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はじめての一人旅
 北海道での三日間は、大変充実したものとなりました。初めての飛行機、初めての北海道、初めての一人旅。何もかもが新鮮でした。
 参加者8人という少人数でしたが、北は北海道から南は広島まで、話し方も環境も生活も違う人々と触れ合うことができました。人数が少ない分、研究者ともゆっくりと話す時間がとれ、普段なかなか聞けないような疑問についても答えてもらえたので、ますます興味が広がりました。
 学校の授業では経験できない事、ヘルメットをかぶって噴煙のたち上る有珠山に登ったり、赤肌の岩だらけの昭和新山で記念撮影をしたり、ハンマーで岩壁を叩いて歩いたり、本当に楽しい時を過ごせました。
 楽しい時を過ごすと共に、今まで情報としてしか伝わってこなかった火山の実態を、自分の目で見、計測し、体験することで初めてつかむことができました。北海道は、暑い時もあれば寒い時もあったりと気温差が激しくて過ごしにくく、作業は生易しいものではないので相当な体力を必要とします。そのため、宿に戻る頃には体内のパワーを使い果たしてくたくたです。一日一日を精一杯がんばっていたせいで、この三日間は、大変重みを持つ三日間となりました。
 決して目立つ仕事とは言えないけれども、火山の活動状態をより正確に知るために、このような厳しい作業はとても重要だと思います。私がサイエンスキャンプの中で最も強く感じたことは、このような仕事をしている研究者の顔が、生き生きとしていたことです。私も将来、生き生きとした顔をしていられる仕事につきたいです。
 京都府立嵯峨野高等学校二年生 産業技術総合研究所北海道センター北海道地質調査連携研究体に参加

夏一番のビックイベント
 「このキャンプに参加して本当に良かったな。」これが、キャンプ一日目の夜の感想であり、夏休みを通じて切に思ったことです。
 実際に筑波山に行って、今まで見たことのない高価そうな測量機器を使わせてもらったり、普段ならあまり気にも留めない鳥の声を聞き分けようと耳を澄ましたりと、いつもとは全く違う山登りを体験できました。自分が周りのものを見ようとする姿勢や対象によって、同じ山でも見え方が変わってくることが分かり、同時に研究所の人の山に対する知識の豊富さをうらやましく思い、もっともっとたくさんのことを知りたくなりました。
 二日目の親睦会では、研究所の人と直接いろいろなお話ができ、とても貴重なものとなりました。大学での話、社会人になってからの話と、これから私が歩んでいきたいと思う道の大先輩とこのような機会を持てたことで、よりいっそう森林への道に進んでいく決意ができました。
 何よりも良かったことは、同じ道を志す同年代の友達に出会えたことです。正直言って、周りには農学部に行く友達などほとんどいないので、情報も少なく、進路に迷うこともありました。そういう時に、こんなに気の合う仲間を得られたことをうれしく思います。最終日に別れるのは、とても辛かったけれど「このまま進めば、またいつか会える気がするよねぇ。」と言いあい、自分にも言い聞かせて、何とか別れられました。実際そんな気もするし…。
 この夏一番のビッグイベントは最高の思い出となりました。
 桜蔭高等学校三年生 森林総合研究所に参加

理系からの刺激
 サイエンスキャンプは、僕に夢や希望と共に、好奇心・探究心・研究心というものを与えてくれました。
 今までの自分が興味を感じたことのない理系という分野に大きな関心を持ちました。研究者の方々は、親切に丁寧に説明をしてくれました。
 実習中の研究者の方々の言葉で、衝撃を受けた言葉が二つあるので紹介しておきます。
 1.「この研究所の中にも文系の人間はいるよ。」
 今まで研究所というと、理系人間しか存在しないものだと思っていたので、意外でした。自分の進路において、そういう道もあるんだと初めて痛感しました。
 2.「コンピュータ上の空論ではなく、実際に人間がやってみないと分からない事だってあるんだよ。」
 今後、IT技術が進歩しても、地道な努力は必要だということが分かりました。ちょっと僕の予想してた科学とは違ったけど、非常におもしろかったし、貴重な体験になりました。
 研究所での実習中のような充実した毎日が送れるように、日々努力したいと思います。
巣鴨高等学校二年生 農業工学研究所に参加


「科学」に憧れた
 高校では文系コースであり普段の勉強ではそれほど科学に触れる機会が多くない私がこの放射線医学総合研究所(以下放医研)でのサイエンスキャンプに参加したいと思ったのは、自身の興味からであった。しかし、実際参加者として選ばれたことを知るとだんだん不安になっていた。化学は高一までしか勉強してないし、周りはおそらく医者になりたい人がほとんどの中で話についていけるか本当に心配だった。
 そんな不安は放医研へ行って、感動という形でふきとんだ。もちろん講義はとても難しくすぐに全ては理解できなかったが、丁寧なご指導のおかげで少しずつ理解でき実習もそれぞれに興味の引かれる楽しいものであった。短い間だったがとても充実していて学ぶことが多かった。特に強く感じたことが二つある。
 一つは「物事には必ず光と影がある」ということだ。放射線も医学利用という面がある一方で、時に東海村の事故のような惨事を引き起こす危険性がある。研究者や技術者はもちろん一般の人々もその表と裏を正しく理解し、裏の面が出現したときに迅速な正しい行動がとれる体制を作っておきたい。
 二つめは「勤労のよろこび」である。放医研で働いている人はどの方も、自分の仕事をしっかりやっておりキラキラしていた。研究職などは特に、自分が本当に好きでないと続かないものなので放医研の方々は素晴らしいと思うし、とてもうらやましいと思った。
 最後にこのサイエンスキャンプで、自分の好き・嫌いなどに関わらず社会のために正しいことをするという「科学」というものに憧れたのも事実だ。例えば、医者になりたくなっても一歩を踏み出す力をもらった。今は違う方向を目指しているが放医研の方々のように自分の夢を大切にして、私だけのすばらしい人生を送りたいと心から思う。
 佐賀県立佐賀西高等学校二年生 放射線医学総合研究所に参加

