サマー・サイエンスキャンプ2006

参加者の感想

本当に良かった

農業技術研究機構 東北農業研究センター
(現:農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター)

私は、サイエンスキャンプに参加できて、本当に良かったと思います。今までの進路研究は、大学に行ったりするだけで、実際の研究所を見たことがありませんでした。しかしサイエンスキャンプでは、研究所の中も見学できたし、どのような研究が、どうやって行われているか、ほんの少しでも知ることができました。また、研究員になるためには、どのようなことが大切なのか、高校生のうちに、しておくことは何か、ということも聞けたので、本当に良い経験だったと思います。
サイエンスキャンプは、多くの人に参加してもらうために、経験者は合格しづらいのは、わかっていますが、来年も応募します。また、同じクラスの人や、理系クラスの人に、体験してもらいたい行事だと思います。だから、クラスの人や、理系クラスの人に参加してもらえるように、キャンプの事を模造紙にまとめ、理科室に展示しました。それを見た友達や、後輩が、サイエンスキャンプに参加し、私のように、将来のことを考えて欲しいと思います。また、我が校の理科が活発になれば良いと思います。
サイエンスキャンプに参加して、本当に良かったです。

(栃木県・高校2年生)

このテーマには結論がない

農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
(現:農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター)

私は今回サイエンスキャンプには、いろいろな思いを持って参加させて頂きました。
一番印象に残っているのは、体外受精と受精卵の操作です。なぜかと言うと、何回か授業で聞いたことがあって一度は自分でやってみたいと思っていたからです。そう思っていたことが本当に出来たのはうれしかったです。
他にも沢山の事を3日間勉強しました。牧草ってなに?イネも牧草?という事からはじまり、牛乳を搾ってバターを作ったり、バイオマスと堆肥の利用について勉強しました。
今回このサイエンスキャンプにはテーマがもうけられていました。それは、「Livestockと資源循環」でした。3日間勉強して来ましたが、最後の日には結論が出せませんでした。
しかし、帰って来て、よくかんがえた結果なんとなく私の中での結論が出ました。それが本当にあっているのかはわかりませんけど、たぶんこのテーマには結論がないと思いますので、これからもこのテーマについて、いろいろな勉強をしたいと思います。

(広島県・高校2年生)

遺伝子、DNAというひとつの単位

農業生物資源研究所

3日間の研究や講義のうち、最も私の心に残ったのは、カイコのDNAの抽出実験です。DNAというものはどの生物の体内にも存在しています。しかし、私達はそれを、普段肉眼で見ることはできません。カイコのDNAの抽出実験を行うにあたって、まず、専門の研究者の先生がDNAの仕組みや単位などを分かりやすく説明して下さいました。そして、昆虫とヒトのDNAの違いを利用した自らのテーマについてもお話をして下さいました。それは昆虫のもつ抗菌タンパク質を薬に応用することができないだろうか、ということでした。今まで昆虫とヒトはあまりにも違いすぎると思っていました。しかし、地球上では昆虫の数は全生物の半分以上であり、ヒトと昆虫の遺伝子を比べると大きな違いはないことが分かりました。私はこれにとても驚きました。見た目はものすごく違うのに、遺伝子やDNAという単位で見れば同じ面も見えてくるのです。このことで昆虫や他の生物にも親近感を持つことができました。
最後には自分の手でDNAを抽出し、初めてDNAというものを見ることができました。こんなに貴重な実験はめったにすることができないと思い、とても感動しました。

(静岡県・高校2年生)

培地に微生物がはえてワクワク

農業環境技術研究所

研究所に着きお話をうかがうと、イメージしていた以上に私にとって魅力的な研究ばかりで、実習がとても楽しみになってきました。また、最近のバイオはコンピューターばかり使うものが多く、少し疑問を持っていたのですが、この研究所では実際に土に触れながら研究するという理念を持っていることにも感動しました。
研究者の方たちが使っている研究室に入るのは初めてだったので、少し緊張してしまったのですが、大変温かく迎えていただきました。私のコースでは、サンプルの採取から発表までの一通りの流れを3日間で体験するということで、初日から実験に入りました。研究というと難しく普段の生活からは、ほど遠いものを想像していたのですが、実際に病気の草を採取し培養するということで、少し身近なものに感じることができました。
また、培地に微生物がはえてくるというのもわくわくでした。特に、顕微鏡で胞子の形を見て何の微生物かを分類するというのは本物の研究者のような気分を味わうことができ、カビによって胞子の形が様々だったことは驚きでした。発表では、研究者の大変さも理解することができました。

