今回の同志社大学工学部で行われたウインター・サイエンスキャンプは、クリスマス当日の12月25日(木)から2泊3日の予定で、32名(男16名、女16名)の参加で行われ、その内訳は3年生 1名、2年生 18名、1年生 13名であった。
その内容は、ガラス繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP)の代わりに、日本人に身近な竹の繊維を原料とした、環境にやさしい新素材(グリーンコンポジット)を用いてサンドボードを作ってみようというものであった。なお、サンドボードとは、雪の上で行うスノーボードを砂の上で行うものである。また、このグリーンコンポジットは、従来の石油から作られるプラスチックや石油エネルギーを多量に消費して作られるガラス繊維が地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素の発生を少なくできる可能性のある新素材である。
全国から集まった互いに見知らぬ32名もの生徒達には、当日10名以上の学生の協力態勢がとられており、予定の実習が和気藹々とした雰囲気の中、着実に進められた。サポートスタッフは、下記のとおりである。
・PD(Program Director:大学生の取りまとめ役)1名
・Co(Counselor:各班の引率大学生)6班で6名
・St(Staff:各実習項目で補助する大学生)およびSC(Staff Chief:そのまとめ役)
総勢10名以上
本プログラムが30名以上のもの多人数にもかかわらず順調に行えたのは、藤井先生やその研究室の学生達の緻密な計画と周到な準備のおかげであった。また、テーマが比較的現在の高校生に欠けている「もの作り」であり講義中心でなく作業が多く含まれたことにもあると思われる。これら実習に伴う、有機溶媒の扱い方の注意や安全対策として、マスクを着用したり、作業における衣服の汚れ防止用使い捨て作業着の着用、糸鋸による切断作業における危険対策としての学生による補助者の配備等々多くの配慮もなされていた。
また、初日の宿舎における則元京都大学教授による身近な竹に関するお話も、具体的で参加者はリラックスした雰囲気の中で新たな知識を得る内容であり、興味関心を抱くタイムリーなものであった。さらに、懇親会での藤井先生が実演されたエジソンの蓄音機も科学と技術の進歩を認知する意味においても良い題材であった。
さらに、空いている時間には実習を行った工学部のみならず、大学の施設を見聞できる機会となった。