スプリング・サイエンスキャンプ2009|参加者の感想

参加者の感想

「初めて尽しの3日間」(静岡県・高校2年生)

氷海生態系~その意外な実態を氷の上から観察しませんか~
東京農業大学 生物産業学部 オホーツク臨海研究センター

 静岡県伊豆地方という温暖な気候の土地に生まれ育った私にとって、北の海、オホーツクに行くということだけでもまさに「未知との遭遇」、それも初めて1人で飛行機に乗るということで、出発前はとても緊張していました。
 でも、降り立った北海道は白く美しく、キャンプの仲間はそれぞれ夢を持っていて、初めて会ったとは思えない程話が尽きず、語り合うことで私の視野が広がっていきました。
 2日目に行われた能取湖での氷上調査では凍った湖をテレビや本でしか見たことがない私は、下が冷たい湖だと思うとなかなか足が前に進ます、ビクビクしているばかりでした。時間が経つにつれてその場所にも慣れ、氷を手にとってみたり、氷の穴をのぞいてみたりと初めての体験に心を躍らせていました。
 初めて見る道具に戸惑っているとティーチングアシスタントの方がわかりやすく説明をしてくれました。
 氷上での調査や採取が終わるとそれらを実験室で調べ、データを出しました。先生方は実験室のさまざまな器具の使い方を丁寧に教えてくれました。ただの水のように見えても顕微鏡を通してのぞくと、沢山の生物が動き回り、自分たちが生きているアピールをしているようにも見えました。これらの小さな生物が無意識のうちに地球の生態系の底辺を支えていると思うと、大きくても何も出来ない自分の無力さを感じました。
 このサイエンスキャンプを通じて今まで知ることのできなかったものを、実際に体験し、理解することで将来の視野が広がりました。また同じような夢を持つ仲間と意見を交え、自分の考えを深めることもできました。このような素晴らしい体験は私の一生の宝物です。私たちを優しく指導してくれた先生方、ティーチングアシスタントの方、事務局の方にはとても感謝しています。ありがとうございました。

「自分を見つめるサイエンスキャンプ」(茨城県・高等専門学校2年生)

最先端の遺伝子工学とシステムバイオロジー
慶應義塾大学 環境情報学部・先端生命科学研究所

 「大腸菌の形質転換は42度で30秒間でないとだめなんだよ。じゃないと大腸菌が死んでしまったり、クローニングしたプラミドを取り込んでくれなくなったりするんだ。だからこれを見つけた人はすごいんだね。」
 “環境”このとき感じたことだ。大腸菌は42度30秒の間に最大の吸収力をもっている。今回サイエンスキャンプが行われた慶應義塾大学や生命科学研究所は、まさにそんな環境にあった。互いに刺激し合い最大限吸収し、自分の研究に力を注げる、そんな所だった。
 施設に入ってまず驚いたのは、施設が充実していたこと。どれも名前も知らない機械や器具ばかりだったが、一つ一つ丁寧に教えてくれた。
 実習で初めにやったのがマイクロピペットの使い方。初歩なのに気泡が入ってしまったりしてうまくとれず、これからのことが心配だったが、こういう細かいところが実は重要だということも学んだ。実習を重ねていくにつれて自分が無知であることを思い知らされた。特に丁寧に分り易いように教えて下さる中でもまだ理解できない事があったとき、それを痛感した。しかしそんな時は必ずスタッフの方々が助けてくれた。また、友達とも協力し合えた。様々な学校から来た友達と一緒に2泊3日過ごしたことで、情報交換だけでなく、何より心からサイエンスキャンプを楽しむことができた。
 このキャンプで沢山の研究者の方をみて、自分もそうでありたいと思った。自分の心に正直でありたい。そういった環境にいたい。
 顕微鏡でしか分からない程の小さな世界は思っていたより遙かに大きかった。私はそんな世界を覗いたに過ぎないかもしれないけど、そのことを気付かせてくれたサイエンスキャンプに心から感謝したい。
 殻に閉じこもっていてはいけない。この世界は自分の思うものより大きいはずだから。