(神奈川県・高校3年生)

多くのものとの出会い

森林総合研究所

高校の先生に勧められ、また、森林、特に雑木林に興味が前々からあり、軽い気持ちでこのプログラムに参加しましたが、予想以上に有意義な体験になりました。
以前から森林に触れ合う機会が多く、主に昆虫に強い興味をもっていましたが、目に見えない細菌や菌類には、ほとんど関心がありませんでした。しかし、今回体験した講義・実験でそれらについて知っていくうちに、森林の生態系を影で支えるもの達の魅力に気付きました。
特に衝撃的だったのは“植物病理学”との出会いでした。丁度、多くの植物にとっての脅威である病害虫、アブラムシについて調べていたので、植物の病に関しては、多少の興味はありましたが、予想以上に多くの生物が関わっていることを知り、非常に驚きました。
実際に病に冒された樹木を見たり、病原菌を顕微鏡で観察することが出来、一層興味をひかれました。これがきっかけで、私は植物病理学についてさらに知りたいと思う様になり、関連の本を読んだり、また、将来、大学で詳しく学びたいと進路まで頭の中で浮かびはじめました。私にとって、大きな一歩を踏み出すきっかけとなりました。

(東京都・高校1年生)

新しい技術だけでなく

産業技術総合研究所 つくばセンター

僕にとってスターリングエンジンは未知なる物でした。だから、今回の合宿は全てが新鮮で新しい発見の連続でした。
研究者の方々の話は、とても興味深いもので、ワクワクしながら話を聞いていました。また、最先端の技術はすごいと思いました。
エンジンなど僕に作れるのかなと心配でしたが、全ての作業がとても面白く、完成し、動いた時は感動し、物づくりは本当に楽しい事だと改めて思いました。
スターリングエンジンは温度の高低差を利用してピストンを動かしエネルギーを取り出す画期的な物でした。シリンダーの中に入った空気からエネルギーを取り出すなんて、発想がとてもすごいと思いました。
未来のエンジンとも言える、スターリングエンジンをもっと小型化し、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンに替わって、世の中に普及してくれれば良いと思います。
日本は大量生産技術は上がったけれども、一つ一つの細かい精密なものをつくる技術は損なわれてきていると、研究者の先生もおっしゃっていました。
僕は、新しい技術も大事だけれど、古い技術こそ本当に大事にしなければならないと思います。そして、古い技術を大切にしながら新しい技術も取り込んでいく事が大切だと思います。

(東京都・高校2年生)

大地のエネルギーを体験して

産業技術総合研究所 北海道センター・地質調査総合センター

特に深く印象に残ったことは昭和新山と有珠山に登ったことです。昭和新山は、石がたくさん転がっていました。その石の中には火山が噴火したときに飛んできた石や、マグマが固まってできた石がありました。
石の中の鉱物だけでいつの噴火の石か分かるということを知ってとても驚きました。
有珠山では、噴火口のそばまで行くことができました。噴火口に近づくにつれて、硫黄のような臭い匂がしたことを覚えています。噴火口からは、火山ガスが出ていて、熱気がありました。また、岩や土を触ってみると、まだ熱く、温度は100度近くありました。噴火したのは5年前なのに熱をもっていると分かり、とても驚きました。
そして、驚いたのはこれだけではありません。自然の力の強さも自分の目を疑うほどのものでした。道路は無惨にもヒビが入り、隆起していたりしました。7メートルも隆起しているところもありました。建物も姿・形が分からないくらい破損していました。また、大きなくぼみができている所もありました。私はこの時、自然の恐ろしさを目の当たりにし、言葉も出ないほどでした。そして日頃から、災害に備えることは大切なことであると改めて実感することができました。

(栃木県・高校2年生)