宇宙航空研究開発機構 角田宇宙センター
スペースプレーンの開発が日本でも行われていることには驚いた。アメリカのスペースシャトルと違って何種類ものエンジンを使い分けるという考え方は、僕にとっては新鮮でこんなことが本当に出来るのかという疑問も起こったが、研究者の話を聞き非常に効率が良いことに納得した。
また、ロケットエンジンの地上燃焼試験施設の大きさには度肝をぬかれた。エンジン本体でさえ大きいのにその燃焼試験施設は自分達の学校の校舎ほどの長さがあってエンジンからの噴射がどれだけすごいかを物語っていた。ターボポンプについてのセミナーも実にわかりやすくて良かった。エンジンの中身のことは正直それまでわからなくて、ただ漠然と液体水素と液体酸素が燃えているだけだと思っていたが、このセミナーでどのようにそれらが供給されていたのかが良くわかった。
今回の体験を通じて今までの疑問が晴れて本当に良かった。また複合エンジンや風洞実験施設、スペースプレーン、数値宇宙エンジンなどこれまでよくわからなかったもの、知らなかったものごとを知り、理解することができて宇宙開発を見る視野が広がった。今後もし機会があるならぜひもう一度行きたいと思う。
(京都府・高校2年生)
海洋研究開発機構
「圧力体験」「スキューバ体験」「ROV実習」どれも最高に楽しかったです。
「圧力体験」では、最大で水深30mの時に受ける圧力を体験できる、外見は青い球状のポンプの様な所に入りました。今自分に圧力がかかっているんだ、とは感じませんでしたが、空気が重くなっていったのは感じました。そして室温が上がっていって、サウナ状態になり、みんな汗だくでした。
「スキューバ体験」では、空気ボンベを背負って水深3mもあるプールの中を潜りました。潜り始め、びっくりしたのは音が全く聞こえなく、全て視覚が頼りになることでした。水の中というすべてのスローペースで動いてゆく環境に、最初は不安を覚えましたが、慣れてきたら魚になったようで、楽しかったです。
「ROV実習」では、陸上に居ながら海中で機械を遠隔操作させて観察できるというものをしました。操作はラジコンを動かすような感じで、テレビゲームが得意な人は操作が上手でした。
このような体験の他にも、地球掘削船「ちきゅう」の計画内容などのホットな話題や研究員の人たちの実体験の話を聞けて、すごく貴重な体験をしました。
(神奈川県・高校2年生)
日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構 東海研究開発センター/那珂核融合研究所)
私がこの4日間のサイエンスキャンプで得たものは数多くありますが、放射線や原子力について全くといっていいほど知識がなかったのに最終日に核融合について発表できるまでになったことは、大きな成果だと思いました。
よく、放射線は怖いものだ、と言われて、私も一体目に見えない放射線とは何なのだろうと思っていたけれど、愛とか思いやりとかが違うように目に見えないからこわい、という考えは間違っているのだと気づかされました。実際、人は宇宙や大地、食べ物などからの放射線で被ばくしているのを知って、とても身近なものだと思うようになりました。
キャンプでは、研究所の方の講義を受け、たくさんの資料に目を通し、研究に対する熱い思いを感じるとともに、広大な敷地内にあるさまざまな施設を見学するたびに、日本は本当に今世界をリードしている国なのだ、と実感しました。
特に核融合エネルギーの開発における日本の研究成果と、原子・分子も世界を中性子などの粒子を利用して見るための施設をつくる大型プロジェクトの建設途中を見られたことに感銘を受けました。
(東京都・高校2年生)
核燃料サイクル開発機構(現:日本原子力研究開発機構 大洗研究開発センター)
原子力発電について学ばせていただくことで、原子力発電に対する考えを改められました。テレビなどで報道された「もんじゅ」のナトリウム漏れの事故、原発に対する人々のことなどを見ることで、知らず知らずのうちに、深く知ることもせず、反対派の人間となっていました。
しかし、施設の見学、内部の構造、より安全を目指して日夜努力している方々を知ることで、本当に原発は危険なものなのか、という疑問が浮かび上がりました。確かに燃料のウランなどは危険です。それは分かっていました。その危険物をどう隔離し、漏れないようにするかを、シミュレーション室を見て、納得できました。たとえ停電になっても、制御棒を落とすことで、核分裂を抑えるシステムがあることを知りました。「万が一」もないように、念入りに点検をされていた方々、丈夫な施設にするために材料を研究されている方々も、皆同様に安全にしたいという願いを持っているのだな、と思いました。