「新たな出会い」(宮崎県・高校1年生)

バイオテクノロジーで環境を調べる
東京工科大学 バイオニクス学部

 私は今回のスプリング・サイエンスキャンプに参加し、新たな出会いを二つしました。一つ目は、同じ科学が好きな仲間との出会いです。私は、キャンプへの参加が決まった時、期待と不安で胸がいっぱいになり、キャンプの日が近づくにつれ、不安が増していきました。そして、その不安に答えるが如く私は遅刻をしてしまい、皆との距離が遠いように感じました。しかし、実験や食事を通し徐々に距離が近くなりました。同じ科学が好きだという共通点を持った皆とは、キャンプ三日間が短く感じるくらい仲よくなりました。この出会いは私にとって、今後の励みになると思います。
 二つ目は、東京工科大学との出会いです。プログラムの実験を進めていくにつれ、新しい発見がたくさんあり、遺伝子操作とは何かが理解できました。各実験台に一人ずつTAの大学生の方がついて、TAは実験中に使用する器具の説明を丁寧にしてくれました。私は学校での授業を通し、器具の使い方には慣れているつもりでしたが、今回は今まで使用したことのない器具がたくさんあり、勉強になりました。またTAには、大学生活のことについて質問したり話してくれたので、今後の進路決定のために参考になりました。教授と助教には、気軽に何でも質問ができ、最先端で研究をしている研究者への質問はつきることはありませんでした。各研究室にも見学させていただき、説明をしてくださいました。私はこんな研究がしたいなと思いました。
 サイエンスキャンプに初めて参加し、二つの出会いを通し、私は多くのことを学び得ました。出会った仲間とは、これからも連絡を取りあい、同窓会をしたいと思っています。また、学んだ事はこれから始まる自分の課題研究に十分に活かしていきます。すばらしい出会いと貴重な体験、知識をくれたサイエンスキャンプまたそれに関わった全ての人に感謝しています。

「新鮮な空気」(沖縄県・高等専門学校1年生)

脳を見る、知る、調べる
国立大学法人 新潟大学 脳研究所

 スプリング・サイエンスキャンプの新潟大学脳研究所でのプログラムに参加して第一に感じた事は、研究員の方々がとても生き生きと研究を行っていた事です。また、脳研究がまだまだ未開拓の分野であり、脳研究所では、常に脳に関する最前線の研究が行われていて驚くことばかりでした。
 ヒトの大脳を実際に手に持って、目で見てみて、「大きくて、重い!」と思いました。更に、病に侵された脳は一部が委縮していて、これが自分に起きたら恐ろしいとも思いました。ホルマリンに浸されていた脊髄は思ったより短く、小脳は葉っぱの模様をしていて不思議でした。
 脳の働きを画像として映し出し、その機能を探るシステム脳生理学の見学では、色々な条件を課したマウスの脳に刺激を与える事で、反応を起こした脳部位を見るという研究は、マウスが感じている事が眼に見えて分り、条件の違うマウスでは異なった脳部位で反応が起こる事も不思議でした。一番興味深かった研究は、ヒトの脳が感じる音の錯覚が、同じ哺乳動物であるマウスにも起こるのかという研究でした。僕はその研究の内容や進め方、予想と結果の考察、考え方などにショックを受けました。なぜなら、研究の在り方というものを初めて知る事が出来たからです。また、その研究をした教授から直接その研究について聴かせてもらった事もとてもありがたい事だと思いました。
 今回、2泊3日を共に過ごした7人の友達や、付き添って下さった先生方、脳研究所の研究員の皆さんには感謝する事ばかりです。そして、このサイエンスキャンプという場を借りて、脳研究所で、様々な新鮮な空気を味わう事が出来ました。新潟大学脳研究所でとても大切なことが学べたと思います。良かったです。

「化学の世界への一歩」(石川県・高等専門学校1年生)

