参加者の感想

「私の3日間」(岩手県・高校2年生)

加速器による、素粒子から身近な物質までを探る研究を体験
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

 今回、ウインター・サイエンスキャンプに参加して最先端の施設を見学したり、本格的な実習をしたりととても充実した3日間を過ごすことができました。
 施設見学では、KEK(高エネルギー加速器研究機構)の地下に通っている直径1kmにもなるKEKB加速器がとても印象に残っています。世界最強の加速器を見ることができ素粒子の研究にとても興味を持ちました。
 霧箱実習では、直線的に進むα線や、いろいろな進み方をするβ線、宇宙から降り注いでいる宇宙線を観察しました。肉眼では見ることができない放射線ですが、霧箱の中の霧を利用して見ることができました。初めて放射線を見て、とても新鮮でいつも周りに放射線が通っているということを知りました。
 コース別の実習で私は「宇宙線の降り注ぐ角度を測定する」という研究をしました。この研究で多くの素粒子実験に使われているワイヤーチェンバーを作りました。そして、それを用いて宇宙線を測定しました。宇宙線は大気の影響で、直上から降ってくるものが最も多いということがわかりました。この研究で、実際に現場で研究をしているような体験をすることができとても楽しかったです。将来は研究者になりたいと思いました。
 多田将先生の講義は私にもわかりやすく、とてもおもしろい講義でした。日本が素粒子の研究で世界でもトップクラスの力を持っていることや、KEKBの加速器やJ-PARCの加速器が世界でも最強の加速器であるということがとても印象に残りました。
 最先端の施設を見学することができたり、専門的な研究をすることができてとても満足しています。また同じ志を持った学生と交流して、いろいろな意見や見方を学ぶことができました。私は将来、日本にできるという国際的な加速器ILCで素粒子の研究をしたいです。今回のサイエンスキャンプで一層強くそう思うようになりました。
(今回はサイエンスキャンプDXとして3泊4日で実施されます)

「グループでの問題解決」(東京都・高校1年生)

マイコン制御ロボットの設計・製作にチャレンジ!
神奈川工科大学 創造工学部

 このキャンプで1番印象に残っているのは、グループでのロボット製作です。私はたいてい、ひとりで考えて作業するのが好きなので、1日目の講義やマスタースレーブロボットの製作では熱中して取り組むことができました。ですが、2日目からは2人グループで作業するということで、どうなるのかと少し不安でした。グループでの最初の作業である基礎ロボットの製作は、2人でただ黙々と分担した部分を組み立てていました。けれど、それらを合体させて1つのロボットにし、プログラム作成などをしていくうちに「ここはこうしよう」など互いに意見を出し合う機会が増えていきました。1人の考えを、もう1人が客観的に見ることができるので、2人グループでの作業は思ったよりずっとはかどりました。ひとりのときよりも、多くの問題点に気づくこともできました。共同作業の長所を、3日の間に改めて実感できたと思います。
 ロボット製作の6時間は、少し改良しては試し、失敗しては考え、また試して、という一連の作業の繰り返しでした。先生からは、この作業のことを「PDCA」と言うのだと教わりました。計画・実行・評価・改善の4つの繰り返しで、地道に問題を解決していくことは、ロボット製作に限らず重要なことだと思います。いろいろなことに応用していきたいです。
(今回はサイエンスキャンプDXとして3泊4日で実施されます)

「奥深い音の世界」(神奈川県・高校2年生)

