ウインター・サイエンスキャンプ '08-'09|参加者の感想

参加者の感想

「百聞は一見に如かず」(静岡県・高校2年生)

超伝導を作ろう~高温で見い出された超伝導の謎~
国立大学法人 北海道大学大学院 理学研究院

 今までの私ならきっと受験への不安に押し潰されてしまっただろうと思います。でも、大学で実験を手伝ってくださった大学生や大学院生、講義をしてくださった教授の方々に出会って、大きな夢を持つことができました。物理は好きでもテストとなるとなかなか点に結び付かなかったのでちょっと嫌気がさしていましたが、実験室で見た重力に反して物体が浮くという現象はとても興味深く、物理はノートの上で解こうとするからできないのであって、もっと積極的に実感を持って解くことが大切なのだと感じました。もともと研究職につきたくて大学受験を考えていましたが実際それがどんなことであるかはよく知りませんでした。よくわからないでただ研究したいと思っていた時にくらべずっと前向きに夢を実現しようと思えるようになりました。本当に百聞は一見に如かずだと思います。
 私立の女子校で5年間を過ごしてきた私にとってほかの学校に通う人と話をすることも、自分が今どのような状況にあるかを知るのにいい機会でした。まだ理系にするか文系にするか悩んでいる高1の子が多かったけれど、それも聞いていると自分が理系を選択した1年前を思い出し、初心を思い出させてくれるいい刺激でした。今見ている夢が夢ではなく目標となるように頑張って大学に合格したいです。

「山の自然を体験」(青森県・高校2年生)

雪と氷の世界を体験しよう~雪結晶から地球環境まで~
国立大学法人 北見工業大学 工学部

 初めてのサイエンスキャンプですが、実験や講義で今まで知らなかったことをたくさん知ることができました。雪の結晶には様々な型があるだけでなく冷え方によって違うということや、空が青いのは、太陽光はあらゆる光の色を均等に含んでいるが太陽の無い方向を見ると青の光が空気分子によって強く散乱して眼に入ってくるからなど、難しい問題もおもしろいクイズ形式にし、理解しやすく楽しかったです。夜の星空も空気が澄んでいて星座を観察することもできました。摩周湖、硫黄山、仁伏温泉、ポンポン山を訪れた時もとても楽しかったです。山はどれも蒸気を出していて暖かかったし、スノーシューを使って登ったのはとても良い経験でした。道らしい道はなかったけれど、山の自然を体験することができました。また、自分達の班の中でテーマを決め、そのことについて観察・実験をやり、まとめ方やどう発表するかなどを話し合うことで、班で協力し合うことができてうれしかったです。講義してくださった先生は南極に行ったことがあり、その体験談を聞かせてくれました。南極での生活の仕方、どのような生物がいたか、などたくさん聞けて、南極はやはり厳しい土地なのだと思いました。そして、環境問題で一番恐れているのが海流大循環の停止というのがわかりました。温暖化をなんとかしないと海面上昇ではなく、この循環の停止が現実のものになってしまうことを知りました。
 サイエンスキャンプのおかげで、新しい体験や知識を身に付けることができました。また機会があればぜひ参加したいです。

「気体にも粘度がある驚き」(神奈川県・高校1年生)

種々の気体の粘度を測ってみよう
国立大学法人 東北大学大学院 工学研究科 創造工学センター

 サイエンスキャンプの存在を知ったのは、学校の掲示を見たのがきっかけでした。参加資格が得られたときはとても嬉しかったのですが、正直「気体に粘度なんてあるのか」と疑問に思い、実験にもついていけるのか不安な気持ちでいっぱいでした。
 実際に東北大学大学院の研究施設を見学したときには、先生方や学生の方の生き生きしている目がとても印象的で、この光景を見て、不安だった気持も少し解消されました。
 私たちが実験している間、先生方や学生の方々が丁寧なアドバイスをくださり、何もかもが初めてだった私たちにもとてもわかりやすく説明してくださいました。
 実験を通して、まず気体にも粘度があるということに驚きましたが、気体の種類によって粘度が違い、その法則性は単純な単位を縦軸・横軸にとっても見い出しにくいこと、小数点以下10桁くらいまでの正確な数値で計算しないと正確な実験結果が得られないことなど、とても興味深い結果を得ることができました。
 このサイエンスキャンプは、参加者同士のコミュニケーションによる刺激も良い特徴であると感じました。同じ志を持つ者同士、全国から集まる貴重な機会を共に過ごせたことをとても誇りに思います。この経験を生かして将来の進路に役立てていきたいと思います。

「携帯電話にも有機EL」(千葉県・高校2年生)