不思議いっぱい!~高分子ナノ粒子の世界~
大阪工業大学 工学部 応用化学科

 「なぜ?」私はとても多くの事に疑問を持ちました。でも疑問を持つほど高分子に対する興味は深まり、答えが分かった分だけ新たな疑問が生まれました。私はこの短い3日間でとても多くのものを感じました。
 高分子について何度か聞いたことはあったけれども、それが何で、何を指すことなのかは一つも知りませんでした。ここでは聞くこと見ること全てが初めてで、分からないことばかりでした。でも3種類の重合の実験や講義を通して、高分子に対する理解が深まりました。実験では、多くの機械や薬品を使用しました。初めて扱う機械は難しく、薬品を量りとるのも一苦労と、一つ一つの実験がとても大変でした。でも様々な反応や結果を見ることができました。一滴の薬品で色が変化したり、扱い方で様々な変化をしました。白色と言ってもいろいろな白があり、光や陰による色の変化もありました。結果にもいろいろな違いがあり、大きな違いからとても小さな違いまで見られました。その中で私は乳化重合の結果にとても興味を引かれました。乳化重合は他の重合とは違い、光にあてるととてもきれいな輝きを持っていました。その輝きの原因を理解するのは大変でした。でも少しだけど理解できたような気がします。一つの事に対して疑問を持ち、それを理解できた時の喜びはとても大きなものでした。
 今回サイエンスキャンプに参加して、出会った仲間と一緒に考え、学べてよかったです。また高分子そして化学に対する視野も広がりました。化学の世界は、まだはてしなく広いけれど、高校そして大学と一つでも多くの事を学んでいきたいと思います。3日間で私は多くの経験や体験をすることができました。参加して仲間と出会い、科学と向き合えたような気がします。本当にすばらしく、とても充実したサイエンスキャンプでした。参加して良かったと改めて感じます。ありがとうございました。ぜひまた行きたいです。

「先生に質問しよう」(愛知県・高校1年生)

光で見る・創る・調べる~身近な光を使ってみよう~
関西大学 システム理工学部・月が丘住宅

 私はサイエンスキャンプに初めての応募となりましたが、とても有意義に3日間を過ごしました。私の心に残ったのは先生が講義の中で「研究者にたくさん質問している子は、どんどん伸びていきますよ。」とおっしゃった事です。私はこの言葉を聞いて、物作りの考えが変わりました。自分の考えだけで追及していくのではなく、その道のプロフェッショナルから、意見を貰うことが大切だ、とわかったのです。
 キャンプの初日はQRL改善提案モデルの高度福祉会社施設の見学や、普段では体験できない赤・緑・青の光の色の部屋の実験を、先生方が教えてくれました。また人間の目が、光の実験によってどのような反応を示すのかを、講義で学びました。このことから、光源の光の色によってものの見え方が左右されてしまうことが証明できました。
 2日目の簡易型分光器の作成の実験では、作った物を全て自分で持ち帰れたので、家に帰ってからも分解したり、組み立てて色々工夫してみたりしました。そしてキャンプ最後の実験、ホログラムの製作では、撮影する時に、空気の揺れや机の振動があってはうまく記録できないので、実験中に注意され続けたことを今でも覚えています。
 3日目は、まとめ発表をした後に関西大学の研究室をのぞかせてもらいました。今まで疑問に思っていた、レーザーの質問をしてみたところ、「よい質問だ」と言ってもらえて嬉しかったです。解説して下さる先生の目は輝いていた気がします。精神的にも大変で時間のかかる研究だからこそ、本当に好きな事でなければ研究を続けていくことはできないそうです。この事に気付いた事は一番大きな成果だと思います。同じような志を持った高校生との交流も非常に良い刺激になりました。私も負けないように勉強したいです。受験のための勉強だけではなく、サイエンスキャンプに参加することを、後輩たちに勧めたいと思います。そして私も機会があれば、もう一度参加したいです。

「サイエンスキャンプを通して実感したこと」(長崎県・高校1年生)