音をあやつる
東京工科大学 メディア学部

 「音についてもっと知りたい!」という思いで参加した東京工科大学でのサイエンスキャンプは、想像以上に充実したものでした。
 まず1日目は、周波数についての講義を受けて、その知識をもとにパソコンで効果音を制作しました。数式を入力し音の波形を変えるだけでセミやスズムシ、猫の鳴き声まで出すことができるなんて驚きでした。学校の物理の授業で音の学習をするのが楽しみになりました。また、実習の後でTAの方々が制作したiPhoneのアプリを見せていただきました。振る方向を変えると音も変わる和楽器のアプリなどを実際に体験させていただき、本当に和太鼓を叩いている気分になれました。
 2日目は、録音スタジオで映像にナレーションをつける実習をしました。初めて触る本格的な音響機器にとてもわくわくしました。マイクのセッティングの仕方だけでも何通りもあるなど、勉強になることもたくさんありました。
 2日目の午後から3日目の午前中までは、キャンプの集大成であるオリジナルの音楽制作に取り組みました。私のテーマは「ethnic」です。ソフトウェアの中からアフリカ風な楽器の音を見つけたときに思いつきました。試行錯誤を重ね、独特のリズムを作り出しました。最後に全員の発表会を行いましたが、それぞれの個性が出た音楽を聞くことができました。
 3日間で終わってしまうのが惜しいくらいだった今回のサイエンスキャンプ。このような場を提供してくださった方々に本当に感謝したいと思います。今後もたくさんの高校生にサイエンスキャンプに参加してほしいです。

「夢への前進とかけがえのないもの」(栃木県・高校2年生)

バイオテクノロジーで環境を調べる
東京工科大学 応用生物学部

 私は将来バイオ技術者になりたいと思っています。それが理由でこのサイエンスキャンプに応募しました。参加が決まった時は本当に嬉しかったです。初参加ということで不安もありましたが、東京工科大学でバイオテクノロジーの基礎と最先端の技術を学び、それを使った実験をすることがとても楽しみでした。キャンプは3日間という短いものでしたが充実し、かけがえのない経験や友人を得ること、また将来へのより大きな意気込みを持つことができました。
 参加者たちとはプログラムを通し、互いに助け合い、高め合えるような友人になることができました。気の合う彼らがいたからこそ、このサイエンスキャンプはさらに素晴らしいものになりました。
 東京工科大学では、他ではできない体験をさせていただきました。他の大学の学校見学や高校の実験の時間は限られており、内容を確実に理解できないままに作業は進み、実験が終わってしまう事があり、それをもどかしく感じていました。しかしこのプログラムでは実験の時間が十分に設けてあり、また指導者の方々の助けもあって1つ1つの作業までしっかりと理解しながら行えました。そのため実験で学んだことを無駄にせず自分のものにでき、実のある時間を過ごすことができました。実験ではピペットマンを使い、マイクロの単位で分量を量り取り、移し替えることが多々ありました。単純ですが気を使う作業の繰り返しで精神的・身体的大変さを実感しました。失敗もあり、悔しい思いもしましたがそうしたことを乗り越え、自分の実験が成功したのを見たときの嬉しさと達成感は忘れられません。正に肌でそれを感じたからこそ、実験のやりがいを知ることができました。
 またと無い経験を終え、この分野へのさらなる関心が湧きました。サイエンスキャンプに参加できて本当によかったです。ありがとうございました。

「視野の広がるきっかけ」(大阪府・高校1年生)

氷海生態系~その意外な実態を氷の上から観察しませんか~
東京農業大学 生物産業学部 アクアバイオ学科

 プランクトンには興味があったけれど、海洋学には触れたことがなく、キャンプ内容についていけるのかとても不安でした。ですが講義は基礎からしていただき、そのような不安はすぐに解消しました。1日目は2日目に行う調査の意義、目的のヒントを講義で与えてくださり、3日目に自分たちでその意義を考えました。海洋プランクトンが及ぼす海への影響の大きさに驚きました。
 氷上調査では28センチメートルの氷柱を採取したり、採水したりしました。凍った湖に生物がいるのか信じられなかったけれど、氷の下に付いた黄色っぽいアイスアルジーを見たときは、プランクトンの力に圧倒されました。採取した氷を実験室に持ち帰り、氷を溶かして濃縮を行いました。単純な作業だけれど、時間がかかって大変でした。こんな作業を実際の調査でも行うと聞いて、実験の大変さがわかりました。
 このサイエンスキャンプには全国からの参加者がいました。特に3日目のディスカッションと班ごとの発表では、みんなと意見交換ができ興味深い発表内容となりました。パワーポイントにも各班の特色があり、どの班も同じ実験結果なのに考察が全く異なっていました。TAの方々や先生も意見を言ってくださり大変刺激的でした。私自身がもっと知識を深めていきたいと思いました。
 濃密な3日間は紛れもなく人生の宝物となり、大きく視野が広がりました。すばらしい機会を与えてくださった方々に心から感謝します。

