サイエンスキャンプ
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「生命のミクロとナノの探求と冒険」

キャンプ会場
産業技術総合研究所 ティッシュエンジニアリング研究センター
〒661-0974 兵庫県尼崎市若王寺3−11−46
URL:http://unit.aist.go.jp/terc/

キャンプ会期
2003年11月22日(土)午後0時30分〜24日(月・振替休日)午後2時 2泊3日

キャンププログラム
 
生命科学で扱われるサイズを理解する事から始め、メートル、ミリメートル、マイクロメートル、ナノメートルの各大きさの世界を人体、組織、細胞、DNAを対象として生命の各大きさの世界を探求しました。
また、各世界を冒険する為に必要な科学の道具を紹介して、実際に生命の各大きさの世界を探求した。その他、バイオテクノロジーの先端動向に関してのディスカッションなども行い、未来の生命科学を考えました。
 

体験感想
自分の未来が見えた!
清心女子高等学校3年生
サイエンスキャンプから帰ってきた翌日、学校で友達が「私の性格がとても変わったからどうしたのか」と聞いてきました。他人にも分かるほど、私はこの3日間で変われたみたいです。あれだけ個性的な仲間に囲まれ、なおかつ偉大な研究者の方と3日間も過ごせれば、誰でも価値観や考え方は変わるものだと思いました。
サイエンスキャンプで最も学んだことは、目に見えないものを目に見えるものに置き換えてゆく方法です。実験で、抗生物質に対して耐性を持たせたナノメートルサイズの大腸菌が、抗生物質が入っているプレートでナノメートルサイズの形で観察できた時には感動しました。普段使えない高度な実験器具も1人1人使わせくれて、とても貴重な体験になったと思います。
 研究者たちとの触れ合いも、たくさんありました。研究者達の、いい結果がでるかどうかも分からないのに、どんどん追求していく追求心に圧倒されました。その意志の強さはどこから来るのだろうと、やはり「病気に苦しんでいる人たちを助けたい」という気持ちからだと思います。しかし、こんなに素晴らしい研究者達がいて、こんなに素晴らしい機械も揃っている研究センターでも、まだまだ人間の仕組みについて未知なことは山ほどあるということを知りました。それほど生命というものは奥深く、神秘的なのだと思います。その生命をすべて解読した時には、私達に何が待ち受けているのだろうと考えると少し恐ろしい気持ちもしました。
 この3日間はとても濃い内容で、様々なことを考えさせられました。私は薬科大に進学するので、この体験を原動力にDNA治療ができるような薬を開発したいと思っています。

キャンプスケジュール
第1日目
(11月22日)
12:30      集合【センター】
13:00 14:00  オリエンテーション
14:00 15:00  TERCの見学
  15:00 18:00  ピペット使用方法説明
 実験1 DNAを見る
 ゲル電気泳動法
  18:00 19:00  宿舎へ徒歩、電車で移動
  19:00 20:00  夕食
  20:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(11月23日)  
7:30    朝食
9:00 10:00  会場へ徒歩、電車で移動
10:00 11:30  講義「生命とミクロとナノの探求と冒険」
11:30 12:30  昼食
12:30 14:00  実験2 DNAの動きを調べる トランスフォーメーショーン法
14:00 14:15  休憩
14:15 18:00  実験3 ミクロの世界を見る 電子顕微鏡法
18:00 19:30  懇親会(夕食)
19:30 20:30  宿舎へ徒歩、電車で移動
20:30 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(11月24日)

7:30    朝食
9:00 10:00  会場へ徒歩、電車で移動
10:00 11:30  実験のまとめ DNA、トランスフォーメーショーン法、電子顕微鏡法
11:30 13:30  製作&昼食
13:30 14:00  閉講式
14:00      解散【センター】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
千葉県立佐倉高等学校教諭 川上義孝 先生

