり高校の実験費程度では、十分対応することが出来ない。そのため、実験器具がないから実験できないと弁解しがちであるが、指導者の創意工夫が必要であることを再認識した。

開催状況部分のみとなります。
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