「人生を変えた3日間」(広島県・高校2年生)

来て、見て、感じて もんじゅの未来
独立行政法人 日本原子力研究開発機構 敦賀本部 国際原子力情報・研修センター

 私は、自分の進路や将来について考えなければならない時期であるのに、それについて全く考えていませんでした。そんな私に友人が勧めてくれたのが、サイエンスキャンプでした。募集要項を見ると、前々から少し気になっていた「原子力」についての内容があったので、それを選びました。 軽く講義を受け、表面上だけの施設見学をすれば終わるのだろうと思っていましたが、いざ参加をしてみると、その予想は見事に打ち砕かれました。様々な部門のエキスパートの方々によるとても内容の濃い講義、こちらからの質問に対する的確な答え、さらに、普通は入れないような施設の見学をする等、大変充実した3日間でした。そのような時間の中で、私の人生を大きく変えたのは、2日目の夜の、講師の方々との交流会です。その時に居合わせた講師の方々の話を聞き、人柄に触れ、私は「この人達と一緒に働きたい」と強く思いました。このサイエンスキャンプに参加をし、出会った方々の影響を受けて、私の夢は決まりました。そう、「もんじゅ」へ勤めることです。「もんじゅ」に勤めるにはどうしたらいいのか。どういった進路へ進めばいいのかを講師の方々に聞き、それを参考に私の進路も決まりました。私はどちらかと言えば物理は苦手な方です。しかし講師の方々に優しいお言葉をいただき、帰宅してからというもの、普段の何倍もの集中力を物理に対して発揮できるようになり、物理が好きになりつつあります。また、同じ志を持った仲間に出会えたことも、私の人生にとって大きな収穫となりました。全国各地にいる仲間と同じ夢を追いかけ続けることができたらな、と思います。
 これから1年間は受験で辛い時期もあると思いますが、その時は講師の方々のお言葉や、仲間の事を思い出して乗り越えていけたらと思います。私の人生を大きく変えたこの3日間の出来事は、私の一生の宝物です。参加させていただき、ありがとうございました。

「3日間を通して」(静岡県・高校1年生)

みんなの生活を支える建設構造物の秘密に迫る
鹿島建設株式会社 技術研究所

 サイエンスキャンプでの3日間を終えて、参加できてとても良かったと思います。家から会場へ向かう時は、どんなことをするのか不安でいっぱいでした。でも、1番最初の鹿島建設の方々の自己紹介を聞いて、緊張もほぐれ、とても楽しみになりました。この3日間は、初めての体験ばかりで、特に風洞実験が印象的でした。今まで建造物によって風の流れや速さが変わるなんて知りませんでした。なので、あんなに細かくて難しい実験をしていて、街路樹にも意味があると知り驚きました。自分の知らないところでそのようなたくさんの実験が行われていて、そのおかげで快適に生活できているのだとわかりました。
 今回サイエンスキャンプに参加して、自分の中の建築のイメージが大きく変わりました。私は以前から、設計に興味を持っていて、特に音楽ホールや美術館の設計をしたいと思っていました。でも、鹿島建設に来てみて、建築はただ建物の設計をするだけではないとわかりました。たった1つの建物を建てるだけでも、とても多くの人が関わり、様々な分野の研究や実験をしていると知りました。そして、実際に働いている姿を見て、将来建築の道に進みたいという思いが、より強くなりました。
 鹿島建設での3日間は、私にとって、とても大切なものとなりました。まず、自分の世界が大きく広がりました。コンクリートの製作を通じて、土木にも興味がわき、設計以外の研究についても知りたいと思いました。そして、同じ道を目指す仲間と出会うことができました。たったの3日間しか一緒にいなかったなんて信じられないくらい仲良くなれて、嬉しかったです。今回経験したことを忘れずに、将来へつなげたいと思います。

「最先端の技術を見て」(千葉県・高校1年生)

