「浸透現象」は、わたしたちの身の回りでもさまざまな形で利用されています。サラダやお漬物でよく口にするキュウリの塩もみもそのひとつです。
刻んだキュウリに塩をまぶしてよくもむと水が出て、おいしいきゅうりの塩もみになります。ところが、塩をまぶさずにただもんでも水はでてきません。それは、キュウリの細胞の中にある水が塩のあるキュウリの外へ移動するからです。
水は半透膜を通って濃度の高い溶液の方へ移動します。キュウリには細胞膜というセロハンチューブに似た膜があるので、塩をまぶされると内側に含まれていた水分子が塩の濃度が高い外側に出て行くのです。
このように、濃度の高い溶液の方に溶媒分子が移動する現象を浸透といい、またこの溶媒分子が浸透しなくなった時の溶媒と溶液の圧力差を浸透圧と言います。
実験装置で使用したビスキングチューブは家庭では手に入りづらいと思いますが、そのときはサツマイモの中をくりぬいたもので代用できます。
細長いサツマイモをゴム栓に合うようにスプーンでくりぬいたものに砂糖をいれ、ガラス管をセットしたゴム栓を取り付ければ、ガラス管から砂糖水が垂れるのが観察できます。
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