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遺伝子からタンパク質へ

キャンプ会場
愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター
〒790-8577 愛媛県松山市文京町3番
URL:http://www.ehime-u.ac.jp/shokai/shisetsu_center/cell.html

キャンプ会期
2003年12月25日(木)午後0時40分〜12月27日(土)午後2時30分 2泊3日

キャンププログラム
 
生命活動の多様性や巧妙な仕組みを解明する上でタンパク質の構造と機能の解析は不可欠です。ここ20年、遺伝子組み換え技術の進展と普及によって、多くの生物でゲノム解析が進められ、タンパク質の設計図である遺伝情報を簡単に利用できるようになってきました。そして近年、ゲノム情報を利用してタンパク質を多量に合成したり、人為的に改変したりしてそれらの機能を調べる手法が生命科学における重要な研究手段となっています。
今回のサイエンスキャンプでは、このような遺伝子組み換え技術、タンパク質の大量発現とアミノ酸配列の決定法などの実習を通じて、生命科学の先端研究についての理解を深めました。
 

体験感想
充実した3日間
熊本県立熊本高等学校2年生
「大腸菌が光った!」この時の感動は今でも忘れない。昨日、オワンクラゲの光るタンパク質の遺伝子を含むDNAに接続し、組み換えによって大腸菌を形質転換させ培養したのだ。そして今日、私の手で作った遺伝子組み換え大腸菌がこの世に存在したというわけだ。サイエンスキャンプ2日目のことであった。
 もともと栄養学に興味があり、大学もその方面に進学しようと考えていたときにこのキャンプの存在を知った私は、好奇心からこの「遺伝子からタンパク質へ」という愛媛大学で行われる企画に応募した。実際このキャンプに参加できることとなり、予習のつもりでクローン関係の本を読んだのだが、そのとき初めて人間はタンパク質からできていること、さらにそのタンパク質は遺伝子の配列によって決まるということを知ったのである。そこからもっと深く知りたい、実際に体験してみたいという思いが強くなり、様々な期待を胸に秘めてこのキャンプ会場までやってきたのだ。
 遺伝子組み換えの技術は、私の想像をはるかに超えており、冒頭に書いたとおり高校生の生物に対する興味だけであまり知識のない私にも、簡単にできてしまったのだ。今まで想像だけだったこの技術の世界を実際に体験することで少しだけ研究者の生活に触れた気もした。また他県から集まった様々な考え方を持つ仲間と過ごせた3日間は本当に充実していて、あらゆる角度からの指摘や遺伝子組み換え技術に対しての倫理的問題点など、普段一人よがりに考えてしまうことを補えるような形でディスカッションできたことも強く心に残っている。
 このキャンプでは、遺伝子組み換えの技術はもちろんのこと、仲間との交流や研究者の生活等、本では味わえない部分まで見ることができた。是非私の将来につなげていきたい。

キャンプスケジュール
第1日目
(12月25日)

12:40      集合【大学】
13:00 13:15  開校式
13:15 15:00  組み換えDNAの作製
15:00 16:00  遺伝子操作に関する解説
  16:00 18:00  組み換え遺伝子の導入
  18:00 18:30  宿舎へ徒歩で移動
  19:00 20:00  夕食
  20:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第2日目
(12月26日)
7:00    朝食
8:30 9:00  会場へ徒歩で移動
9:00 10:00  大腸菌の液体培養
10:00 12:00  PCRによるDNAの増幅と分析
12:00 13:00  昼食
13:00 14:30  無細胞合成系による組み換えタンパク質の発現
  14:30 16:00  タンパク質の大量発現に関する解説
  16:00 18:00  組み換えタンパク質の精製と電気泳動によるタンパク質の分析
  18:00 19:30  懇親会(夕食)
  19:30 20:00  宿舎へ徒歩で移動
  20:00 21:30  参加者&引率者ミーティング
第3日目
(12月27日)

7:00    朝食
8:30 9:00  会場へ徒歩で移動
9:00 11:00  プラスミドDNAの調製と分析
11:00 12:00  タンパク質分析法の解説
12:00 13:00  昼食
13:00 14:15  質量分析によるタンパク質の分析
14:15 14:30  修了式
14:30      解散【大学】


アドバイザー(高校理科教師)の開催報告
兵庫県立神戸高塚高等学校教諭 泉 伸一 先生

写真
今回のサイエンスキャンプでは、遺伝子操作の基本から最先端のcell-freeの技術まで体験でき、有意義なものでした。
 遺伝子操作はオワンクラゲの発光タンパク質遺伝子を使って行われました。クラゲの遺伝子を大腸菌に導入し、発光タンパク質の合成を確認しました。合成されたタンパク質量は非常に多く、肉眼でも十分発光がわかりました。このタンパク質の大きさを測定し、予想される大きさに一致するかどうかを確かめました。さらに、大腸菌中に遺伝子が本当に導入されたかどうかを確認しました。大腸菌を壊し、PCR法によって遺伝子を多量に合成し、電気泳動で遺伝子の大きさを確認しました。
 無細胞生命工学研究センターの遠藤弥重太センター長から最先端の研究の概要を解説していただき、簡単な実習もしていただきました。参加した生徒には大腸菌に導入した遺伝子が働いたことと、試験管中で遺伝子が働いたことの区別があまりできなかったと思いますが、世界中で愛媛大学だけで可能な実験であることはわかったと思います。
 また、田中耕一さんが基礎をつくりノーベル賞の対象となった質量分析機を使って、タンパク質の分析も体験しました。生徒が実物を見るのは初めてで、操作もさせていただき、精密な測定値がすぐに出てくることに驚いていました。

大学との連携
 今回の大学側代表者として、理学部の林先生には、非常にお世話になりました。プログラムはすべて林先生の企画で、特にcell-freeのタンパク質の合成は、他では体験できないものでした。引率者としては、細胞外で約2時間という短い間に、大腸菌中であれば24時間を必要とする反応が行われたことには大変驚きました。
 また、学部4回生4名が各班毎に終始ご指導いただき、生徒にとっては心強く活動できました。生徒の細かい動きにも気を配っていただき、有意義な活動ができたのはすべて林先生を始め、協力いただいた皆さんのご尽力のおかげです。地元の新聞社、放送局から取材があり、新聞・テレビで報道され、生徒は自分たちの活動が注目されていることに気づいたと思います。四国でのはじめてのサイエンスキャンプなので、話題性もあり、新聞記事は生徒の良いお土産になったと思います。

開催状況部分のみとなります。
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