スポーツ科学の最前線~From Gene to Gold~
国立大学法人 鹿屋体育大学 体育学部

 私は、今回初めてサイエンスキャンプに参加させていただきましたが、今まで自分が知らなかったことを知ることができ、興味のあった分野により関心を持つことができました。
 3日間のプログラムの中で特に私の印象に残っているのは、スポーツ活動と筋力についての講義・実験です。前々から筋肉のつくりや働きに興味があり、分かりやすい絵などを用いて作られたパワーポイントによる説明で、より理解を深めることができました。陸上競技でいう「長距離型」と「短距離型」というそれぞれの性質をもった人々の筋肉のつくり方がどうなっているのかを昔から知りたかったのですが、それは骨格筋線維の収縮する速度の違いや、エネルギーを合成する特徴などによって性質が違っているということを、知ることができました。実験では筋電図の記録と薬指を電気によって動かす実験をしました。私はふくらはぎの筋電図をとり、力を入れ筋肉を収縮させたものが、振幅の波となって目に見える形として表されたことが、とても感動的でした。もうひとつの実験では、自分では意識していないことが電気によって体の変化として表れることがとても不思議で、自分の体でもまだまだ分かっていないことが多いのだと実感しました。
 そのほかハイスピードカメラによる動作の撮影や最大酸素摂取量を調べる実験など、興味深いものばかりで、とてもおもしろいプログラムでした。また、施設案内もしていただき、体育大学のすばらしさと多くのところでスポーツと科学がまざり合っているのだなと思い、とても参考になりました。
 今回の「スポーツ科学の最前線」のサイエンスキャンプを通して、アスリートの人々が表舞台ですばらしいパフォーマンスができるのは、見えないところに多くの人々の支えと努力があるからだと実感しました。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

「行って、見て、感じたもんじゅの未来」(愛知県・高校1年生)

来て・見て・感じてもんじゅの未来
独立行政法人 日本原子力研究開発機構 敦賀本部 国際原子力情報・研修センター

 僕が、高速増殖原型炉『もんじゅ』に行って、まず驚いたのは、その警備の凄さでした。とはいえ、別に他の原子炉とそこまでの違いは無いと思います。しかし、原子炉なんてこの時まで見たこともなかったのでびっくりしました。『もんじゅ』の敷地には警備隊がいて、その駐屯所があり、また何台もの大きな監視カメラが首を左右に振っていました。それを見て、これから入る施設がいかに重要であるかを感じ、この後自分達が行うプログラムへの期待が膨らみました。
 次に驚いたのは、『もんじゅ』で動く金額でした。僕たちは、『もんじゅ』を操作する管制室のような所で働く人が、その操作を覚えるためのシミュレーターという装置を使って、擬似的に操作体験をしたのですが、そのシミュレーターを1時間使うのに約10万円かかると聞いて、おどろくというよりもただただすごいと思いました。研究者の方によると『もんじゅ』を1日とめると1億円の損になるから、1時間に10万円かかってもシミュレーターで訓練した方が損失が少ないそうです。
 そして、これは研究者の方の言葉で、「『もんじゅ』は動こう動こうとしているのではなく、止まろう止まろうとしているから、人間はそれをかい潜って何とか『もんじゅ』が止まらないように操作しているんだ。」とか。これには、研究者ならではの言葉だなと感銘を受けました。
 今回のキャンプでは、まず、原子炉の仕組みの基礎を学びました。そして、原子炉の未来である高速増殖原型炉『もんじゅ』の仕組を学び、『もんじゅ』そのものを自分の目で見ました。このことで原子炉や原子力といった物が、未知の物ではなくなり、偏見や根拠のない恐怖を抱かなくてすむようになりました。
 最後にサイエンスキャンプでの3日間、最高に楽しいものでした。

「体験して初めて知ること」(宮城県・高校2年生)