有機の光で照らしてみよう~有機ELを作る~
国立大学法人 山形大学大学院 理工学研究科 有機デバイス工学専攻

 私は有機化学に関心があり、学校での課題研究も「有機EL」にしようと考えていました。
 2日間の実験は難しい部分が多く大変でしたが、最初の講義で入門書に絡めた分かりやすい講義をして頂いたことで、頭の中で知識がつながり、「なるほど!」と納得できました。また、有機ELは応用できる分野がたくさんあることを勉強することができました。
 例えば、厚さ3ミリの有機ELテレビや城戸研究室が生みだした世界初の白色発光などです。有機ELテレビについては新聞などで大きく取り上げられていますが、ここまで美しいとは思わなかったので思わずため息をついてしまいました。また、電器店で薄型液晶テレビを見ても「厚いし、ベタッとしているなぁ…」などと感じるようになりました。白色発光については、本当に眩しく光り輝いたので驚きました。やはり、写真で見るのと実物を見るのは全く違うのだと思いました。スタッフの方に教えていただいたのですが、自分の携帯電話に有機ELが使われていたことも驚きで、衝撃を受けました。
 一生懸命取り組んだ実験の結果、完成した有機EL素子がピカッと光った時には本当に感動しました。今でも、あの瞬間が忘れられません。

「自分の能力の限界とまっすぐ向き合うこと」(東京都・高校1年生)

知ろう・創ろう自然エネルギー
足利工業大学 総合研究センター

 キャンプ初日、皆緊張して会話もできなかったのですが、夜のミーティングで自己紹介があるとその後は一気に打ち解けました。良い仲間と、丁寧に指導して下さった大学の先生方や学生の皆さんのおかげで、僕は多くのことを学び体験することになります。
 2日目から始まった実験は、良い意味で予想を裏切られる、大変有意義なものでした。予想では「与えられたプログラムをただこなすだけかな?」くらいに考えていたのですが、実際は、実験の全過程にわたって自ら考え工夫することが要求されました。そうなると自分と他の参加者とで、どちらがより深く正確に考えることができたかが、実験の結果にはっきりと現れることになります。その結果を見て時には悔しがり、喜んだりを繰り返すうちに、自分の位置、つまり能力の限界が明確に意識され、それとまっすぐ向き合うことができたということがこのキャンプで得られた最大の成果です。これは、科学に興味を持つレベルの高い参加者たちが互いに刺激し合い、かつ大学で研究されている専門的で初めて触れる分野の学問に接することができるという、サイエンスキャンプならではの環境でしか得ることのできない、とても貴重な成果であると思います。今回の反省を活かし自分の足りない点を改善していくこと、そのための行動を起こすこと、それが今後の課題です。

「トラブル乗り越えロボット完成!」(東京都・高校1年生)

自律型ロボットをつくろう
神奈川工科大学 工学部

 私が参加したサイエンスキャンプのメインは、2日目と3日目に行われたチーム対抗戦のロボットコンテストだが、これが本当に難しかった。まず、どのようにして課題を攻略するかをチームで話し合いながらロボットを改造する。ロボットはレゴだから自分たちの攻略方法に合ったように改造できるが、なかなかうまくいかない。それでも何とか3人で力を合わせてロボットが完成。ロボットのプログラミングをしていたらモーターが作動しなくなってしまい、正常なモーターに付け替えなければならないことに。モーターを替えるところまではできたが、どうやって組み立てたかわからなくなり、前とは違うロボットが完成。完成したと思ったら今度は電池切れになり、充電器にかえることに…2度のトラブルを乗り越えてやっとロボットが完成。プログラミングに時間がなくて、途中で動かなくなってしまうという状況でロボコンがはじまった。ほかのチームのロボットは見ただけですごいと思うような形をしていたし、課題の攻略方法も技術がいるもの。私たちのロボットは、ものすごくシンプルなもの。絶対に優勝なんかできない、ボールが1個でも入れば良いと思っていたのに優勝してしまい、嬉しさよりも驚きのほうが大きかった。
 この3日間は、本当にあっという間で楽しかったし、自分の中の何かがこのサイエンスキャンプで変わった気がする。参加して本当に良かった。

「まわれ『風車』」(滋賀県・高校2年生)

体験しよう!風力発電の技術
国立大学法人 鳥取大学 産学・地域連携推進機構

 今、地球全体が大きな病気にかかってしまっています。大自然のバランスを壊し、環境へあまりにも大きな負担をかけ続けてきた結果、地球規模での砂漠化や酸性雨など、現在、地球温暖化が大変な問題となってきています。
 今回「サイエンスキャンプ」に参加させていただき、今、自分に何ができるのか、何を求められているのかを、少しでも考える機会を与えていただきました。
 風力発電の特徴は、温室効果ガスの排出が非常に少なく、長期にわたり発電用燃料調達のためのコストが発生しない事が最大の長所だと思います。「風の力」で風車をまわし、その回転運動を発電機に伝え、起こした電気を蓄電池に貯蔵する事で、風力エネルギーの約40%も電気エネルギーに変換できるかなり効率の良いものと知りました。また、夜間にも発電が可能で、需要地に隣接して設置することで送電のためのコストも低く抑えられます。
 一方短所は、風の強い時間帯や季節と、電力需要の多い時間帯や季節が相反する場合、風速の変動によって出力が需要と無関係に変動する事で、他の火力発電や貯水式水力発電などに頼らなければならない事と、台風等の強すぎる風への対応だと思います。
 風力発電は環境問題に対応した自然エネルギーの活用と、景観を活かした地域観光振興と共に、地球環境の保全エネルギー源として世界各地で設置が進むと思います。