この3日間は今まで僕になかった知識を手に入れることが出来、有意義に過ごすことができました。この今しかできないことができ、高校3年間の思い出として心に残ることと思います。
(愛知県・高校1年生)
農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター/作物研究所
(現:農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター/作物研究所)
私が行った実験は、大腸菌にクラゲの光る遺伝子を加え、大腸菌を光らせるというものでした。実験に取り組んでみると、電気泳動でスロットに遺伝子を入れる操作やコロニーをすくう操作では失敗し、そのたびに実験の難しさを味わいました。
傍で研究員の方が、私ができるまで何度もさせて下さり、そのおかげで、私はその後、思いもよらぬ体験をすることができました。
「突然変異」が起きたのです。光る大腸菌のプレートと光らない大腸菌のプレートがありました。なぜか分からないけれど、私の班の光らないはずの大腸菌のプレートが光っていたのです。私は、失敗ばかりして、3つの班の中で、出てくる結果が一番悪いと思っていたので、正直、結果を見るのが怖かったです。
突然変異の起こったプレートを見た時も、自分のどの操作が間違っていたのかということばかりが頭の中をかけめぐっていました。
自分の失敗としか受けとめれらなかった私は、研究員の方の「これは突然変異だよ。」という説明を聞くと、これが突然変異というものなのか、突然変異は、こんな身近で起きる新しい発見なのだと分かったとたん、口では言い表せないような感動がこみ上げてきました。
(鳥取県・高校2年生)
農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
(現:農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所)
「トリパノソーマ」。感染した動物に貧血、発熱、衰弱を起こす。実際に培養し、観察した原虫の名前だ。
私は以前からアフリカの動物に感染する病気に関心があったため、今回参加したことは私にとってとても貴重な体験だった。自分の手で培養液に移し、それを光学顕微鏡で運動の様子などを観察、細胞生死判定試薬でトリパノソーマの核とべん毛の付け根が生きているものは緑、死んでいるものは赤く染まり、蛍光顕微鏡で観察。真っ暗な視野に緑と赤に光るトリパノソーマはきれいで、原虫であることを忘れていた。
私が診察した牛の体重は720kg。聴診器で心音を聞くとき、なかなか聞こえず、脇をグッと持ち上げるようにしてやっと心音が聞こえたとき、腕にかかる体重はとても重かったけれど、それと共に命の重さを感じた気がした。牛の血液のプレパラートを作り、赤血球や白血球を観察。白血球はリンパ球、単球などの5種類があり、その中でも好塩基球は研究所でも滅多に見られないらしく、私が見つけたときは全員で見ていた。他の4種類も全て見つけることができた時はとても感動し思わず手を上げて喜んでいた。
(栃木県・高校2年生)
農業工学研究所(現:農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所)
セッションのひとつに、地面の液状化の解決策をモデルを使って考えるものがありました。そこでは、水槽を使ったモデルで液状化現象を見て、その理屈を理解してから解決策を考え、モデルを使ってそれを実験し、その有効性を調べました。このようなひとつの研究の過程を少し自分で体験できたことで、工学のイメージが具体的なものになりました。
また、実際の農地の堰(農業用水をひくための人工的な段)を見学したり、レーザー技術を搭載したトラクターに乗せてもらうという体験から、実際の環境に応用していくことが工学の大事なところであることを実感できました。
プログラムのみではなく、キャンプで色々な人と出会い、話を聞くことができたこともよく印象に残っています。初日にはバーベキューパーティーをひらいてくださり、研究者の人たちに、例えば生きていく上で、見聞を広めることを大切にしていく話など、面白い話をして頂きました。一緒に参加した同年代の人たちとも、仲良くなって色々な話ができました。普段は全く離れたところで生活している人たちと出会う機会はなかなかないので、そういう人たちと話をすることは面白く、良い勉強になりました。
(神奈川県・高校2年生)