さけます類の生物・生態系と資源管理技術 入門コース
独立行政法人 水産総合研究センター さけますセンター

 私が、今回のキャンプで非常に興味を持ったのは、「さけます」に関する内容です。文字通り「さけます」と書いてあるから、さけとますに関することだろうと思いましたが、では、さけとますはどのように違うのかと興味を持ちました。
 それはキャンプ1日目の講義で十分理解しました。正確にはちゃんと区別して使ってきたわけではなかったのです。なぜかというと、英語と日本語の違いからだそうです。他にも研究の結果から、どのように回遊しているか、海で生息しているさけと、川で生息しているさけとは呼び名や生態が違うなど、一般には知られていないこともたくさん学びました。
 実習では、さけの鱗をとり、頭を切って、そこから耳石をとるなど日常では決してできないことをし、さらに研究者の気持ちになれました。実習を一通りやり、鱗のレプリカを作りました。鱗からそのさけの年齢を知ることができるそうです。そして耳石からはバーコードをみることができるそうです。最初は耳石にバーコードという意味がさっぱり分りませんでしたが、耳石にバーコード模様をつける技術、耳石温度標識という標識だったのです。耳石は成長とともに大きくなるので、ある温度の水温で数時間いるとバーコードのような線がでてくるのです。説明自体は難しく、分からなかったのですが、取りだした耳石をプレパラートにセットして、少し平行に削り顕微鏡で見ると、確かにバーコードのように線が細かかったり、太かったりしています。
 このキャンプでは初めて学ぶものが多く、とても面白いものとなりましたが、それだけでなく体験して初めて知るものもたくさんあったので、この体験は思いで深く、楽しいものとなりました。

「the line」(青森県・高校1年生)

地球を探る~仙台市郊外で地質の調査~
独立行法人 産業技術総合研究所 東北センター

 決してつながるはずの無かった線がつながった。出会うはずが無かった人達と出会い、見た事、考えた事も無かった世界に触れた。
 正直、私は地質学にそれほど知識がなかった。興味はあるが興味を持っただけで終わっていた。けれどこの3日間でそんな私の意識は大きな変化をとげたのだ。
 1日目、不安いっぱいで仙台の地を踏む。しかしバスの中で参加者と出会った事で不安はあっさり消えた。参加者と話が合うか心配だったが、それも杞憂に終わった。年が近いためか同じものに興味を持つせいか話は初対面とは思えないほどにはずんだ。普段聞けない他の地方の話や鉱石の話もできて、これだけで参加してよかったと思えるほどである。
 2日目はフィールドワークで実際に岩石に触れたり、道具の使い方を学んだりした。普段使わない筋肉を使用したせいか、ヘトヘトに疲れていたのだが、学び取る事が多く、またそれも難しく高度に感じられるが、先生に教わる事ができるので、普段学べない事に触れるのがとにかく楽しかった。
 討論会では「地球の未来」というテーマで話をしたが、参加者は皆真剣に議論し合い、普段の学校生活では絶対に考えられないくらい真面目な討論会はとても充実していた。同じものに興味を持つ人の意見は聞いているだけでとても参考になった。
 最終日は森を歩いた。3日間で様々な事に触れたが、私はこの時地球の広さを感じ、もっと地学について学びたいと思えた。進路さえもこの3日間に変えられたのだ。
 決してつながるはずのない線がつながり、私は同じ夢を追う仲間に出会い、夢を見つけた。この感動は3日間をすごして、実際に体験して、学び、触れてみないと得ることはできなかっただろう。ちなみに仲間との交流は今も続いている。サイエンスキャンプは、この様に私に様々な物をくれた。その体験、仲間、先生全てに、とても感謝している。

「かけがえない大切なもの」(福岡県・高校2年生)