自分の目指している方向
 高校に入学してから私は、新聞などでよく騒がれている「理系離れ」を身近で感じた。理系の進学情報も少なく、将来のことについて共通の話題で話し合える友人もほとんどいない。そんな環境で慣れている私にとって、海洋科学技術センターでの三日間は感動と不思議の連続であった。
 「せっかく外で勉強するのに講義ばかりもいやだな。」そう思って選んだ場所なのに、いざ体験潜水や圧力体験をするとなると少し怖かった。しかし、好奇心に押されて体験をし始めると、楽しくて仕方がなくなった。講義を聞けば眠気も飛び、教えられる全てのことに驚いていた気がする。最近、不思議なことを不思議とも思わなくなっている私。もしこの企画を新聞で見つけなかったら、ずっと身の回りの疑問に気がつかなかっただろう。夜は寝てしまうのがおしく思え、朝まで仲良くなった友達と語り合った。将来のことはもちろん、私生活についても普段語ることのない私が自然と話しのできる雰囲気がそこにはあった。みんな住んでいる場所も年も違うのに、仲良くなれた。
 高三の夏、普通なら外にも出ないで勉強をしていることだろう。私は今回の体験で受験勉強は、家や塾の机に向かっているだけではないということを知った。大切なのは、自分の目指している方向を少しでも多く見ておくことなのだ。このことが分かっただけでも私にとっては大きな収穫である。出会った友達とはこれからも連絡を取り合い、またどこかで語り合いたい。海洋科学技術センターでの経験を大切にし、私生活において感じた疑問について追求していく姿勢を作りたい。
 東京女子学院高等学校三年生 海洋科学技術センターに参加

一生の宝物
 キャンプの経験は、本当に私にとって一生の宝物になりました。北海道に行くのも、一人で旅をするのも何もかも初めての事で、最初は不安ばかりでしたが、釧路空港を出て、落石まで車に乗っている間、見たことのない景色に驚くばかりで、不安になっている暇もないほど外の様子に釘付けでした。
 研究員の方は実験や講義の合間を見つけてはいろいろな岬や湿原に私達を連れて行ってくれました。早朝は日の出を見に行き、夜は天の川を見に行きました。特に二日目の夜、私の心の中で最も印象深かったのは、北斗七星のひしゃくの中に流れ星がスッと流れたのを見た時です。はっとして言葉が出ないくらい、感動しました。
 研究者は「専門家」という言葉には程遠い、幅広い知識をもつ人達でした。質問するととても熱心に説明してくれました。しかし、私は見るもの見るものに驚いてばかり感心してばかりで、あまりたくさん質問できませんでした。けれどこの三日間をフルに使い、めいっぱいのことを吸収して帰ってこれたなという気がしています。
 サイエンスキャンプで学んだものは、自然の美しさや、学問的な事ばかりではありません。人とのふれ合いも、大切な経験のうちの一つです。六人のメンバーと、六人の研究員とで三日間、一緒に勉強し、食事を共にして、様々な場所へ行っているうち、私達はすっかり打ち解けて、本当に楽しく過ごせたと思います。メンバーとは今もメールのやりとりがあり、仲の良い友達です。また、家庭的な民宿ではおじちゃん・おばちゃんがとても親切にしてくれ、心の暖まる所でした。
 キャンプに応募したのは、環境に興味があるけれど、将来にどんな仕事がしたいか良く見えていなかったからでもありました。キャンプに参加して、環境を守るため様々な分野の人々が一生懸命働き協力している事が分かり、視野も一段と広まりました。本当に参加して良かったと思います。
 兵庫県立明石城西高等学校二年生 国立環境研究所に参加

夢を経験して
 私は参加する前、どの様にして実験をするのか、どんな所から参加者が集まるのか、この機会で自分自身を、どうつくっていけるか、参加証とともに送られてきた「参加のしおり」だけでは分からない事が多くありどんな事がこれから起こるのかが、とても楽しみでした。
 実際参加してみると、初めに目にした機械が私が一度も目にしたこともないもので、度肝をぬかれました。思っていたより難しい実験があり、細く決められた寸法に合わせて試料を削り取る作業で数ミリのミスでも、実験結果に影響があるのでとてもプレッシャーを感じました。実験をする中で、私はいくつかの疑問を持ちました。その疑問を研究者の方に投げかけてみると、その素朴な質問にとても丁寧に分かりやすい例などもふまえて説明してくれました。説明を聞いて私は、研究者の方々の熱意が伝わってきてなにか心に刺激がありました。
 研究者の方々がおっしゃった言葉に強く心に残っているのがあります。それは、「人ができないって言っていることをできればえらいんだから。」という言葉です。この言葉には、研究者としてとても大切な心だと思いました。人ができやしないと言っていることをできればえらい、それにはあきらめることなく、努力をしなければいけないということだと思い心に残っています。
 最後に、出身地も違う初めて出会う人達と交流し、友だちもでき沖縄の小さい中しか見ていなかった私の視野が広がり、人前で話すことが苦手だった私が、積極的に自ら人前に立ち、その場で自分の思いや考えなどを話せたことは、キャンプでの経験が私を成長させたと思います。これからもこのキャンプでの経験を自信に自分の将来へ向けて頑張っていきたいです。
 沖縄県立北山高等学校二年生 物質・材料研究機構に参加

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