「『すごい!』を連発した経験」(沖縄県・高等専門学校1年生)

試験管の中で生命を作る~遺伝情報とタンパク質~
国立大学法人 愛媛大学 無細胞生命科学工学研究センター

 参加当日、一番早く目的地に着いた僕は、「どんな人達が来るのだろう?」「どんな実験が出来て、どんな講義が聴けるのだろう?」と、不安と期待が混じった感情でいっぱいでしたが、そんなものはすぐに吹き飛びました。先端科学技術を日夜切り拓いている優秀な研究者の方の講義を聴けることは滅多にありません。その優秀な研究者の下で研究をしている大学生・大学院生と一緒に実験をする機会にも滅多に恵まれません。だから今回のサイエンスキャンプは、将来遺伝子工学の研究者になる事を志している僕にとってとても有意義なものになったのだと思います。
 初めは、細胞も使わずに目的の遺伝子を転写・翻訳してタンパク質を合成するという夢のような技術の存在を信じきれませんでした。ですが、DNAの転写・翻訳、そしてタンパク質発現が実際に試験管の中で起こったのを目の当たりにした時、確かにその技術は存在し、細胞でなくても遺伝子を発現させることが出来る事をようやく受け止めることが出来ました。このことは、今まで広く知られている遺伝子の知識のほんの一部しか知らない僕にとってはかなり衝撃的でした。初日から最終日まで何度「すごい!」を連発したでしょう。今回のサイエンスキャンプでの経験を自分の今後に活かすために、日々精進します。

「進路を決める貴重な体験」(鹿児島県・高校2年生)

最先端の加速器による、素粒子から身近な物質までを探る研究を体験しよう!
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

 私は今回、真空についてシュルツゲージとA-Bゲージを用いて熱電子電流測定、衝突電離断面積測定、イオン電子測定の3つの実験を行って各真空計の使える範囲を学びました。しかし、真空だけでなくサイエンスに対する取り組み方、例えば問題を発見する事や探究心などが重要であるという事なども学ばせていただき、本当に感謝しています。このようなプログラムがある事を知り、応募した事で、貴重な体験をし、素晴らしい術を習得できたような気がします。そして、実際に最先端の研究が行われている物理学の現場に行けた事で、優れた機械などを見学する事ができ、どのような実験を行っているかなどがとてもよく理解できました。
 これらの体験を生かし、理系で学ぶ者としてこれからの進路を明確に決めたいと思っています。私は今まで機械や車、バイクなどが好きだったため工学部の機械科に進みたいと思っていましたが、今回プログラムに参加して最新の機械など見たり話を聞いたりした事で、専門分野が大変奥が深くて複雑だと感じました。多くの知識や技術を必要とする事に気付き、やはり好きなだけではだめなんだなぁと思いました。このような機会がなければ自分では気付かずに過してしまっていたかもしれないので気付く事ができてよかったです。

「新しい私になる」(岩手県・高校2年生)

生きていることと生きること~遺伝子の世界と脳の世界~
独立行政法人 産業技術総合研究所 セルエンジニアリング研究部門

私はシナプスに興味があり、化学シナプスと電気シナプスの違い、特に電気シナプスの情報伝達に興味がありました。高校では電気シナプスについては教えてくれません。電気シナプスは情報伝達のための信号の方向が決まっていないことに私は疑問を持っていました。その答えは研究者の方が丁寧に教えてくださいました。なんと細胞には穴があいていて電気シナプスはそれらの細胞に向かって一斉に放出されているらしいのです。心臓の筋肉など同じ行動をとるものに使われているそうです。「えっ、細胞に穴が!?」と思いましたが改めて、私達人間の体って本当にうまくできているのだと感心しました。
サイエンスキャンプで私は解剖という初めての体験をしました。解剖の実験の前に研究者の方々は動物を使った実験には、動物がストレスを感じないように細心の注意をはらっていたし、動物の犠牲のもとに行われている実験であるから、最大限それをいかさなくてはいけないと私たちに教えてくれました。実験が始まり、受精卵からニワトリ胚をとりだす時、卵の殻の中には血管がめぐっていました。驚いたし、かわいそうとも思いました。小さなニワトリ胚の体の中には本当に小さな臓器がありました。たとえ小さくてもすべて臓器はそろっていました。そしてハート型の小さな心臓が動いていました。心臓がどんどん弱々しい動きになっていくのを見て、切なくなりました。しかし、今まで私は、食物としての動物に対して何も思っていなかったことに気付きました。人間は何かを殺さなくては生きていけないということを改めて感じ、そしてむずかしいことだと思いました。

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