センサが変える未来の社会!
オムロン株式会社 京阪奈イノベーションセンタ

 私は今回初めてサイエンスキャンプに参加させていただいた。私は昨年も参加する機会をいただいたのだが、参加することができなかった。だから、今回参加する機会をもう一度いただき、とてもうれしく思うと同時に、有意義なものにしなければとの思いがあった。実際にサイエンスキャンプに参加して、私は学校で学ぶことのできない現場の方の話を聞くことができ、最先端の技術を見学し、体験する中で大切なものを見つけられたように思う。
 オムロン株式会社の方の話に、「技術を進歩させることが目的ではなく、社会に使われる技術を開発している」、というものがあった。この話が私は一番印象に残っている。いくら技術が開発されても、それが実用的なものでなければ受け入れられず、社会は変わっていかない。「最適化社会」を見つめておられたオムロンの創業者の気持ちは、社員の方からすごく伝わってきて、私に将来の目標を考える機会を与えていただいた。
 私はサイエンスキャンプに参加する前から進路について迷っていた。一度はあきらめていた夢、オムロンの方の話を聞き、インストラクターの先生に話を聞いてもらい、もう一度、その目標に向かって頑張ろうと思った。そして何よりも、このキャンプで出会えた15人の仲間のおかげで決心することができた。住んでいる場所も、学年も違う15人。けれども、一人一人が自分をしっかり持っていて、様々な視点や考え方があり、私は自分の世界が広がるのを感じた。
 サイエンスキャンプは私に、社会を見据えて物事を考える視点、夢をあきらめないこと、そして2泊3日共に学び語った15人の仲間というかけがえのないものを与えてくれた。参加して本当によかったと思った。参加前にあった不安は消えて、今は希望を持っている。サイエンスキャンプ事務局の方、インストラクターの先生、15人のみんな、貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

「その一歩は大きな一歩」(東京都・高校2年生)

地震に負けない!~構造、材料の科学~
鹿島建設株式会社 技術研究所

 このキャンプでの3日間は密度の濃いものであったと同時に、あっという間に過ぎていきました。どのプログラムが一番良かったかと聞かれれば、正直「全部!」と答えたいですが、あえて言うなら普段では絶対見ることのできない物をたくさん見られた実験施設見学です。特に印象に残ったのは、ビル風などの影響を調べるための風洞実験施設と3日目の振動実験でも使った大型振動台。とにかくこの2つのスケールの大きさには驚きました。1つの建物を造るのにいろいろな実験を繰り返し安全性を見るのは知っていましたが、流石にここまで大掛かりな装置だとは思いませんでした。そこで働いている方々を見て1つの建物が出来上がるまでには数多くの苦労があること、たくさんの人達の思いが詰まっているのだと改めて感じました。
 又、自分自身の手を動かしたコンクリート製作実験や構造物摸型の作成と振動実験ではものづくりの楽しさを再認識しました。水とセメントの割合がコンクリートの強度に関係していることが表から読み取れ、きれいな値として結果が見えてきたのも面白かったです。
 以前からこのサイエンスキャンプの存在は知っていて、面白そうだとは思っていた反面、「難しそう、大変そう、自分なんかがキャンプのプログラムについていけるだろうか。」そんな不安も抱いていました。しかし、キャンプに参加した今だからこそ言えます。あの時少しの勇気を出して一歩踏み出してみて良かった!無知な私でも基本的な事から教えて下さり、分からなくて困るということもなかったし、何より普通に生活していたら体験できないことだらけでした。深夜まで語り明かした友達もこのキャンプに参加しなかったら出会えなかったでしょう。
 あの時踏み出した一歩は私にとって大きな一歩になりました。

「様々な方面からの対策」(東京都・高校2年生)

地球環境とCO2排出削減へ向けて
東京電力株式会社 技術開発本部 技術開発研究所

 今回のサイエンスキャンプで、私が一番楽しみしていたのは森林についての講義だった。CO2吸収量の測定方法や、世界の森林に対する意識、植林地の現状など、今まで知らなかった事がたくさん頭の中に入ってきた。その複雑さに混乱しながらも、講師の方にくわしく説明していただき、森林についてもっと知りたいと思うようになった。また講義の中で、私は「森林は時間稼ぎ」という言葉にショックを受けた。せっかく吸収したCO2も、結局木が死ぬ時に排出されるという。森林に対してCO2削減への期待が高いらしく、私もずっとそう思っていた。もちろん森林を増やす事は必要だが、それだけではいけないということを、世間に広めていく必要があると感じた。
 ヒートポンプについての講義では、実験を通して、原理を分かりやすく説明していただいた。そして給湯器の他に、冷蔵庫やエアコン、洗濯機など、身近なものに使われている技術だと聞いて、とても驚いた。また、ヒートポンプを取り入れる事で石油やガスに比べて半分以上もCO2が削減出来るのを知り、我が家にも導入したいと思った。
 今まで、電気自動車のコマーシャルはなんとなく見ていたが、キャンプから帰ってきた後はコマーシャルの見方が変わった。やはり知識があるのとないのとでは、関心の持ち方はだいぶ違うのだと感じた。
 洋上風力については、私は何も知らなかった。ただの風力発電とどう違うのか、なぜ日本では実用化されていないのかなどを含め、丁寧に解説していただき、実験で細かい所まで見せていただいた。物理が関係していたので難しかったが、とても興味が深い内容だった。
 先端技術に触れる事が出来、とても有意義な3日間を過ごせた。これからは、最初の講義で習ったように、誰かがやるべき、と他人を批判するのではなく、自分たちが出来る事を考え、実践しようと思う。