コミュニケーションの未来を体験しよう!
日本電信電話株式会社 横須賀研究開発センタ

 サイエンスキャンプでの3日間で、私は普通では見ることができない最先端の技術を見ることができました。手のひらに魚が映され、合成することができたり、常に映像を見たい場所から見ることができたり、人の動きに反応するデジタルサイレージを見ることができたりと、とても楽しく興味深かったです。特に印象が強かったのは、2日目に行った音声認識・合成技術の実習です。自分の声の周波数とフォルマントを調べて母音をつくってみると、自分の声とそっくりな音が聞こえてきてびっくりしました。また、マイクに向かって話したことが文字化されるまでにとても細かい過程があり、逆に文字を音声化するときにアクセントやポーズ位置を設定することでまるで人間の声のような音が聞こえたことに感動しました。このような技術が実用化され、目や耳に障害を持つ人達が普通に(何事もないかのように)生活できたり、子どもからお年寄りまでが快適に暮らすことができたりする未来を想像すると、とても楽しみになります。
 他にも、情報・通信分野に興味を持つ人達と一緒に過ごすことで、自分の視野の狭さに気づくことができました。これまで私は進路を決める上でただ漠然と面白そうだと思うものを選び、ただなんとなく数学や化学の勉強をしてきました。しかしサイエンスキャンプに参加していた人達は、情報系の会社で働きたい、コミュニケーションに興味がある等の具体的な将来像を持っている人達ばかりでした。すでに夢に向かって行動を起こしている人もいて、すごくうらやましく思い、尊敬しました。私がまだ高校1年生である間にサイエンスキャンプに参加できたことは、とても幸運なことだと思います。これからは、もっと具体的に将来のことを考え、実行していこうと思います。

「『音』と共に生きる」(京都府・高校2年生)

「音」を科学する~音声の分析と合成を体験してみよう~
国立大学法人 九州大学 芸術工学部 音響設計学科

 声に対しての強い興味がこのキャンプへ私を導き、参加に至りました。そしてこの経験によって、さらに私の音に対する魅力は強く感じられるようになりました。中でも声の不思議に近づけたことが私にとって一番の喜びでした。
 今日、カーナビや通信機器など、身近な至る場所で音声合成技術が用いられています。私はこの技術をより一般化させることで、福祉や国際理解に大きく貢献できるのではないかと考えていました。実験では、自分の声の周波数を視覚化し、どんな人でもある音声では特定の相似波形が見られることを実感したり、コンピューターを使って望む音声を自ら合成させてもらいました。これらの実験を行うことによって、音声合成技術のぼんやりとした仕組みをクリアに考えられるようになりました。
 また、音を受容する耳の構造についても深く学べました。人間の耳の微妙さ、情報処理能力や判断力、適応力の高さに、改めて感動させられました。人は生まれながらにして高精度の様々な能力が備わっており、身近すぎてなかなか気付くことが出来ないけれど、やはりどんな優れた機械の仕組みについて学ぶよりも、何倍も面白く深いということを、音という一面からのアプローチによっても実感できました。日々何気なくとっているコミュニケーションも、人体の素晴らしい仕組みが関わっています。このキャンプでも、コミュニケーションによる仲間との協力や、親睦の大切さをしみじみと感じました。
 私たちの生活は、今後も益々音に関する技術を進化させることによって、色々な困難を解決へ導き、豊かにしていけると強く実感できました。人と人との触れ合い、音に関する興味深い講義や実験。この3日間は本当に充実していて、多くのものが得られました。これからも、音と人とが共に生きていることを実感しながら、日々を生きていきたいです。

「自信をもって踏み出してみると」(埼玉県・高校1年生)

センサが変える未来の社会!
オムロン株式会社 京阪奈イノベーションセンタ

 私は今回のような体験に参加することに少し抵抗がありました。知らない人と話すことも苦手だし、なにより自分が講義の内容も理解できず、自分では有意義な体験ができないと思っていたからです。しかし、先生の勧めもあって私はサイエンスキャンプに参加する事を決意しました。初日は参加者同士の交流だけでしたが、みんなが気軽に話しかけてくれるので違う地域や学校の人とは思えないほど仲良くなり、いつの間にか不安はなくなっていました。
 今回は、オムロンで日本の最先端の研究をしている人から話を聞くということで難しい話が多いと思っていました。しかし、高校の物理を習っていない私でも納得できるさまざまなセンサの説明や高校でも使える知識がたくさんありました。身近にあるものがどのようにできるのか、どのような仕組みなのかがわかるので楽しんで聞くことができました。顔認識デモ体験では、どのように顔を認識しているのかを自分の顔で体験したので、このコンピュータの性能の良さを実感できました。
 オムロンでこのような貴重な体験ができ、応募して良かったと思いました。今回の体験を自分の将来に役立て、このサイエンスキャンプに応募した時のように自信をもって新しいことに踏み出していきたいと思いました。