写真
<1日目:11月22日(土)>TERC(ティッシュエンジニアリング研究センター)の説明と見学
 三宅センター長が施設の案内だけではなく、次世代を担う生徒達にと、インパクトのある自らの人生観を、興味ある内容で語っていただいたことが、まず印象的であった。特に自らがこの職を求めた理由を、「人間の認識を変える仕事をしたい」としたことには、生徒達にも感動を与えた。
 続く講義では、ミクロをみる道具としての顕微鏡(光学、電子)による相違点を実際に使う立場から教示してもらえた。また実験や講義にはいるための概念や具体的な道具であるマイクロピペットの使用方法、電機泳動法などの実習を交えて科学する手法について基本となる考え方について細かに講義された。
 1日目は初対面同士での緊張感もあったが、男女がそれぞれ6名ずつということもあり、宿舎に到着した頃には、和やかになっていた。ただ、食事がロビーでのテーブルに分散する形で2〜3名ずつが離れ、同時に開始・終了ができなかったのは残念であった。ミーティングでは、ホテル内に別室を用意してあり、約1時間半自己紹介やら翌日の期待やら遠路の疲れも見せず、歓談できた。

<第2日目:11月23日(日)>講義と実験
 朝食も同じくロビーで、他の泊まり客と同時であったので、一斉にはできなかった。電車で向かう生徒達は元気いっぱいであった。
 まずは、科学は自然哲学であり、「思弁」と「帰納」が基本であり、結果がどうであるかではなくその「方法」が大切なのであるという科学者のあるべきスタンスについての導入があり、ゲノムとは何か、それをどう現実的に把握するかの方法についての講義と実験が行われた。
 基礎的な遺伝子導入実験として「抗生物質に耐性を示す細菌を遺伝子操作によって産みだし、結果を検討する」ことが行われた。抗生物質は微生物によってつくられ、他の生物や細胞の生育または機能を阻止する物質であり、医療以外にも畜産や水産にも多く使用されるため、耐性を示す細菌が生じ、その感染症が問題になっている。
 ここでは、大腸菌をコンピテントセルとして、プラスミドDNAに抗生物質耐性遺伝子ベクターを導入して、PCR法によって増殖。プレート上で培養して、コロニーの結果を観察するというものである。生徒達は、見るもの、聞くものが全て初体験であり、指導のまま黙々とこなしていた。この段階では、情報量が多すぎて未消化であり、本当に疲れた表情を見せていた。
 夕食を兼ねての懇親会が開かれ、研究者達との歓談の中で、おそるおそるかいま見ることのできた遺伝子操作について、興味深そうに話に聞き入っていた。

<3日目:11月24日(月・振替休日)>実験のまとめ
 自分たちで育種した抗生物質に耐性を持つ(薬剤耐性)、新たな大腸菌の培養地での結果を発表し、その結果について「思弁」、「類推」と「実証」、「帰納」のやり方を具体的な形で行う手法にTERCのすばらしさを実感した。同じ結果が得られたとき、または異なる結果が得られたときにそれぞれの操作方法について、その原因は何だったのか、またその結果は果たして正しいといえるだろうかなど具体的に考え討議していくことの大切さをよく講義してもらえた。現在の学校での講義、実験の後のこの過程の経験のない生徒達には新鮮であったろう。本当の意味での「探求活動」とはどういうものであるかを実感したに違いない。ただ、この場面では、そのほかの時には活発であったものも、なかなか自分の意見が発表できないことから、この部分にこそ日本の教育に欠け、せっかくのすばらしい人材を育成していく上でのつまずきを感じた。この点を考慮して、このプログラムの作成が行われたことについてもTERCの素晴らしさがあったことに感動した。通り一遍の施設見学と、講義実験だけで終わるのではなく、その結果の報告の仕方。全員での結果や内容の検討などよい締めくくりの内容であった。こういうプログラムこそが、サイエンスキャンプにふさわしいと思われる。
 最後の修了式の前には、実験中に撮影した細胞などの写真をTシャツにプリントしてもらい、よい記念となった。今回の別会場プログラムのほとんどは、大学の研究室であった。この産業技術総合研究所が唯一の公的研究機関であり、最先端技術の実際が研究員の人柄と姿勢から、生徒達にはまたとないすばらしい体験となったことと思う。今後とも本研究所には、多くの高校生達を紹介してやりたいものである。

開催状況部分のみとなります。
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