「分離膜のように、環境問題を解決していきたい」(広島県・高校2年生)

21世紀の地球環境改善へ~水処理分離膜の技術~
東レ株式会社 地球環境研究所

 今回初めて参加したこの体験合宿は今後の自分の進路について大きな影響を与えてくれました。
 私は、漠然と将来は地球環境とか科学の方面に進んで、研究・開発の仕事をしたいと思っていました。しかし、実際にはあまりよく研究や開発などについて知らず不安を抱えていました。そんな時に、環境問題の1つでもある水処理についての最先端の研究に触れることができたことは、とても有意義なものでした。私たちが日々、何気なく使っている水もいろいろな人のおかげで安心して使えていること、分離膜を開発するのに何十年もかかったこと、そして今なお研究し続けより良いものを作ろうとしていることを知りました。
 最終日に、研究者の方がおっしゃった『未来をどのようにするのか、未来を選べるのは君たちだ』という言葉が深く心に残っています。私は自然と共存し、人々がより快適に暮らせる未来を望みます。今回の合宿で、自分で作った分離膜で水が少しでも綺麗にろ過できた時の喜び、研究者の方の熱い姿勢を忘れずに、私も分離膜のように今まで人間が積み上げてきた環境問題などを少しでも綺麗に、解決(ろ過)できるような人になりたいです。
 また、この合宿に参加した人達と出会えたことも、私に大きな影響を与えました。住んでいる場所や学校、考え方の違う人たちと意見交換が出来たことは、とてもよかったです。
 この3日間のサイエンスキャンプでの体験は、私の人生において貴重な体験となったし、同じキャンプに参加した人達との出会いは、私にとって宝物となりました。この出会いや経験を今後の進路や日々の生活に活かしていこうと思います。
 この合宿に参加させて下さって、本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。

「将来につながる体験」(神奈川県・高校3年生)

ナノメートルの世界を観る~ようこそ「電子で観るナノメートルの世界」へ~
日本電子株式会社 本社・昭島製作所

 目に見えない世界を見ることはとても神秘的です。私は以前から電子や原子などの超微細な世界の研究に興味があり、憧れていました。今回のキャンプで、ナノメートルの世界の奥の深さに触れることができました。
 透過電子顕微鏡TEMでは、ラットの肝臓などを観察しました。TEMは試料の中まで透けて見ることが出来る顕微鏡で、染色体や赤血球などまで見ることができました。
 FIBという装置は、観察のため、カリウムイオンのビームで試料の表面を自在に削る装置です。ICチップの不良部分を見つけるのに役立ち、今後の高度な情報化社会に対応してさらに進化するLSIで、不良品をなくして生産の効率を上げるために、FIBは欠かせない重要なツールになっていくと感じました。
 私が最も興味深かったのはFDSなどの分析機器です。X線の反射エネルギーで試料の成分が分かるのです。私は、走査顕微鏡SEMでいくつかの食品を観察しました。かんぴょうには表面にゴミのようなものが多く付着していて、それが何かを分析していただきました。分析は短時間で終わり、CやOが多く含まれていることが分かり、大変な驚きでした。
 電子顕微鏡は、光学顕微鏡よりも分解能がはるかに優れている分、その仕組みはかなり複雑で、試料を挿入する場所を真空にしたり磁場をかけたりと、まだまだ今の私には難しいことが多くありました。4月からの大学での授業や研究で、自ら積極的に勉強して、装置の原理から理解した上で、これらに関わる研究をやりたいと強く思いました。入学前に貴重な経験ができ、非常に幸運に思います。
 今回キャンプに参加して、私の「研究者になりたい」という夢を、より確固としたものにすることができました。偶然同じ高校出身の研修員の方にお会いし、また、キャンプの様子が新聞に掲載されるなど、一生思い出に残る本当に貴重な体験になりました。日本電子ほか関係者の皆様に、心から感謝します。

