<2日目:11月23日(日)> 朝一番は、39℃もの高熱を押して来てくださった石浦章一先生による「生命科学でわかること」の講義。東大女子学生の人数の推移からお話しが始まり、途中いくつものクイズを織り交ぜながら、ワクワクするような話題を次々と提供してくださいました。 続いて笹川 昇先生ご指導による遺伝子導入の実験。ひとつは、アフリカミドリザルの腎臓由来培養細胞に、オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質の遺伝子(通称GFP)と脂質の複合体を加えるというもの。笹川先生の「専門用語を使って説明する部分もあるので、最初は大変でしょうが、これこそが研究の最先端にいることの証でもあるわけですから、その雰囲気をおおいに楽しみましょう!」とのアナウンスに、一同頷きながら実験を開始しました。 次は、制限酵素を用いてDNAの断片を作る実験。数種の制限酵素を、組合せを替えてそれぞれDNAに加えました。そしてもうひとつが、遺伝子組換え大腸菌作り。抗生物質耐性遺伝子を組み込んだ大腸菌と、そうでないもの(対照)を用意し別々に培養しました。 昼食の後、1日目に採取・培養した胸筋と心臓の細胞を各自観察。筋芽細胞が複数融合して多核となった「筋管細胞」などを観察し、さらに蛍光抗体法による筋分化の観察等を行いました。 この日、高校生が一様に歓声を上げたのが、GFP導入マウスでした。暗い部屋で紫外線ランプを当てると、愛らしいマウスの耳や足、尾などがきれいな緑色に発光しました(解剖すると内臓まで光るとのこと)。 最後は、生協食堂に移動しての懇親会。ご馳走をほおばりながら、指導にあたってくださった諸先生方、およびTA(大学院生・学部生)のみなさんと楽しく歓談することができました。
<3日目:11月24日(月・振替休日)> 遺伝子導入実験の続きとして、電気泳動法によるDNA断片と発現タンパク質の確認等を行いました。 昼食後は、片対数方眼紙に検量線(マーカーDNAのバンドパターンを読みとって作成) を引き、それを基準に各自が自分で切ったDNA断片の長さの推定を試みました。時間の関係で、制限酵素断片地図作成実習」はできませんでしたが、配られた解答に、みな興味深く見入っていました。 続いて培養中のケラトサイトを観察。金魚の鱗から遊離したケラトサイトが顕微鏡下でゆっくりと動くところを観察しました。 そして、キャンプの最後を飾ってくださったのが、総合文化研究科長の浅島 誠先生。浅島先生は、自ら発見したアクビチン(濃度に応じて未分化細胞を異なる組織や器官に誘導するタンパク質)により、試験管の中でカエルの未分化細胞から眼球を作り出すことに成功し、それをカエルに移植したら目として機能したことなど、発生生物学および臓器再生研究の第一人者ならではのお話しを、それはわかり易く解説してくださいました。 その後、浅島先生からひとりひとりに修了証と記念品が手渡され、3日間のウインターサイエンスキャンプは無事終了となりました。