サイエンスキャンプ

サイエンスキャンプとは

  サイエンスキャンプとは、先進的な研究テーマに取り組んでいる大学、公的研究機関、民間企業の研究所などを会場として、なかなか出会うことのない第一線の研究開発現場で活躍する研究者や技術者から直接指導を受けることができる、実験・実習を主体とした科学技術体験合宿プログラムです。
  科学技術は私たちの生活に密接に関わっていて、様々な恩恵をもたらしてくれます。新しい発見や技術革新は、私たちのライフスタイルを大きく変えることもあります。
  サイエンスキャンプでは、そのような新しい発見や技術が生まれようとしている研究開発の現場を訪れます。そして、研究者や技術者が実際に使っている施設や設備で、本格的な実験や実習を目にし、体験することができるのです。
  たとえば、私たちの健康に貢献するバイオテクノロジーについて遺伝子レベルの実験をしたり、産業界で注目の新素材を合成したり、最先端の研究施設や機器を使ってものの性質を測定してその有用性を確かめたり、地球環境の高度なシミュレーションを行ったり、未知の謎を解き明かす巨大な実験装置を見学したりします。最新の研究内容や技術革新、将来の産業化への展望などの講義や、研究者の意見を聞き議論する機会もあります。
  また、研究者や技術者は普段どんなことに興味を持ち、どのように研究開発を進めているのか聞くことができるのもサイエンスキャンプの特徴です。世界の研究者達が何に注目して取り組んでいるのか、ニュースになる前の新しい話題を聞けるかもしれません。
  こうした実習や講義、研究者や技術者との交流を通じて、基礎的な研究がどんなふうに産業や社会に応用されていくのかを知ったり、今地球ではどんなことが起こっていて将来どんなことが起こりうるかなど、エネルギーや環境、生態系について地球規模で考えてみたりできるでしょう。
  でもちょっと難しそう? いいえ、心配はいりません。
  専門的で高度な内容も、皆さんにわかりやすい表現を使って説明されますし、興味を持ってもらえる工夫でいっぱいですので楽しみながら体験することができます。
  サイエンスキャンプ─それは、私たちが知らないこれからやってくる未来の世界を体験することでもあります。もしかしたら皆さんの将来の目標が見つかるかもしれません。

どういう人が参加できるか?

  高校の1年生から3年生に相当する、高等学校、中等教育学校後期課程(4〜6学年)または高等専門学校(1〜3学年)等に在籍している方が対象です。
  募集要項を見て「難しそう」と思うかもしれませんが、基本的に高校生にわかりやすい体験重視のプログラム作りをしています。これまでも、文系の進路を希望している人が何人も参加しています。
  もしプログラム中わからないことがあっても大丈夫。会場の研究者やアドバイザーの先生が皆さんをサポートしますので、いつでも質問できます。

どういう人に教えてもらえるのか?

  専門分野の研究開発に第一線で取り組む研究者、技術者や大学の先生方、大学院生・大学生(ティーチング・アシスタント)が指導にあたります。サイエンスキャンプでは、それらの方々に、研究者としての生活をどのように送っているのか、今どういうことに注目して研究しているのか、どうしたら研究者や技術者になれるのかなど様々な話を聞く機会がたくさんあります。特に交流会では、直接指導してくださる先生方以外にも、若手研究者や女性研究者と話ができることがあります。興味のある分野に進みたくて具体的に進路の質問をしている参加者もたくさんいます。また大学で行うキャンプでは、大学院生や大学生がどんな生活をし、どんな夢を目指して研究しているのか聞くこともできるでしょう。

どんな場所で行うのか?

  大学や公的研究機関、民間企業の研究所です。複数の研究室や研究所で行われるプログラムもあります。いずれも共通しているのは、今まさに研究開発が進められている現場で行われる、ということです。
  会場にある最先端の実験施設や実験装置、設備を見学の機会に見ることができます。また、研究者が実際に研究を行っている部屋や施設で実習できることもあります。将来研究者を目指している人は自分の未来の姿を思い描くことができるかもしれません。

何が体験できるのか?

  基礎研究から応用研究まで幅広い分野の会場が、それぞれの専門や特徴を生かしたプログラムを工夫して、皆さんをお待ちしています。
  実習内容は、実験室で薬品を使ったり、電子顕微鏡などの分析装置を使って観察・測定したり、実際にものを作ったり、フィールドワークで外に飛び出して試料を採取したり…その組み合わせはプログラムによって様々です。
  最新鋭の装置を使って実験できたり、普段はめったに見られない貴重な標本やこれから世間に公表されるような新しい研究成果が見られたりします。
  プログラムによっては本物の宇宙ステーションの一部やクリーンルームなど特殊な施設に入って見学することができるのも、サイエンスキャンプの大きな特徴です。
  様々なプログラムから、自分が興味のある分野、知ってみたい内容、将来やってみたいことなどを選んでみてください。
  高校では物理・化学・生物・地学・情報などの教科を教わりますが、実際の研究開発はそれらを基本としながらも様々な学問が組み合わさって進められています。ひとことで「この研究はこの教科」と言い難いのが今の科学技術です。
  サイエンスキャンプに参加することによって、皆さんが今、学校で教わっている各教科の必要性や、それらが最先端の科学技術につながっていることを実感できるでしょう。

どのような人が参加しているのか?

  サイエンスキャンプには日本各地から科学が好きな仲間が集まります。自分の学校や身近には少なくても、同じ興味をもった高校生が日本中にはたくさんいることに驚かされます。これまで参加した人の多くは、同じ志を抱いた仲間との出会いに刺激を受けています。
   参加後も友人としてのつながりが続いているケースもあれば、仲間を通じて今の自分に何が足りないか気づき、もっと真剣に物事に取り組もうと感じて帰る参加者もたくさんいます。
   短い期間ではありますが、一緒に実験・実習にチャレンジし寝食をともにする中でこうした仲間と出会えるのも、サイエンスキャンプの特徴です。 研究者や技術者との出会い、全国の仲間との出会いが、皆さんにとってすばらしい経験となることを期待しています。