「将来につながる貴重な体験と地域交流」(埼玉県・高校1年生)

近未来建設ロボット技術を体験しよう
日立建機株式会社 技術開発センタ

 今回のサイエンスキャンプは、機械に興味を持っていたので参加しました。最初の見学では、工場で実際に物が作られたり、それを組み立てたり、というのが間近で見られたことが印象深かったのと同時に、機械についての興味を以前よりもさらに持つことができました。
 さらに、工事現場でよく使われている油圧ショベルの試乗体験では、いたって簡単な操作方法や自分の考えとは逆に実際の操作は難しく、練習することによって上達することを実感しました。これは、勉強やスポーツでも同じことが言えることが分かりました。
 実験施設では、振動を再現する装置や耐久性を確認できる所などがあって、そういう場所でよりよい製品に向けて日々研究されているんだなぁと感じました。
 他にも、双腕のショベルの討論では、自分では思いつかないようなユニークな考えが出てきたり、考えの中でも人それぞれいろんな意見が出てきたのでいろんな考え方が分かったり、ショベルに使われている部品や動き方などを実物やカット模型で見て知ることができました。また全国各地から同じ物に興味を持った人達が来ていました。互いに初対面で最初は仲良くできるか心配でしたが、食事やミーティングなどを通して互いの住んでいるところについて話したり、有名人について話したりしているうちに学校の友達と同じような関係になっていったので、3日間の学習がとても充実し素晴らしいものになりました。
 またこのような機会があれば積極的に参加していこうと思います。
 3日間という短い間でしたが、共に学んだ皆さんや講師の方々、そして関係者の方々、本当にありがとうございました。

「感激の3日間」(神奈川県・高校1年生)

アプライアンス&セキュリティ進化するMFP(Multifunction Product)
株式会社リコー 中央研究所

 今回私は、初めてサイエンスキャンプに参加した。正直言ってこれほどまでに有意義なものになるとは想像していなかった。
 カリキュラムはリコーの皆さんが時間をかけて考えて下さったとても濃い内容だった。コピー機の原理を講義で受け、実際に自分でやってみたり、デジタルとアナログの違いを詳しく知ったり、テレビで会議を体験したりと、普段の学校の授業では絶対に知ることのないことばかりだった。
 これらを体験して得たものは、計り知れない。中でも感激したものを2つ挙げるとすると、第1に自分が勉強していることが製品の原理に使われていることだ。私は理科が好きだが、何のために学んでいるのかがよく分からなかった。しかし、意外にも身近な製品は自分の知っている理屈で動いていて、それをより様々な形で応用していたのだ。
 次に、研究者、開発者の皆さんだ。私は、今までこの2つの職業は、白衣を着て黙々と仕事をしているイメージだった。しかし、実際は違い、皆さんとてもフレンドリーで、質問にも心優しく答えて下さり、そしてさらには、女性の方も大勢いらっしゃり、感激だった。
 私はまだ将来、何がしたいか分らない。今回の様々な体験は、私が井の中の蛙であることに気付かせてくれ、多くの刺激を与えてくれた。間違いなく今後の人生で重要になるに違いないと思う。このような体験をさせて下さった、多くの関係者の方々にいいようのない感謝の気持ちでいっぱいだ。将来はまだ漠然としているが、これからも理科を学びたいと思った。

  • HOME
  • サイエンスキャンプとは
  • プログラム・会場・日程
  • プログラム紹介
  • 体験イメージ

Copyright(C)2009 Japan Science Foundation All Rights Reserved