「価値観の逆転」(静岡県・高校2年生)

最新の遺伝子工学とシステムバイオロジー
慶應義塾大学 環境情報学部・先端生命科学研究所

 私は、特別よりも普通を、挑戦よりも停滞を選ぶような超保守的な考えを持っていました。人と違うことをすることにある種の恐れを抱き、できるだけ無難な生き方をしようと思っていました。しかし、今回サイエンスキャンプに参加して、私の考えは根本からひっくり返されてしまいました。
 冨田所長や、クモの糸の研究をなさっている研究者の方は、普通であることをはっきりと「つまらない」と切り捨てられましたし、一見普通の研究員に見える方々も人とは違った着眼点で研究に臨んでいらっしゃったし、何より一緒にこのキャンプに参加した仲間たちが本当に個性的で、全ての人に例外なく共通して、それぞれが皆人と違うことに対して目に見えるほど確かな自信を持って堂々としていたからです。私はショックを受けると同時に、自分がひどく感動しているのに気付きました。挑戦的であることを、こんなにかっこいいと思ったのは初めてでした。そして自分もそうなりたいと強く思い始めました。
 また、普段の生活の中では絶対に触れることのできない最先端の技術を自分の目で見て操作したことも、そう思うようになった大きなきっかけでした。中でも私が興味をひかれたのは、寒天を使ったDNAの電気泳動実験でした。物質がプラスやマイナスの電気を帯びていて、電流を流すとそれぞれ反対の極に移動することは知識としては知っていたし、学校の授業でも何度も教えてもらっていましたが、やはり実際に青と水色の色素が移動して行くのを見たときは、当たり前のことかもしれないけれど、本当に感動しました。
 私は生物を教える教師になるのが夢でした。でも、今回のキャンプを通してぜひ研究職につきたいと思うようになりました。教師になるのはその後でいいです。そしてその時には、冨田所長の言った「日本一の生物教師」になりたいです。こう思うようになれたのは、講師や研究員やアシスタントの方々、一緒に参加した仲間、そして所長のおかげです。本当にありがとうございました。

「充実していた3日間」(京都府・高校1年生)

スポーツ科学の最前線~From Gene to Gold~
国立大学法人 鹿屋体育大学 体育学部

 私はダンス部に入っていることもあって、ダンスの動きの中で使う筋肉の仕組みなどに興味があったので、このサイエンスキャンプに応募しました。
 講義内容で特に驚いたのは、遅筋は鍛えると発達するのに対し、速筋はどのくらいあるかが生まれつき決まっていて発達しないという説があるということです。私も実際に自分の筋繊維を見て、速筋と遅筋の割合を見てみたいと思いました。またミオスタチンを除去する遺伝子ドーピングが可能になったと聞いて、最先端の科学に驚くと同時にショックを受けました。また、流水プールやモーションキャプチャーシステム、ハイスピードカメラなどを使った貴重な体験ができ、強く心に残りました。オリンピック選手がこれらを使って練習することもあると聞いて、感動しました。また、実験で使うマウスの部屋を年中同じ気温に保って飼育すると聞き、研究の大変さを知りました。こうした講義や実習を通して、スポーツ科学への従来の認識が覆された気がします。今までに思っていた以上にスポーツと科学は深く関係していたのです。スポーツ科学の奥深さを知り、もっと知識を深めたいと思いました。それに伴って、研究者への憧れが益々強くなりました。以前は漠然と研究者になりたいと思っていたのですが、このサイエンスキャンプの中で私のしたいことはこれだ!と実感することができ、自分の夢を後押ししてくれたように思います。日常生活に研究のヒントが隠されていること、柔軟な脳で違った視点から物事を考えることの大切さといった研究の心得も学ぶことができました。さらには、全国のみんなとすぐ友達になって一杯喋ったりトランプをしたことがとても楽しく、一生の思い出になりました。
 3日間という短期間ではありましたが、色んな意味で充実した濃い3日間でした。ここで吸収した知識、経験を将来に生かしていこうと思います。 また機会があればぜひサイエンスキャンプに参加したいです。

