今から7年前の1995年の春、初めてサイエンスキャンプのプログラム委員会に臨んだとき、すごい企画が始まると、とても興奮したことを覚えています。我々教師でさえ、なかなか最先端の研究など覗けるものではありません。ましてや高校生にそのような機会があろうはずがありません。望むべくもないことが実現するわくわくする瞬間でした。こんなチャンスはそうメッタにはないため、自分の子供が高校生になるまで、サイエンスキャンプが終わらないことを願いました。あれから七年が経ちサイエンスキャンプは確実に有名になり、研究所のプログラムも充実してきたと思います。
サイエンスキャンプを、どの様な若者に勧めたいか、私の考えを書いてみましょう。まず理科に興味のある人、将来、研究機関で働きたいと考えている人、文系なのだが研究機関や理科に興味のある人(現在は物理や化学等を履修しなくても高校を卒業できる時代です。将来の社会のため、理科に触れることはとても大切だと思います。)こう書いてくると、どんな人でも興味を持つ人には参加して欲しいということになります。つまり、それだけ実のある、充実したキャンプなのです。
次にアドバイザーとしてサイエンスキャンプで高校生を引率した時に私が感じたことを書いてみましょう。日頃の疑問を科学者に直接質問ができ、最高レベルの人の意見が聞けます。問題意識があればなおのこと、生きた質問ができます。本当の答えが返ってきます。本人の充実感は計り知れません。また、そういう高校生が多く参加しているように感じます。ともかくも参加すること、実際に行動することでとてつもなく充実した3日間が得られます。日本を代表する研究機関に実際に踏み入り研究環境に浸れると言うことは、それ自体が大きなでき事であり、高校生の体験としてはもう十分価値のあることだと思います。
サイエンスキャンプを通して同じ感覚を持ち、同じ悩みを持っている仲間に会えることも魅力的です。全国から高校生が集まっているということがとても素晴らしいと思います。知らない地域の人を知る、例えば九州から筑波へ来ることも、関東の人が九州の人と会うことも日々の生活ではあり得ない貴重な体験です。キャンプ後も再会できる最高の出会いになります。また研究所でのいろいろな経験は、自分の進路決定に大いに自信が持てることと確信します。
千葉県立薬園台高等学校教諭 中臺文夫
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