サマー・サイエンスキャンプ2006

参加者の感想

サイエンスキャンプを終えて…

足利工業大学 総合研究センター

私はサイエンスキャンプの参加が決まり、学習の内容を読んでいる時、初めてきいた「ソーラークッカー」という言葉に大変興味を注がれた。実際、本やインターネットで調べてみると、光を集め、熱を貯めて調理を行う道具であるというのが分かった。しかし、本当に光の熱だけで調理が出来るのか?私は信じられない気持ちでいっぱいだった。
キャンプがスタートして2日目から、ソーラークッカーの製作は始まった。私達の班は、パラボラ型という形のソーラークッカーを作る事が決まった。ダンボールを切ったり、放物面が光の焦点に集光できるよう長さを測ったりと、作るのは大変だった。しかし、作っているうちに、緊張がとけ、それまであまり話せなかった人とも話せるようになり、とても楽しく作る事が出来た。
そして、ソーラークッカーで混ぜご飯を作るという実験が、いよいよスタートした。冬のこの寒い時期に、本当にご飯が作れるのか心配だったが、実験が終わってみると、最高温度は120度という記録で、ご飯は温かく仕上がっていた。初めて食べた太陽の光で炊いたご飯は、いつもよりおいしく感じられた。

(茨城県・高校2年生)

招待状と挑戦状

同志社大学 工学部

「うわぁ」私は自分の目の前でおこっていることを見て、こう言ってしまいました。苦労して作りあげたもの―超伝導体が私たちの目の前でふわっとキレイに磁石を浮きあげたのです。
実験初日、真新しい白衣に身を包み、わくわくしながら実験の手順に耳を傾けていました。そこへ、スタッフの方が近づいてきて、ぼそっと一言・・・・・・・「今日の実験は地味で疲れるよ。」と。でもその方は「今日、しっかりやらないと明日、うまくいかないよ。」と言いのこして行きました。実際のこの日の実験は、薬品を計量し、その試料を交代でひたすら混合したり、XRD回折装置で結晶構造を測定したりという高校ではできない実験で、とても楽しく行うことができました。
実験2日目。前日に作成して、本焼成の終わった錠剤の厚みや直径をマイクロメーターで計っていた時に、「これは本当に浮くのかなぁ」と少し心配になりました。また、XRD回折の結果も、大学の方の作成したもののグラフと比べても、あるはずの所に波がなかったり・・・・・・と不安でした。しかし、シャーレの中に脱脂綿を入れ、錠剤を置き、液体窒素を入れ磁石をのせると、ちゃんと浮きあがったのです。目の前でおこっている事実。それが私たちの手によって作り出されたものだと考えると本当に感動でした。

(大阪府・高校2年生)

心に残る一生の宝物

大阪府立大学 生命環境科学部 緑地環境科学科

「あなたが思う環境とは何ですか。」
サイエンスキャンプに参加して最初に教授からこう質問された時、私はハッとしました。今までは、「環境を守らなくてはならない」とは思いながらも、自分が何を指して「環境」という言葉を口にしているのかなんて考えたこともなかったからです。だからこの3日間を通して自分なりの答えを見つけようとその時決心しました。
私が一番楽しみにしていた数々の実験ではとても専門的なことから、生活に密接に関わるようなことまで幅広く学ぶことが出来ました。私は参加者の中で最年少で、授業で未習の事も多く、最初はついていけるかどうか不安でしたが、先生方の分かりやすく丁寧な説明や周りのみんなの支えのおかげで、そんな不安も吹き飛んでしまいました。実験で得たデータをもとに、友達と分からない所を教え合いながら、じっくり時間をかけて計算をしたりグラフを書いていきました。やっと結果を導き出せた時は、測り知れない程の達成感があり、一緒に頑張った友達の笑顔もキラキラ輝いていました。

(和歌山県・高校1年生)

明日の地球を海洋コアから学ぶ

高知大学 海洋コア総合研究センター・遺伝子実験施設

私は、近年稀に見る大雪を前にして、集合日時に間に合わせるために、前日に高知空港に降り立った。その時、目にした椰子の木と頬をなでる風のぬくもりに、日本は南北に細長いことを実感した。そして、研修を終えた私は東北に戻り、深い雪の世界に閉ざされながら、地球温暖化による異常気象が、この冬の寒冷現象の誘因になっているのではないかと心配し、今回の研修で学んだ「海洋コアから調べる地球の成り立ち」の資料を改めて開かずにはいられなかった。今回の研修で最も印象的であったのは、実際に研究船に乗船して、浦ノ内湾でプランクトンと海底堆積物を採取したことだ。自分で採取した堆積物を実体顕微鏡で観察した際、動くプランクトンを見つけた時の喜びは今でも忘れられない。
また、「氷河時代の海をさぐる」の講義も大変興味深かった。地球環境システム自体が温暖化と寒冷化を繰り返していたことを学び、現在の地球温暖化の先にどのような現象が待ち受けているのか、海洋コアを研究することによって予測出来るということが面白かった。

(岩手県・高校1年生)

感動感激の3日間

国土交通省 気象庁 気象研究所

一番心に残っている講義は「天気予報の概要」です。もともと天気予報に興味があり、このキャンプに応募したのですが、「数値予報」とよばれるスーパーコンピューターに感動しました。とても大きくて、1秒間に2.2兆個の計算をしていることに驚きましたし、大気の変化を物理法則によって式で表すことができるなんて思ってもいませんでした。そして、そんなにたくさんの計算をしてもまだ足りないのだと聞いて、気象の複雑さを感じました。赤外線の吸収のお話では、日なたも木かげも紫外線の強さはほとんどかわらないということを、実際に数値を比較して確認できました。ドップラー気象レーダーの実物も見学でき、これが反射を受けることによって風や降水強度などのいろいろな気象要素を測ることができるのだなと思うと感激でした。
実は、上りのバスや電車の中で、ものすごく緊張していました。でも、終わってみるとあっという間の3日間でした。
この3日間で体験したことは、言葉で言い表せないほど貴重なものだと心の底から感じています。

(香川県・高校2年生)

スタート地点

情報通信研究機構 鹿島宇宙通信研究センター

3日間で3つの実験を行いました。1つ目は自作電波望遠鏡による太陽電池の観測、2つ目は群れ人工衛星ロボットの制御、3つ目はデジタル通信の誤り訂正です。どの実験も楽しく、やりがいのあるものでした。内容のほとんどが初めて学ぶものであり、難しく感じましたが、研究員の方の分かりやすい説明のおかげで理解することができました。
中でも印象に残っているものは、3つ目のデジタル通信の誤り訂正です。この実験では普段学校で学んでいる数学がデジタル通信の分野でどのように応用されているか、また、実際にコンピュータで誤り訂正をどのようにシミュレーションするのか、といったことを学ぶことができました。このことによってデジタル通信に対しての興味がさらに深まり、将来にもつながるいい体験ができたと思います。
実験の他にも研究員の方達から色々な話を聞けたり、普段目にすることができない巨大なパラボラアンテナを見学できたり、夜には研究センターの望遠鏡で月や木星を見たり・・・。ここでは書ききれないほど貴重な体験をすることができました。

(群馬県・高等専門学校3年生)