「小さな世界」(広島県・高校2年生)

ナノメートルの世界を観る~ようこそ「電子で観るナノメートルの世界」へ~
日本電子株式会社 本社・昭島製作所

 サイエンスキャンプに参加する前には、私は電子顕微鏡についてはよく知りませんでした。会場である日本電子さんでの講義を受けて、今まで私がイメージしていた顕微鏡(いわゆる光学顕微鏡)との違いに驚き、電子顕微鏡にもたくさんの種類があって、様々な分野に応用されていることを知り、高い技術に私は素直に感動させられました。
 そしていよいよ実習の時間となり、試料として持参した塩や絆創膏、CDなど身近なものを電子顕微鏡で観察しました。塩の一粒一粒、繊維の一本一本がくっきりと見え、さらに拡大していくと、塩の粒の表面の模様や繊維の質の違い、CDの表面のくぼみなどが見えました。ミクロやナノといった本当に小さな世界に私は近づいているのだと思えてとても感慨深かったです。
 試料を観察したのは走査型電子顕微鏡と呼ばれる種類のものでしたが、他にも透過型電子顕微鏡を利用してみたり、走査プローブ顕微鏡で試料の加工を行ったり、その他様々な電子顕微鏡のある部屋を見せて頂いたりしました。どの顕微鏡にも特長があって、何を分析したいのかによって使い分けていることが分かりました。
 顕微鏡を見学させて頂いていた時、ひとつひとつ丁寧に説明して下さった職員さんたちの情熱を強く感じました。電子顕微鏡はとても繊細で、設備や管理の仕方にも気を遣っていらっしゃるそうですが、そのような苦労を積み重ね続けてこそ研究ができるのだと感じました。私も研究者や技術者になりたいとぼんやり考えていたので、現場を体験できたのもひとつの大きな収穫だと思います。
 またサイエンスキャンプでは、熱意や目標を持った仲間と出会えました。
 今までと違った出会いに刺激を受け、より自分の夢へと近づけた気がします。これからもっと「小さな世界」に関わっていきたいです。色々な出会いに対しての感謝の気持ちで胸がいっぱいです。

「命の美しさ」(山口県・高校1年生)

脳を見る、知る、調べる
国立大学法人 新潟大学 脳研究所

 今までにないくらい貴重な体験を、新潟大学でさせていただきました。1番はなんといっても、ブレインカッティングです。これは、ガンで亡くなられた方の脳を見させていただく・標本にするために切らせていただくというものでした。その人の記憶・性格・感性・人生そのものが詰まった脳を切らせていただくというのは非常に罪悪感がありましたが、そこから学んだ生命の大切さは心に深く刻まれ、忘れられないものとなりました。また、脳は重く(当たり前に)たったひとつで、ですがそのわずか1キログラムしかないひとつの臓器に全てが詰め込まれていることに感動と違和感を覚えました。脳以外にも脊髄や筋肉(どれもホルマリン漬けされたもの)を見させていただきましたが、人間は高貴で高等な存在だという固定観念をくつがえすものでした。人の死を普段と違う角度から見ることによって気づいたことは、ヒトは「動物」だということです。生命の謎をより身近に感じました。
 また、私が今回サイエンスキャンプに参加した動機は、思考や感情についてとても興味があり、それを作り出す脳自体の構造についても知りたかったからです。大学の研究所では、マウスの脳を使った実験を実際に見ることができました。聴覚が働いているときに使われる脳の部分がリアルタイムでわかる映像では、高い音と低い音を聴く時で使われる箇所が違うということを知りました。人間でなくマウスで…という点がはがゆくもありましたが、人体実験が難しいのも現状です。人間を直接解明できるような技術の進歩を望むと同時に、実験の対象となる動物に対して日頃意識することのなかった後ろめたさと有難さとを感じました。
 このキャンプで学んだことは、生命の偉大さ・大切さだと思います。脳の構造に関してはもちろん、脳の指令によって動く各器官、脳の中で起こっている化学反応のことを知り、生命は実に巧妙で素晴らしいと思いました。

「3日間のキャンプで」(奈良県・高校1年生)

ナノテクを使ったカラフル太陽電池の製作
大阪工業大学 ナノ材料マイクロデバイス研究センター

 この3日間は、僕の日常生活では味わえない、非常に濃密な時間でした。しかし、だからといって、全てが順調にいったわけではありません。実験ではある失敗をしてしまいました。しかし、先生に「失敗しても落ち込まず、原因を考え、どう修正して目的を達成させるのかが大切だ」と教わり励まされ、最終的には目的の太陽光電池の発電量の測定ができました。つまり、この3日間は、先生方やTAさんの多大なる助けにより、実験の目的を達成でき、どうにか成果発表へと漕ぎ着けられたのです。
 そしてまた、仲間のことも忘れてはなりません。最初の自己紹介の時、あまりの緊張により頭が真っ白になり、自分でも何を言っているのかわからないような状態でした。しかし、教室間の移動中や食事中に話すことで、少しずつ打ち解けてゆき、1日目の晩、トランプをした時には、前から知り合いだったかのようになりました。そのような仲間がいたからこそ、初心のモチベーションを維持したまま講義を受け、そして、その仲間と協力して実験ができたのだとも思います。
 この3日間で学べたことは、先生方の、内容は簡単でないのにわかりやすい講義による知識もありますが、やはり「柔軟性」と「協力」です。前記の通り、失敗しても、そこから立ち直らなければなりません。その時に、失敗の後に残った物・結果をどううまく利用するか、そこに発想の柔軟性がかかっているということです。また、多くの物事をまとめたり、作ったりするのはひとりではできません。何人かでうまく分担し、協力してやっと効率よくうまくできるものでした。
 僕は、このサイエンスキャンプで学んだことを心に留めて、これからの部活や行事に積極的に参加し、はたまた、将来行くと思われる大学や、社会人になった時にも役立てていけたら良いなと思います。

「かけがえのない体験」(大阪府・高校1年生)

21世紀の地球環境改善へ~水処理分離膜の技術~
東レ株式会社 地球環境研究所・株式会社東レリサーチセンター

 私が今回一番印象に残ったのは、分離膜の作成と性能評価でした。同じように作成した膜でも、少しの時間で透過率や除去率などの性能が大きく変わることに驚きました。作業時間の微妙なずれで性能が大きく変わる分離膜は、とても繊細で扱いの難しい素材なのだと実感しました。また、分離膜に人力で圧力をかける実験では、約70㎏ある私の全体重をかけても1滴ずつしか水が出ず、高圧の必要性を肌で感じることができました。膜を作り利用する、その1つの作業に様々な科学の技術が集結していること、またそのような研究開発が日々行われていることを知れたことは、私の財産です。
 その他にも、「21世紀の地球環境改善へ」という講義が印象に残り、参加前に疑問に思っていた膜利用の適用分野ついても知ることができました。私は今高校で農業を学んでいるので、その水利用に関心を持っていましたが、田畑の水源となる池湖沼の浄化や、都市下水の再処理などに膜が利用できることを確認でき、嬉しく思いました。膜により浄化された水が、美味しい野菜を作る一端を担っているのです。現在、環境問題は様々な場面で提起されています。科学の力で破壊してしまった環境を、科学の力で修復する、そのような構図が描けた時、未来はもっと明るくなるのではないかと感じました。
 キャンプでは、職員の方々とたくさん交流する機会があり、参考になる話をたくさん聞けました。また参加者同士でも、興味のあることや進路のことなどを話し「自分ももっと頑張らなくては!」と、とても刺激になりました。私は今後、大学に進学して教員免許を取り、農業の先生になりたいと思っています。その為には、まだまだ努力が必要です。今回の経験を糧に頑張っていきたいと思います。3日間どうもありがとうございました。

  • HOME
  • サイエンスキャンプとは
  • プログラム・会場・日程
  • 体験イメージ
  • 参加者の感想

Copyright(c)2011 Japan Science Foundation All Rights Reserved